第296話
馬車の中で待っているモンスター達は退屈過ぎて馬車で寝てしまっているようで、帰ってきたアンドレくんがポリポリと頭をかきながら、教えてくれた。
少し話をしたけれど、すぐに話題は尽きて2人して、無言になった。何があるかわからない。懸念材料が浮かび上がっていてはなおさら。だから最近はアンドレくんと2人きりにならないようにしていた。
どのくらいそのままでいただろう。
5分から10分だったかもしれないけれど、1時間経ったかもしれないしそれ以上だったかもしれない。けれどある程度過ぎ去ると、とうとうお呼び出しがかかる。
聞くべき事を聞かないと。
ディオさんとすれ違いざまにペコリと軽く挨拶をした。呼ばれた部屋に入ると、簡素なイスと机がそこにあった。
「君と話す前にまず、その肩にいるスズメのスズちゃんを呼び出してもらってもいいだろうか。そのスズちゃんは君と同一化しているだろう。つまり君がスズちゃんを呼ばなくても、スズちゃんはこちらのことを見ているんだよね?」
「はい。」
おおむねあっている。
「スズちゃん がこちらを見ているなら見ているで姿を現してもらった方が、俺は気が助かる。なぜ ってだって 君、気持ち悪くないかい?知らないうちに 誰かが見ているだなんて。」
目の前のウマヅラは大仰な手振り身振りで、説明していく。
「気持ち悪いって思わないならそれはそれで君のことを気持ち悪く思うだけだからいいんだけれど、俺は嫌だから言わせてもらうけど、だから スズちゃんも出して欲しい 。それに今の君になら魔力の方は問題ないだろう。だいぶ仲間を増やして強くして 君自体の魔力もかなり 底上げされた って聞いているよ。 頑張っているそうじゃないか 。スズちゃんくらいだったら10日間くらい 出しっぱなしでも大丈夫なくらいの魔力にはなっているんだろう」
だいぶ魔力が増えたのは事実だけれども、どこからその情報を得ているのか。10日間も出し続けられるだなんて、私自身わかっていないことなのに。
これ以上色々言われる前にスズちゃんを呼んだ。
ぽふっと現れた。今までを見ていたからなのか、何も言わずにスズちゃんは現れた。いつもなら「スズだよ!」と元気に現れるのに。
「あーありがとう スズちゃんを出してくれて 俺もこれで 気が楽だよ。さあ これから話し合いをしようか。話し合いというよりも ほとんど 俺が一方的に話す 感じが続くかもしれないから、 そこは 最初に謝っておくよ 。聞きたいこと、ツッコミたいことがあったら俺が話してる途中でも構わないから無理にでも口を突っ込んでくれるとありがたいな。そうしないと止まらないからね。 止めるつもりがないから そうなってしまうんだけれど。ははは」
彼は本当によく喋るウマだ。
短い更新で申し訳ない。4日も更新します