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第295話

ディオさんがウマの顔の男、修慧(シュエ)に呼び出されたので修慧(シュエ)のお宅の居間にポツリと残された。さっきまでディオさんがいたから感じなかったけれど、ここは王都の街の外れのほう。窓を覗くと外は穏やかな風が流れている。


ロッテリーの街も廃れて田舎と呼ばれていいぐらいにはなっている。だけれども、この王都の端のほうが田舎くさい風情がある。不思議なものだ。


あれだよね。東京ってひとくちで言っても、渋谷と銀座と上野でも全然違うし、奥多摩だって東京だもの!ってやつだよね。それと同じだ。都だからって全てが全て、ベッドタウンな訳では無い。


だからこそああいう修慧(シュエ)みたいな変わり者でも普通に住めているのだろう。


改めて、ウマヅラ。ウマヅラ。と私が言っている修慧(シュエ)は、横竪(オウジュ)さんの親友的な立ち位置にあるらしい、ウマ人間だ。


ひと言でまとめると、金色のガッシュベルに出てくるウマゴンだ。しかし、あのウマゴンはガッシュベルと同じくらいの身長だったのを覚えているだろうか。


修慧(シュエ)は普通におおよそ140センチぐらいの身長の持ち主だ。もっと低いかもしれないけれど、おおよそだ。大体小学4年生ぐらいに見える身長だ。それの頭がウマである。


この場所はディオさんとアンドレくんが詳しかった。なぜなら修慧(シュエ)は王家に昔から関わる神のような存在であり、王家に仇なすと思われる危険人物であり、そしてなにより、王家に利益をもたらす読めない人物だということだ。


ロッテリーの街の土地神である横竪(オウジュ)さんのことは王家も詳しくは知らなかったらしいがそれは親友である修慧(シュエ)があえて話す必要はなかったからだと話していた。


私が横竪(オウジュ)さんから呼ばれた人間だということも、その呼び出しをした時の特殊な状況を作り出したのもこの修慧(シュエ)による力であった。


帰れる保証の、その保証先がこのイカれたウマなのだ。先程も言ったかもしれないが、修慧(シュエ)は科学者であり、化学者であり、錬金術師である。


ちなみに笑顔がとても、憎らしい。歯肉を見せながら笑うのやめてほしい。人を煽っているようにしか見えない。というかそういう時本当に煽ってくるからいい加減にしてほしい。それが(くだん)修慧(シュエ)だ。


王家と関わりがあるからと言って、よくあんなのに会いに来たくなるよなぁと呆れたくもなるけれど、私も結局、今、会いに来ているので人のことは言えない。


とどのつまり、修慧(シュエ)という人物がいかに変人で変態だろうと、総合的にまとめるとゲームとかで言う、”賢者“に匹敵するのだ。


彼から出る言葉は正義でも悪でもどちらとも取れる真実しか話さない。例え残酷でも。例え出来ないことだったとしても、答えしか出さない。


修慧(シュエ)と言う名前は古代語で、“動かぬことで精神が(なぎ)となり、それゆえ心が動揺しなくなり物事をありのままに把握できる”という意味合いらしく、つまり、名前のままの存在なのだという。


このあと呼ばれたら、私はアイツに相談をするつもりだ。


王都に来るのにほとんどの仲間をロッテリーの街のあの館に置いてきてしまったけれど、実はこの4ヶ月みんな強さが増しましになってきている。


そう。今のところ私達の仲間は全員無事のままだ。


最初の仲間達が死んでしまったけれど、あれから悪いことは起きていない。仲間を一気に増やしたことで、いいことが1つあったのだ。


私との繋がりが深すぎず、ほどほどに、薄くなったのだ。私が悲しんでももうゴーレムズのお腹は空洞にならなくなった。私の悲しみが連鎖して他の子達が苦しみ出すこともなくなった。


あとはやはり、あの隷属の首輪もあとから仲間にしたほとんどの子がつけていないからこそ、繋がりが薄くなったとも言える。隷属の首輪はそれだけ、私との繋がりをかなり濃くするような特殊な造りになっているのだ。


知らずにつけてしまったみんなには悪いけれど、みんなが強くなってもまだまだ魔力が足りないみたいで、取れない。どれだけあの首輪が強いんだろうか。それを作り出したこの国の人間達の、怯えと悪意が詰まっている。


そしてそれを横竪(オウジュ)さんも知っていて私にさせたことは、怒りでしかない。


「姉上」


「アンドレくん、お疲れ様。面談終わったの?ディオさんは?」


「お兄様はまだ個別での面談があって残っています。俺はお兄様と一緒に話すべき面談があったので、今終えてこちらで待つように言われた次第です。それと、お兄様が終わり次第、姉上だけの個人面談をするらしいので、話すべきことをまとめておいてほしいと、伝えるように言われました。」


「そっか。わかった。ありがとう。」


帰ってきたアンドレくんの顔色があまり良くない。何を話して、何を聞いたのだろうか。


アンドレくんは、敵のスパイなのか、修慧(シュエ)に聞いたら分かるだろうか。


数ヶ月のうちに私はアンドレくんに対しての態度がかなり変わってしまったように思える。でも、仕方ないことだ。もし、アンドレくんも、私を裏切っているようなら、容赦はしたくない。


「姉上?」


「早く終わらないかな。馬車を外に待たせたままだし、御者さんもモンスターも出てきちゃいそうだよ」


「そうですね、なら、俺、一度馬車の方にまだ時間がかかるからと言ってきます。」


こんなにも動くのにこの国の末席の方の王子とは、知らない人がみたら単なる冗談かと思うだろう。


パーティーではディオさんとアンドレくん達のご兄弟に挨拶しなくてはならない。


パーティー、今更だけど行きたくないなぁ。


モナは誰もいない壁際に目を向けながら大きくため息を吐いたのだった。

横竪オウジュ修慧シュエも仏教用語から名前を取りました。ちなみにまだ出せていませんが、真っ白い人、モナと深層心理の奥底にいるあの人の名前もそっちから取っています。いつになったら出せるやら。そろそろ出せるかな。更新ペース(とくに文字数少なくて)遅くてすみません。


次回は4月3日予定です。

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