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私はテイマーではありません~ナゼか周りにもふもふがいっぱいな件~  作者: 沖宮途良
第2章

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第302話

「うん?」


パン達に独特な魔法をかけてもらった。軽く体が光った気がしたけれど、結構あっさりとしていた。これで終わりだろうか?


「できた!」

「かんせー」

「へーんたいっ!」


うん。最後のは聞かなかったことにしようかな。見た目とか一切変わっていないので、どこがどうかわったかという実感がなかった。しかし3尾のキツネのテュルさんと、イノシシのサイショウくんがふたりとも、「おおお」「はわー!」と目を見開いてとてもすごいものを目の当たりにした、そんなような反応だったので、多分、成功なのだろう。


「それでこれってどういう効果 ?」


「幸せになる!」


「そうだったね」


「じゃなくてもっと具体的な効・・・」


コンコンとドアをノックされた。城のメイドのようだ。部屋に案内してくれたメイドが城に到着すぐ休憩用のお茶を持ってくると部屋から出て行ったのだけれど、きっとその子が戻ってきたのだろう。


「失礼いたします。お茶をお持ちしました。そちらのテーブルでお召し上がりになりますか?」


「はい。そこにお願いします」


台車に乗せられた、ティーポットとカップにソーサー、小皿にお茶菓子まで。


改めてお城ってところは、現代日本でいう超高級ホテルって感じ。うーん、ホテルのアフタヌーンティーとかスイーツブッフェとか、このお城で実は開催されているんでは?と妄想してしまう。


日本に帰って友達か、お母さんと、女子会したい。


直近で似たようなのがあるとしても、2ヶ月後のここのパーティかな?うん、もしかするとそういう感じかもしれない。どんなのだかディオさんに改めて聞いておかなきゃなぁ。


前この城に客として滞在した時はディオさんが連れてきた客ということで ディオさん付きの山川谷トリオが間に入って、見知らぬメイドと私だけという2人きりにはならず、私の身の回りを手伝ってくれていた。


今回はこの世界にだいぶ慣れたので補助 という名の山川谷トリオなしでやってみよう!ということを自分から提案してみた次第である 。


ちなみに普通、専属メイドを3人は連れてくるものなのらしいが今まで必要なかったのでいなかったのもあり・・・・ 正直に言おう。


ロッテリーの街の館にはモンスターと共に常にいる私を理解できるメイドがいなかった。


みんな、青ざめ・萎縮し・怯えてしまう。見た目とかもあるけれど、モンスターたちは慣れない人間が近づくだけでピリついてしまい、魔力や威圧を不意に放ってしまって、初回でみんな「ごめんなさい 」と逃げてしまったのである 。私一般ピーポーだから、常にお世話はいらないからいいんだけれど。


あれ?


そういえば、このメイドさん「ひっ」とも「うっ」とも (うめ)かないし淡々とお茶を入れている 。


「飲み終わりましたら片付けますのでその時はそこの呼び鈴を鳴らしてください。 他にもご用がありましたら、いつでも参上いたします。今何かご用はありますでしょうか?」


「特にありません」


「では 何かありましたら お呼びください ごゆるりとおくつろぎくださいませ 」


そう言って下がって行った 。プロだ。プロがいる。メイドさん、かっこいい。


「今の人 落ち着いてたね」


「わ!本当だ!スズびっくり!」


と、スズちゃんは共感してくれたが


「何か違った?」


とテュルさん 。関心がないから同じに見えるらしい。怯えてないよ!違うよ!


「お茶 カラくしていいー?」

「お茶 ニガくしていいー?」

「「 ムッフー!」」


グレムリン2匹は鼻息荒く聞いてきた。


「ダメ。私が今から飲むんだから」


「ちょっとだけー!」

「ちょっとーいいでしょー?」


「だーーめ」


っていうかどうやって味を変えるつもりなんだ。コワイなぁ。


ふと横をみると、パンのさんにんは静かだなと思ったら寝てしまっていたみたいだ。王城は石畳だから 分厚いカーペットが廊下にも部屋にも敷いてある 。


床だけど気持ちよさそうに寝ているのは分厚いカーペットのおかげだろう。かけてくれた保護(?) 魔法について、もっと聞きたかったけれど、それ以降 、忘れてしまって聞くことはなかった。


「あの男は仲間にしないのか?」


「どの男?」


「黒髪の。」


「ん?なんでアンドレくん?ん?私説明したよね?」


テュルさんの意図が見えない。


「スパイ、かもしれないってだけなんだよね?」


「だけって・・・そこが重要なんじゃない?」


「そうかな?アイツはいい使い道がありそうだと思ってね」


「どこが?」


「これだからモナは素直で正直が過ぎる。」


軽く睨まれた。私がなにか間違っているのだろうが今は思いつかない。


「あのね、人間社会がどんなものか知らないけれど、モンスターの世界じゃどんな奴も力を誇示して従えさせるべきとと教わる。出来ないのなら(くみ)する。どんな(やから)にしろ、使えるものを使っていけるヤツにならないと、何もかも手詰まりになるわよ」


私は年齢だけ年を重ねた甘ちゃんだということを改めて認識させられた。


モンスターは結局は動物の縦社会を落とし込んでいるので、それが正解で、そして、人間だって、結局は動物なので似たようなものは多くある。


テュルさんは教えてくれようとしてくれている。


悔しいけれど、それが未来に繫がる可能性があるのなら。


「結論は明日でもいい?」


「そうね、考えておいて」


お茶は温かく、すっきりしていて、考え事をするにはもってこいと言わんばかりに、冴えわたるような爽やかさがあった。


もし馬車酔いしてもこれを飲めば治りそうだ。ロッテリーの街のあの館に置いてきたモンスター達のことを考え、暗くなった外を窓越しに眺めた。



●与する〈くみする〉


意味:仲間になる。協力する。という意味。


次回は明後日の予定です

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