第301話
「この城、悪い感情いっぱい。しかも、モナはあの神様に連れてきて来られて、ツマリ!つまり?つまーり、ある意味神の眷属!ご加護賜って無くても似たようにナル!」
「あの神様の土地はロッテリーの街の周辺のみって話でしたよね?つまり、今まであの神様の力を分けてもらっていた可能性があります。」
「力が少しでも上がっていれば、あの神様のおもいどーりにコトが進みやすくなる。なるほど。ふむふむ。離れて良かったね。」
さんにんは何やら納得納得と完結してしまっているがそれが正しいのかわからない。さらにさらにと、ワイのワイの言っているけれど、こんなにヤギのパン達がテンションマックスになったのを初めて見た。何がそんなに嬉しいのかが、いまいちよくわからない。と、まあ、それは一旦置いといて。
「テュルさん、それって本当なの?」
「魔法の類と少し違ってそういう変わった感覚はそのグレムリン達やパン達が鋭い。そこのパン達全員がそう言っているのなら、その可能性はかなり高いな。」
「そんなのって」
知らないうちにまだまだ勝手に私の改造計画の一部が私を蝕んでいたことに気づけて、良かったんだか、悲しみが増えたんだか、もう感情が追いつかない。放心したい。ううう。もうやだ。
「泣かない」
「チカラになるよ」
「ふぁいてぃん!」
「そうだ、アレはできないんですか?」
イノシシのサイショウくんがさんにんに話しかけた。
「もちのもちもち」
「わかってるね、さすが」
「モナがいいならヤローと思ってた」
さんにんとも凄くテンション高いなぁ(遠い目)サイショウくんとも心通じ合ってる、なんだかわからないけれど、アレといった、なにやら、やることがあるようで。聞きたいような聞きたくないような。
「ボクにはまだ出来ないんですけど、神様の眷属なら通る道というか。そのさんにんにはそういう似たような力が備わっているんですよ」
サイショウくんは憧れの眼差しでパン達を見ている。
「何が出来るのか聞いてもいいか?」
あえて聞いてなかったけれど、テュルさんが切り込んだ。
「保護魔法」
「幸せの魔法」
「変態魔法」
へ?
「サナギがチョウになる、アレか?」
テュルさんがそう言った。そっか、そっちの変態か。春先に現れる露出狂とかロリコンショタコンとか、そういう変態かと思った。そうか、そっちか。んていうか??
「3種類??」
「「「違う。全部おんなじ。」」」
意味がわからない。
「人間の言葉だと発音しにくい」
「わかりやすく言おうとするとああなる」
「“““ティリェリェルォモァワン””、人間の言葉でなんて聞こえた?」
「てぃ・・・なんて?」
テキトウに言葉を発しているようにしか聞こえなかった。意味のある言葉として認識出来ず、その音に加えて耳鳴りのような膜に覆われたような音が音を遮ったような、そんな声が聞こえたようだった。
「その魔法をかけるとどうなるの?」
「守られる」
「幸せになれる」
「変化する」
「「「モナにかけたい」」」
じっとさんにんに見つめられた。
「モナ、悲しい減ってほしい」
「強くなればテュルもイライラ減る」
「減る、成る、タスカル!やろう」
「「「そうすれば、神にあっと言わせられるの早まる!」」」
テュルさんがそれを聞いて、フハッと笑い出した。これはいい。頼もしい。と、パン達を絶賛している。逆にグレムリン達はブスくれている。
「モナ、困る顔好き」
「モナ、泣き顔好き」
おっと、さすがイタズラガキンチョ共である。それを聞いてパン達のドン引き顔と言ったら・・・グレムリン達がめっちゃ喜んでいた。なんというグレムリン。
「悩むな、せっかくだ。やってもらうと良い。コイツらもやる気だ」
「テュルさん・・・」
「今日は月が見えるからとてもいい日ですよ、やるならボクも応援します」
「サイショウくん・・・」
保護魔法なのか幸せの魔法なのか変態魔法なのか、よくわからないそれをオススメされた。
「モナちゃん、スズ、いいと思う。」
まさかのスズちゃんからもオッケーが出てしまった。そんなわけで、よくわからないまま、みんなのご厚意で、私に魔法をかけてもらうことになった。
これが実は何かの詐欺で、このモンスター達に殺されたりしたとしても、体を委ねた私が悪い。
そう思って、腹をくくった。
「「「あなたに多くの幸せが降り注ぎますように」」」
パン達は部屋の何も無い真ん中に私を立たせてさんにんが取り囲むようにして立っていた。そして人間の言葉でパン達は言葉を紡いだ。
「納得いってない顔だね。言葉が人間のを使っているのは、モナが聞いて理解出来ないと、モナの体に魔法が浸透しづらいからだよ。」
テュルさんが説明してくれた。
パンのさんにんは続けて言った。続けて言うたびに虹色ドロップよろしく、不思議な光が落ちてくる。
「「「言の葉を紡。」」」
「「「喋るとは違い」」」
「「「語るのとは近く」」」
「「「歌うよりも耳に残し」」」
「「「紡いだ言の葉は」」」
「「「年月も時空も越える」」」
まるでパンのさんにんは、悪魔であり天使であり、妖精であり精霊であるように見えた。ヒラヒラ、キラキラ、ピカピカ、ドロドロ、なんだコレ。
「「「死には死を」」」
「「「善には善を」」」
「「「行動には行動を」」」
「「「恵みには・卑屈には・早さには・喜びには?」」」
「「「悪には悪を。」」」
「「「鏡合わせな彼らには、人間のコトワリは通用しない」」」
「あなたにとっての幸せの形を教えてほしい」
パンのひとりが聞いてきた。また難しい質問を・・・。しかし答えなければ次に進まないぞとサイショウくんに言われた。えええ。
「うーーーーん?幸せ?幸せ?幸せ・・・・そうだなぁ。布団かな?」
「フトン?」
「眠る時は何も考えなくていいし、布団ってふわふわのもこもこ。敷布団やベッドの台座?には硬いのもあるけど、掛け布団は柔らかくて気持ちいいものが多いよね。包まれて暖かくてあの瞬間は幸せになれる」
って口から出たけど、睡眠不足人間か私は。しかしそれを真面目に聞いて、ふむ、と魔法に落とし込むらしい。
「ではあなたにはそういう幸せが訪れるように、祈ります。努力の対価に成るように。悲しみの反転に成るように。明日の希望に成るように。」
「もこもこふわふわ、ふわわわん。」
「むちむちもっちり、もにょにょにょん。」
「ほかほかわくわく、しゅわわわん。」
「「「アナタのココロに、トゥルルルン。」」」
んっっ、パン達が言うと、かっわいいな・・・。いかんいかん。
「「「素敵な旅路にリフレクション、リフレクション。」」」
「「「ああ愛しのあなた。」」」
「「「ヒトの人生は機織り機の中の糸。」」」
「「「いつかは折り返す、いつかは欠ける。」」」
どこからか風がブワッと部屋の中を暴れまわり始めた。
「「「愛しいひと愛しいひと」」」
「「「守りましょう守りましょう」」」
「「「幾重にも幾重にも」」」
「「「それがチカラに、まわせ、まとめ、またたく、あまねく、あなたの、いのち」」」
「「「――――――――――――」」」
え?
最後の言葉は聞こえなかった。
――――――――そしてこの日から、またもや私の運命を変えていく。まさかこの魔法が転換期だったなんて、この記憶を思い出した、今まで気づかなかった。
―――――――――ですよね?
『ええとても良い魔法をかけてもらいましたね』
次回は明後日の予定です
(_´◉ᾥ◉)_バァン…
意味がわからない展開だって?
どういうことなのかそのうちわかるよ。
(_´◉ᾥ◉)_バァン…
遠回しだからって怒らないで