第315話
タイトルの話数を書き間違えていたので直しました。
(前前話)第314話→第313話
(前話)第315話→第314話
(今話)第315話
になっています。申し訳ありません。
_:(´ཀ`」 ∠):_ナオシタヨー
「では アンドレが出かけるから一緒に行くかい」
ヤンチャな2匹がちょこまかちょこまかしているのを見ながらディオさんはそう言い放った。
「外!」
「外!」
グレムリン2匹はぱああとわかりやすく喜んだ。
「アンドレくんはどこに行くんですか」
行く先がまさか森だとは言わないだろう。そうじゃなくてもこんなに可愛くても、こんなにイタズラヤンチャな奴らだろうと、モンスターに変わりはない。行く先で揉め事とか起こされたら困る。
「馴染みの商店で買い物をして回って最後に修慧のところに寄るそうだよ」
良い気配が全然しない。2匹は行きたいだろうけれど却下案件だなぁ。諦めて欲しいけれど、それよりも今は気になることが1つ出来た。
「馴染みの商店?貴族や王族は商店を家に呼ぶのでは?」
「あぁその通りだよ 私の館では アンドレ も来てもらった商人から買い物をしていただろう?」
「はい」
だからこそ疑問が浮かぶ。呼べばいいのでは。
「アンドレは・・・というか私より下の子は全てこの王城で買い物をできなくされている。王城内ではなく、各々の別邸ないし、他貴族の家の中や城下町での商店での買い物の出入りは自由だ」
なんだそれ。
「ん?別邸?」
「昔からの慣習だよ。第6王子並びに第6王女以下は王に呼ばれない限りは政から離れて暮らすように言われていてね。子供1人につき家を1つ与えられる。例外として王が呼び寄せた者は王城内の部屋で暮らして良いことになっている。アンドレ は 先王、カカロットは現王に認められ王城に住んでいる形なんだ。」
「認められていたのが先王だったからもうココでは買い物出来ないっていうことですか?というか、それって私も該当しません?王城にドレス作る人を呼んじゃいましたけど??ディオさんのツテとはいえ、今は王子としてではなくロッテリーの領主としての当城になるのでは?」
「ははは、今回のは実は迷惑料込みで兄君の了承を得てやっているから安心して。騙し討ちして人を呼び出ししたお詫びなんだよ。気にしないで。」
「まじか。」
お詫び!?そうと知ってたらもっと色々欲張って派手なものにしたのに!・・・いや、そんなコトしたらきっと“なんでこんなもの作らせてしまったんだろう、着たくない、恥ずかしい”って言いたくなるような奇抜なドレスになってしまったかもしれない。
私にはほどほどが丁度いい。お詫びって知らなくて良かった。うん。多分。
「それと、先王が王で無くなっても現王も住んでいいと言っているから、買い物できない事とは関係ないよ。まあ 住んでいてもアンドレはちょっと他と違って特殊な立場でね。特に商人に扮した暗殺者がはびこりすぎて、王城内で商人の呼び出しは無しに戻っている。カカロットは使っているはずだ。」
なんか王城って本当に変な場所だと思う。アンドレくんはそんな場所でも暮らしていかなきゃならなかったってことはかなり苦労、いや、それどころじゃないぐらい、大変な思いをしていたのかもしれない。
そういえば出会った頃は目の下にクマあったし、ひょろひょろしてた。・・・今もひょろひょろだけれど。いや、クマもまだあるか。あの不健康そうな顔のその背景に仄暗い過去があっただなんて。・・・あの姿も納得だ。
そういえばカカロットくんに会ってないな。王族大集合のあの場には居なかった。会いたいような会いたくないような。まあどちらでもいいけれど 。私はお酒と暗殺メイド襲撃のせいで今日は出たくない。むしろ2度寝したい。
「幼少の頃から使っていた商店だから客の多い場所よりも個室に通されると思うし、各商店には馬番もいるし、子供を預かる部屋も設置してある商店もあるからイタズラっ子に慣れている専門の店員もいる。連れて行っても問題ないと思うよ。」
「えええ、商店凄すぎる」
三越伊勢丹高島屋西武東武阪急・・・的なそういうアレかな?百貨店的なのを、この世界では商店って言ってるのかな?
高級商店ってことか。
商店って言うからちょっと大きめのヤオコーとかオーケー、ロピア、ライフ、サミット、とか、こう、スーパー的な所を商店っていうのかと思ったら全然違ったんだね。うん。そりゃそうか。端くれだとしても王族。さすがにスーパー的な所には行かないか。というか、この世界に来て結構長いこと暮らしているけれど、この世界の商店街ってまだ体験したこと無い。
ロッテリーの街ではディオさんの館にいれば全てどうにかなってしまったので、何も文句もなかったから。気になる。けれど、欲しいものも特にない。
グレムリンの2匹には悪いけれど、私はそれについていく気はない。しかしまあ、却下しようにも、今しがたディオさんが言っていた施設や人員がいるなら、断わりづらい雰囲気になってしまっているというのもあってね。
ディエースとウェスペルのこのキラキラとしたお目々の圧倒的破壊力たるや。絶対『これ、押せばイケんじゃね?』って思ってるよな。うん。絶対思ってる。この2匹なら、あり得る。
「モナ行かない?」
「 モナ 来ない?」
「大人しくしてるって約束出来るなら、行きたかったら行ってきていいよ。好きにして。私はちょっと疲れてるから今日は部屋で過ごしたいんだ。ごめんね。」
「ごめんわかった。うーん、考える。」
「考える。大人しく出来るか考える。」
グレムリンズも大人しく出来るか少し不安のようだ。この子達にとっては外出するなら走り回れる外出のほうが好きだろうし、今回はそういうのではないと理解した上で、それでも外に出たいという欲求とせめぎ合っているのだろう。
二日酔いとか襲われたとか色々あってごめんよ。
「アンドレ に言っておくから今日のところは出かけないように言っておくよ。 外出を明日に変更すればグレムリン達の考えもまとまるだろう」
ええ、なにその神対応。
「それはさすがに申し訳ない気がします。アンドレくん、もう外出する準備は出来てしまっているのでは?」
昼はまだだが日が昇ってからだいぶ経つ。
「昼から出る予定だと伺っていたからまだまだ大丈夫だろう。いいさいいさ 、アンドレも急ぎの買い物というわけではないのだから。」
アンドレくんに恨まれるとかじゃないならこの2匹を連れて行って欲しい気もする。
「モナ!明日ならも行ける?」
「 明日なら行こう行こう!?」
って、そっか明日にするなら私も同行しないとか!?どうしよっかな・・・。ええ、でもさ、最後に修慧のところ行くんだったよね。行きたくないなぁ。
「ディオさんも一緒に行きますか?」
「私はやることが多くあるから明日はさすがに無理かな。」
「うーん、そうだなぁ、やっぱりグレムリン達と改めて相談してからでもいいですか?」
「わかったよ。いっそのこと、アンドレを呼び出してみんなで相談しても構わないからね。」
「そうだね。その方が良いかも」
とりあえずディオさんはアンドレの方に使いを出すことに決めたそうで、言いたいことは言ったらしく 部屋に戻るといい残し部屋を去って行った。
ディオさんが去ってから数分とたたずにメイドが戻ってきた 。元王族といえど一応貴族ではあるのでメイドや執事などのお仕事の方々はそういう人が入った部屋に入るのを色々も見計らって行動しているのかもしれない。プロ過ぎる。 悪いことをしたなとは思うがまあそれも仕事のうちなのだろう。プロだなぁ。
少し間が空きまして次回は22日予定です