第309話
更新忘れていました。申し訳ない。
数時間後、私達は王城に戻ってきていた。生存戦略はどうしたかって?みんなと一緒にちゃんと作戦を立てましたとも。テュルさんもなにかいいことがあったみたいで帰ってきてからゴキゲンだし、みんな外に出れたという事実にゴキゲンだ。
「アンドレくん」
「姉上!・・・あの、なにか御用でしょうか?」
嬉しそうに返事をした割におずおずと聞いてきた。
「廊下でばったり会うと思わなかったから、声をかけただけなんだけど。あ、私達は今外に行って帰ってきたところなんだ。アンドレくんはこんな所で何していたの?」
アンドレくんは王城の門から入ってすこし行った所の部屋から出てきたように見えた。たしかあそこは門を守る騎士達などの兵舎に行く通路があるんだとか言っていた気がするけれど。
「はい。本を探していた所、司書室貸しになっていたのですが返却期限自体がかなり過ぎていたため、図書館の者が回収に行くというので、俺がそちらに出向く代わりにそのまま本を貸し出し移行していいと言質を取りましたので、出向いていたしだいです。しかし司書室貸しのハズがこちらも、又貸ししていたようなので、又貸し相手があちらの扉の先の兵舎に持って帰っていたとのことで、今しがたそちらから戻ってきた、と、言うわけです」
司書って図書館の管理者では?司書さんが返却せずに又貸ししてたってこと?それって、ええと、まあいっか。
「なるほど。で、それはなんの本?」
「・・・歴史書です」
3冊ぐらい抱えているけど3冊共に歴史書なのだろうか。若干指で見えないけれど、1冊だけ文字が少しだけ読める。えーと、ん?恋愛小説っぽいタイトルだな。
「俺はそれではこれで」
「ああ、待った待った。私の部屋でお茶していかない?」
「いい、ですけど」
歯切れが悪かった。
部屋に着くなりいつものメイドさんをお呼びした.。メイドさんは少し驚いていたけれど、すぐにスンッとなっていた。プロだなぁ。
アンドレくんを座らせてお茶がくるまで待つことに。グレムリン2匹とサイショウくんは外で游び疲れたみたいで帰ってくるなり床でゴロゴロし始めた。テュルさんもゴロゴロまでとはいかないけど休む体制だ。
スズちゃんは疲れたからか消えている。
蜘蛛隊はまた王城に入る前に別れた。門で増えるのを申請するのも手間なのでね。
うん。ココ最近で1番落ち着いた日になりそうだ。
「今日は機嫌がいいんですね」
部屋に入って周りの人間の目から遠ざかったからか、アンドレくんの口調がいつも通りになった。
「なにが?」
「最近、俺がいるだけで不機嫌だったような気がしたんで。」
ギクッ・・なるほど??私最近、アンドレくんとは距離をおきたがっていたからそういう行動になっている。不機嫌、で、済ませていたとは。嫌われてた、だとか、怪しい行動していた、とかではなく、不機嫌?
アンドレくんって天然だったか??まあいいや、そう思っていたのなら合わせてしまおう。と、口を開こうとしたけれどアンドレくんが自身で勝手に解釈していた意図が直後にわかった。
「俺はお兄様ではないからな。お兄様と姉上が思い合っていて入る隙がないから、俺なんかがいたら、不機嫌になるのは当然です」
お、おう?なるほど、なるほど??と、思ってテュルさんをチラ見。なんか、テュルさんが目線で『ほらな』って言っているような目だ。アンドレくんが私の今までの行動にて、落ち込んでいたらしい。
いやいやいやいや、スパイっていうものはさ、一見怪しくないからスパイ何だよ。その落ち込み具合も、演技の可能性があるよね普通。そうじゃなくてもさっき、本当にさっき蜘蛛隊から教えてもらって知ったばかりのアンドレ君達の双子のお兄さんお姉さんの裏情報がさ、やばばばばでさ・・・・。
「今日はこうしてお茶が出来て話が出来る機会をくれ、感謝してます。久しぶりに嬉しいです。」
うん、そうだった。アンドレくん、ようやく健康体に見えるようになってからだいぶ経ってたから忘れてたけど、ツンデレみたいな所もあったから忘れてたけど・・・・思春期真っ盛りの10代でしたね。そりゃ、ツンデレっぽくも素直にもなりますよね。
大人の私の疑心暗鬼に振り回されたということか??
大人としてやっちゃいけないやつだね!!!!やっちゃった。反省。
ん?でもアンドレくんの師匠達って私の敵、というか対戦相手に神様と言う名をほしいままにしてる横竪さんがそう位置づけてるんだよね?そこんとこアンドレくんはどう思って・・・。
「どうしましたか?」
考え事していたら言いにくいことがあって呼び出したモナの構造になりかかっていた。おっと、違う、その空気は今じゃない。
「ああうん、ごめんね!その本、気になるな、少しだけ見せてよ」
秘技、話を変えて空気も変える、の巻き!
「こちらをどうぞ」
明らかに歴史書のみを手渡された。そっちのも気になるんだけどなー。まあいいか。
「ふむふむ、絵が無いね。そりゃそうか。」
歴史書っていうから地図とかが冒頭に書いてあったり、王家の皆さんの顔が枝分かれの木に連なるように描いてあるのかと想像してしまっていたけど、はじめから終わりまで、文字のみ!だった。
しかもこれ、行を変えたりしてなさそうで、結構詰め詰めで文字を入れてるみたいで、パッと見ただけでも読みづらくないかこれ!?って思う程度には読みづらくなっている。
「姉上も歴史に興味がありますか?」
おっと、真剣に読んでいたように見えていたらしい。ほぼ読んでませんけど。
「ちょこっとだけね、でも今はいいや。読みたくなったら借りにいくかも。ハイこれ返すね」
「アンドレくんは歴史に興味あるんだ?」
「この国の歴史は絵本や伝聞で広まるほどほとんどの人が知っています。でも細かいところまでは絵本や伝聞では省かれているそうなので。」
ん?絵本でも?
「あ、そっか!えっと、5人の兄弟の話!だっけ?」
「はい!」
3人の姉妹の話もあったな。え?どっちもフィクションじゃなくてノンフィクションの史実?あれ?そういえばそんなことディオさんも言っていたような。
しまった。また馬ヅラが作った横竪さんが隠しておきたいことで発動してしまう、記憶を消し去るナニカが発動して私の記憶を消し去っていた可能性がココにも。私はモルモットか。つらい。
「俺はお兄様よりも命を狙われることが多かったのですが、昨日お兄様や兄君達と集まった事で気づいたことがあったんです。それの答えがここにあると思って。」
急に重い話に。命を狙われる理由?その歴史書に?
「て、てつだ、おうか?」
「えっ!?あぁ、あの、嬉しいけど、俺はひとりでやるつもりです」
なにか確信がある顔をしている。しまったな。本当か嘘かわからないけれど、アンドレくんに踊らされている私がいる。
ってメイドさんが戻ってきたようだ。返事をしたらお茶が運ばれてきた。うわ、おやつが豪華なの乗ってる。それ食べていいやつなの。お金払ったほうがいいレベル。お城は食べ物の見た目もいつでもレベチ過ぎてびっくりだよね。
「姉上」
「ん?」
「理由が分かったあと、なら、手伝ってほしいです」
何を手伝うのかわからない提案が飛んできた。いや、ホントに。でも期待の眼差しだ。
私はアンドレくんが敵でも味方でも、私の近くであえて仲間に取り込むということをすると、テュルさんに決め打ちで話した。だから私の答えはひとつだ。
「いいよ」
「ありがとう!」
見えにくかったけれどアンドレくんの目尻に涙が光ってみえた。
「ところでそっちの本はどんなの?見せて〜」
「ここここっちは、その!あっこれは見てもいいです!」
3冊中の2冊目は顔真っ赤にして見せてくれはしなかった。3冊目はモンスターや世界の希少な伝説についてだった。アンドレくんも男の子なのだろう。(意味深)
次回は更新明後日と、言いたかったのですが、日付的には明日の更新です!