第307話
更新1日遅れました、すみません。
・・・王家の人達に朝方呼ばれてから、あっという間に1日が経った。
「ふぅ。」
ため息が漏れる。いつからこんなにため息が多くなったんだろう。
「してあげたいのは山々なんだけれど、魔力と私の精神力がなぁ」
「まだ言ってるの?断ったんでしょう?」
「うん」
「ならシャキッとしなさい」
「あはは、ありがとう」
お母さんみたいに声をかけてくれるテュルさんが眩しい。
「外!外!でるー!」
「馬車もお部屋もアキター!」
「「オレ達だけずっと部屋ーー!プンプン!」」
「ごめんごめん」
昨日王様達、ディオさん達のご兄弟に相談事を持ちかけられて、断ったあと、ディオさんの部屋に常中している山川谷トリオに、パンのさんにんがそれぞれ、ひとりずつ付くことになった。
だから今はズィルパーもクプファーもアイゼンも昨日からこの部屋にはいない。ちょっとさみしい。
ディエースもウェスペルもきっとさみしくてそういう事を言ってるんだろう。
「外外外外!」
「アキタアキタアキタアキタ!」
多分。
「わかったわかった。メイドさん呼んでどこかモンスターが出て暴れても良さそうな敷地内があれば案内してもらうし、なければ外出許可を取って裏の森に行こうね」
「「やったー!イエーーイ」」
と、言っていたらドアをノックする音が。メイドさんが呼ばなくても来てくれた。なんてベストタイミング!アナタは神か。と、思ったら、ディオさんが直接こちらに赴いて来たらしい。外に持たせるなんてナイナイ。すぐに部屋に入ってもらった。
ディエースもウェスペルもディオさんの出現に、また外出が先延ばしになったことを悟ったのか、イタズラしようとしていたけれど、テュルさんに引っ捕まってどこかに消えていった。多分洗面所。
この借りてる部屋のこの応接出来る場所から1番遠いのが洗面所だからだ。テュルさんは気遣いの出来るキツネである。
「申し訳ない」
「えっなにが?」
「怒ってないだろうか?」
「もしかして、昨日のこと?」
「兄上達には私から言っておいた。私の事を心配してというのもわからいではないけれど、血は繋がっていても、もうロッテリーのただの領主。目をかけすぎると王城内が荒れてしまう。断ってくれて助かりました。」
親しき仲にも礼儀あり。か。前回ここに来たときも思っていたことだけれど、ここの中の空気は淀んでいる。
特殊な能力なんて無いから、淀みが目に見えることなんて無いけれど、見えたらきっと蒸気機関車の黒煙のごとく真っ黒に違いない。
「いやぁ、むしろ私こそごめんね。その場で勝手に判断を下したし、なにより、普通は王命って絶対なんでしょう?頼み事程度の風に話をしてくれてはいたけれど、王命に背いたことになるよね?反逆で死罪になるかもって部屋に帰ってきてから気づいて今もドキドキしてた。」
「そんなことさせません!!」
あのお兄さんが『しません』と言わないあたり、きっとそういう前例が昔あったんだろうなと、想像にかたくない。
「でもまさか、この王都まで噂が広がっていたとは・・・」
ディオさんもびっくりの、その流れてしまった噂。それは、以前流れたものでディオさんを私のスキルで歩かせたあの出来事。見ていた使用人が流したとされる『ロッテリーの領主様がまた歩けるようになった』というものだ。
なぜか事細かな詳細まであのお兄さんこと、現在の王様に全てバレてしまっていて、私のスキルで足が治ったようにパーティで2人で出席してほしいと言われたのだ。断ったけれど。
「モナ!」
「はい!」
真剣な彼にドキッとした。
「犯人は私が見つける。だから、これ以上悲しい顔はしないでほしい」
悲しい顔?
近くの姿見に私の顔が映っている。悲しい顔、というよりも・・・・まぁいいか。
「ディオさん、そんなことで私はアナタのことを嫌いになんてなりませんよ。気に病まないでください。それよりも、私、パーティ用ドレスの採寸日が楽しみなんです!昨日申請したばかりだからまだわかりませんよね」
「あ、いえ、実は兄上が昨日のお詫びにと、手を回してくれて、明日には来てくれることになっています。」
「なんと!?それを早く言ってくださいよ!!流行とかわからないからなー、どんなドレスがいいのかなー、Aライン?マーメイド?エンパイア?デコルテ部分は出すと露出が過ぎますか?あっ髪がざりとかネックレスとかもそれに合わせないとでしたよね。楽しみー!」
楽しみなのは半分本当だがもう半分は自分の心を誤魔化した。
そうだ、せっかくだから、外出許可もディオさんにこのまま王様に取ってきて貰った方が早いかもしれない。待っててね、グレムリンズ。
次回は明後日更新予定です