第291話
―――――――とまあ、こんな感じでね、アレに遭遇したの。
『アレと言いましたが、アレはゴリラでは無いですよ。一応れっきとしたサルです。』
―――――――ゴリラっぽいからゴリラで、よくない?本当の本当のホントーーーにキングコング襲来したかと思ったし、あの時間軸ではアレに何回か出会ったけど、もう2度と遭遇したくないヤツだよ。だからゴリラでいいんだよ。
『名前はサイセツ。』
―――――――サイセツ?・・・・あれ?最近どこかでその名前聞いたか見たかしたような??
『最近のことはそこまで存じ上げませんが、次に進まないとこの部屋から出れませんよ』
―――――――そうだね。出なくっちゃ。それでその日はすぐに館に帰ったんだ。夜中のうちに帰れたけど、ディオさんが部屋に訪ねてきたよ。ちょっと怒られた。叱ってくれる存在ってありがたいなって胸が温かくなったのを覚えてる。
―――――――キジンさんとプントさんが会わせてみたら結構気があって、タヌキ達はモンスター小屋ではなくて庭の手入れ用の農耕倉庫の一角に住みたいと言われた。今までが隠れ住んでいたから、モンスター小屋で他種族と急に親密になれと言われてもなかなかに難しいそうで、逆に「プントさん、なんかスゲェ」ってモンスター達から羨望の眼差しを受けていたよ。
―――――――ちょっとすっ飛ばすけど、その後はモンスターを仲間に増やすことがちょっと難しくなっていった。私はアンドレが敵からのスパイじゃないだろうか?とも思うことも増えていった。その代わりにディオさんへの信頼はなぜだか増えていった。
―――――――あっという間に王都にまた行く日が来て、王都に3人で向かったの。モンスターも連れて行く子と置いて来た子を分けた。
―――――――さすがにゴーレムズとイャンターリは連れて行けないから留守番グミだった。
『3尾のキツネのテュルフィング、グレムリン2匹、イノシシのサイショウ、スズ、ヤギのパンさんにん』
――――――――イポトリルのヴェールには悪いことをしたなぁ。
ディエースはクリーム色の毛で太陽のような匂いがするほっこりグレムリン。癖っ毛なのかもふもふ具合が増しているように見えて可愛い。本人は不満らしい。
ウェスペルは赤毛色の直毛でラベンダーのような心の落ち着くような匂いがするグレムリン。超極細毛の歯ブラシのやうな気持ちいい手触りでずっと触りたい。本人は不満らしい。
そんな事に気を取られながら馬車は進んだ。
というかそういうどうでも良さそうなことに気を取られないと、先に進むのも苦しかった。
馬車には私とディオさんとアンドレが不思議な空気を醸し出していた。王都に着く頃には精神的に疲弊してしまっていて、馬ヅラに会いに行く時なんかは、もう、それは砂漠にオアシス状態とでもいうのか、3人は3人でいることが難しくなっていっていた。
理由がわからないと思うだろう。しかし、その時は理由なんてどうでも良かった。その時はそれが1番の真実で理解者だった。
明日また更新します。ってもう今日だな。今日また更新します。




