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ブクマ800人超えありがとう!感謝SS、1

もう800は超えないと思っていたので感謝感謝です。

IF世界編に入ってから基本的にはあまり描写しないようにしていた“モナ以外の心情”をガッツリ書きます。


IFはほとんどモナの記憶の中の話なので(少しは書いちゃったと思うけど)極力避けるようにしていた作者です。私はこういうコト書くの下手っぴーなので、主人公どっち!?的な流れにもなりかねなかったのでね。


お祝いがてら書いちゃうぞ★2本立て予定です


今回はIF世界のアンドレくんです。

何か特別なことがあったわけではない。俺はあの人を途中からとても慕い始めた。一緒にいる時間が長くなれば長くなるほど、もっと知りたくなり、そして知るほど欲しくなった。


いままでオモチャや食事にそういう感情を向けたことはあったけれど、人間に対してはお兄様ぐらいのものだった。いや、今になってはお兄様よりも欲している。


『アンドレくん!』


あの人が俺の事を呼ぶとことがとても心地よく、嬉さが奥から湧き上がり、そして、触れられない事がとても歯がゆい。







子供の頃から俺は少し変わった力があった。そしてそれは俺を産んだ母親が1番に気づき、父に進言し、父と母親だけの2人だけの秘密となった。


俺がそれに気付いたのは10代に入ってからで、まさかそんなことの為に俺は毎日死ぬ思いで生きてきたのかと、笑えてくるほどに。


そう、生まれてすぐには力は出たらしいが3歳までには力がなりを潜め、消えたのではとまで言われていた。俺自身もまさかそんな力があるから、特例として王城に住むことになったなんて思っても見なかった。


父親が王様ということがある意味災いの元だった。


大体、個人個人に大きな部屋をあてがいすぎだ。他の兄弟の話を聞けど、会う機会などなかなかなかった。


子供というものは大人に囲まれて育つと口で教えなくとも毎日のように何かしら吸収していくと聞くが、俺は特例中の特例だったため、周りに理由なんてほとんど告げられずに王に囲われた為に、なにかと反感・やっかみ・その他色々相まって、面倒くさいことになっていた、らしい。


だから小さかった俺の周りから人がどんどんと居なくなっていった。大人がいなくてはいけない期間に、だ。


つまり、最大限に権力闘争に巻き込まれ、それなのに力が無く、今なら殺せる、大人がいなければ生きてはいまいと、平和な世に渦巻く王城内の蠱毒(こどく)生贄(いけにえ)にされた。それが俺の小さい頃だった。


そこに現れたのが、俺の英雄たる、お兄様だ。


お兄様がいなければ俺は死んでいただろう。発見された時、毎日ギリギリを生きていたようだけれど、ボロボロだった割には何故か健康だったと後から聞いた。


お兄様が会いに来たのは一部の権力闘争を忌避していた人達のお陰もあったのかもしれない。お兄様は小さい子は可愛いから守ってあげるものだと教えられたそうで、王城に勤めるには少し変わった人達だったとも言っていた。2人ともいい人達だった。


しかしながら現実はとても残酷で、お兄様が俺を助けた所で自然死を免れただけで、毒殺・暗殺へと切り替えられてしまった。お兄様にはなるべく気づかれないように立ち回るようになったけれど、やはり俺が倒れてしまうのでバレてしまうことがしばしば。


早く大人になりたいと願った。


8歳の頃が1番暗殺者などを向けられた。8歳は“祝福”を受けられる年齢だからだ。受ければ魔力か安定するし、自分だけの魔法の取得が起きる時もあるし、人によってはその個人の職業がそこで確定される儀式だから。


噂があった。“祝福”で“王”に関する職業が出てくることがあり、なぜか俺にそれが出るかもしれないと噂になっていたのだ。誰が撒いたものかもしれなくて、ある時毒に倒れた。


犯人を捕まえたらしいけれど、数年後にはその犯人がただの冤罪だったと明らかになった。本当の犯人は当時の料理長ら数人で、愕然とした。


本当の犯人を見つけてくれたのは、2人の妙齢の女性だった。今ではそのうちのひとりは俺の師匠になってくれている。師匠は俺の知らないことと知っていることの知識の偏りに怒っていた。


生活が違うのだから貴族と平民では変わるものだと言うことは師匠も理解していた。しかし、それで国を理解し守り戦えるのかと言っていた。最初それの意味がよくわからなかったけれど、今はわかる。


俺が師匠についてまわっている間にお兄様は王族籍を抜けロッテリーの街の領主になるためにご結婚された。相手の顔が全く幸せそうでなかったのをよく覚えている。


この辺りでお兄様と一緒に俺のことを助けてくれた2人は亡くなった。1人は病気、1人は事件で。これも結婚と同様よくあることだった。悲しんだけれど、関わりが希薄だったこともありすぐに忘れざる得なかった。


貴族の結婚など必ず幸せになれる保証は少ないけれど、平民も親同士が決めた結婚が普通なので、俺もそのうちお兄様みたいな結婚をするのだろうと思っていた。


しかし俺の顔の知らない上の兄弟が事故で亡くなった時に、王が例え王族であろうとも自由な結婚を認めると発表。わざわざ国民には伝えなかったけれど、貴族達には通達された。


結婚適齢期?なにそれ、美味しいの?と結婚の定義が曖昧になったことで、俺はその時からさらに好き勝手するようになった。好き勝手していたら俺は王族として扱われなくなっていった。


暗殺者は少なくなった。自由が増えた。だけれど、自由が増えたからこそ、何をすべきなのかがわからなくなっていっていた。敵がいたら、それを避ける、それを跳ね返す、などやることがあったからだ。


最近になってお兄様が刺された。暗殺者かと思ったら、妻に刺されたという。血の気が引いた。お兄様が刺された時に限って俺は近くにいなかった。


自由にしすぎたとココ数年で王位を継いだ長男である兄君から仕事を押し付けられて離れていたからだ。仕事が終わって帰れば面会出来ない日が多く、あまり会えなかった。


ようやく兄君から当分仕事は回さないと言われた時、お兄様は車椅子生活に慣れた頃で、そこにはひとりの女性が増えていた。


それが森で出会ったという、モナだった。


お兄様は俺が自由にしていた時にロッテリーで作った支援制度の試験的導入の子供達と共に、実験で吹っ飛んだらしく、そこで出会いがあったと聞いた。お兄様、吹っ飛ばないでください。俺の心が吹っ飛び死にます。


刺したあの女とは違うけれど、お兄様に近づく女には警戒に越したことはなさそうだと、あからさまに警戒した。お兄様にハメられてまさかロッテリーまで2人旅をさせられるとは思わなかった。


話してみるとその辺の人間と変わらない感じで話しやすかった。むしろ顔のうろ覚えな兄弟達よりも喋りやすかった。姉と弟みたいな関係とは本来こういうものかもしれないと、思うきっかけになった。


しかし彼女は、彼女がここにきたのは使命があった。女神に呼ばれたのだという。神?何を言ってるんだ。絵本の話か?いや、現実の話だった。


彼女は別の世界から来たのだという。喜々として話す出来事はこの世界には無いものばかり。有るものも無くはないが、魔法よりも魔法のような言葉が紡がれていき、俺をワクワクさせた。


なにか特別な出来事は起きていない。でもお兄様や師匠とも違うその人に、俺は気づけば惹かれていった。


喋り方かもしれない。ふざけているのに時々見せる真剣な表情だったかもしれない。不意に笑ったあの笑顔かもしれない。仕草や動きから出る人柄かもしれない。食の好みが合った時の共有時間だったかもしれない。疲れた時にみせる弱った姿かもしれない。手を貸してくれたときかもしれない。頑張ったあとの賛辞をくれたときかもしれない。


どれが惹かれる要素になったのか本当にわからないけれど、彼女に惹かれていった。


だから俺は師匠にもっと強くなりたいから修行を見て欲しいと懇願した。


大したことはしていない。体力をつける為に運動量を増やし、魔力を増やし精度を上げるために師匠達と模擬戦を繰り返し、さらに平民が貴族がそれぞれ学ぶ社会についての知識を師匠達から教えてもらった。


もう色々教えてもらい過ぎて、頭がパンクするかもしれないと何度思ったことか。


しかし、俺がそうこうしてる間に彼女はお兄様と仲を深めていったようで、婚約者になったとお兄様から聞かされた。


好きな2人が一緒になる。


良いことじゃないか。


では俺は一体、今までやってきたのはなんだったのか。無駄だったのでは?


お兄様は俺の気持ちを知っていた。そして、俺は彼女には絶対に言わないようにと釘をさしていた。お兄様はそれを守っただけだ。


そしてお兄様も彼女が好きだと俺にも言っていたではないか。2人で女神に翻弄されてしまっているモナを助けようと誓った。


俺は単純に彼女との年齢差もあったし、選ばれる確率はかなり少なかった。仕方のないことだ。俺は切り替えることにした。


最初と同じく、モナとは姉と弟の関係でいればいい。


「姉上」


俺の彼女の呼び方はそれから、ソレに固定された。俺の兄弟達女性陣は「姉君」「お姉様」呼びばかりだ。「姉上」はモナにだけの特別な呼び方。俺だけしかわからない、俺だけの呼び方だ。


特別。俺にとっての特別。


最近になって俺のその能力を改めて詳しく知りたくなった。この特別な力をキチンと理解し、もし使えるように、操れるようになったら、姉上が抱えている女神の憂いも消えるのではないか?と、気づいたのだ。今更だ。


師匠はよくわからない旅に出てしまった。姉上と関係しているらしく、俺は姉上に少し避けられているようになったようだ。助けてくれる人はいない。


この力は、俺の切り札。


師匠達に教えてもらったどれにも当てはまらず、お兄様や姉上の助けになるかもわからず、しかし、強力たる、前王も認める、変わった能力。


俺はその力で王になりたいわけじゃない。


欲しいものはきっと手に入らない。


しかし、絵本の最後のように「幸せに暮らしましたとさ」と言える人生でありたい。たとえそれが絵本にも載ってる、摩訶不思議な能力のものだったとしても。


最近、避けられなくなったみたいだ。しまったな。能力について気づかれないようにしなくては。今までの修行の努力がここで発揮されるとは。まあいい。あまり語ることではない。俺の能力は女性には嫌われやすい気がするんだ。気づかれないように今後とも頑張ろう。


結局ひとりで出来ることには限界があった。あの例の2人のうち1人は何故か魂だけ生き返ったから、そちらに相談してみようかな。今のほうが深く関わっている。


窓を見上げると夜空がとても綺麗だった。彼女が笑顔でありますようにと、手に入らないことよりも先に、真剣に星に願いを呟いた。


俺は存外ロマンチストだったらしい。

いつかは書く予定だったので書いたぞ!って感じですね。


アンドレの能力については、今までの本編の中に少しずつだけヒントが隠してありますが、まだ答えは載せてませんのであしからず。


本当に大事なことは本編で語ります。今後とも宜しくお願いします。


次回は明後日予定です。次回も感謝SS予定です。

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