第289話
日付超えてしまい申し訳ありません。
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どうにか時間よ巻き戻れ〜(シャランラー)
無理でした。
中に入るとテュルさんの頭に乗っていたタヌキは降りてかけて行った。そこに目線を向けて追っていくと、前方に独特な雰囲気を醸し出すタヌキがいた。
「楊貴妃、じゃない!タヌキだ!」
一瞬だけ絶世の美女に見えた気がしたが気のせいだったようだ。タヌキだ。しかしタヌキにしてはスラリとして気品があり、優雅でそして何より、目を閉じていてとても偉そうである。
「いらっしゃいましたポン。」
「あい、わかりましたん。話はひと通り聞かせてもらいましたん。貴女がモナさん、で、よろしいでしょうか?」
「はい。はじめまして、テイマモナと申します。」
「私はキジンと申しますん。ひと通りは聞きましたが貴女の真意を貴女の言葉で聞いてみたいとお呼びしましたん。語って頂いてもよろしいでしょうか?」
「わかりました。聞いたかと思いますが、ほとんどのモンスターは私と取り引きしています。そこに居ます、テュルさんとは成果をあげるたびに、中級ポーション1本もしくは初級ポーション5本をあげる事になっています。ここにいる蜘蛛隊の1匹のロホも他の蜘蛛隊と同じく餌の提供と蜘蛛の巣の張る場所の確保。イャンターリというモンスターとは」
仲間たちはただただ仲間としていてくれているわけではない。利益あってこそだ。「では、あたくし達は」と、タヌキ達の利益について語るのかと、そちらを見てみると、キジンという名のタヌキの目が開いた。
「目が」
つい声に出てしまった。
キジンの目は病気なのか光が無く、少し白く濁り、見えなくなってしまっていた。
「終わった」
「お疲れ様」
「タヌキ達も仲間になりました。皆さん、ありがとうございます。」
モナはペコリと頭を下げた。ハシビロコウのミョルニルはその姿を見て、モナと同じく頭を下げた。
キジンというメスタヌキはグレムリンやヤギのパン達と同じく自由であることを条件に、蜘蛛隊と同じ衣食住の安全の確保も求めた。
「テュルさんがタヌキ達との行動が増えると思いますが、それでいいですか?」
「構わない」
「ミョルニルさんは引き続きヤギのパン達のさんにんをお願いいたしますね」
「おう。」
ミョルニルさんは言葉短かに答えた。ミョルニルさんは今回ほとんど何もしていないけれど、ミョルニルさんはいてくれるだけでとてもありがたい、拝みたくなるモンスターだ。ミョルニルさんの真面目そうな眼差しはそこにあるだけで、悪いことを考えづらくするらしく、いわゆる“防犯の目”“見てるぞステッカー”と同じ効果が現れる。
完全に犯罪が防げるわけではないけれど、一部の目は潰せるという、素晴らしい能力をもっているのだ。ありがたや〜。
「モナちゃん、スズ、全然働いてないの。スズ、もっとなにかやりたかった。」
そうこぼしてくれたけど、スズちゃんはそうそう役にたてることは少ない。霊体なので壁抜けで情報収集しか私には思いつかない。しかし、スズちゃんは情報とかよりもハデなことがやりたいだけらしい。
ハシビロコウのミョルニルさんは落ち着いているのにスズちゃんも見習えとは言わないけれど、危ないことにくちばしをつついたりしないようにお願いしたい所存だ。
「タヌキ達の寝床を追加で作らないと」
「それも私がどうにかするから安心するが良い」
テュルさん!3尾のキツネ!さすが!姉御!ということは、私はもうやることはなさそうだなぁ。
タヌキ達はあの集落を捨てて私達の小屋に来ることになった。タヌキの数はそこそこ多かったし、迎え入れる場所がそんなになかったから、通いのタヌキが来るなりすれば、こちらとの橋渡しになるだろう、なぁんて思っていたけれど、最近またモンスターを虐殺してもて遊び放置するという、変わった趣味を持つ厄介な敵が集落を狙ってきていたらしく、すぐにでも離れたいと申し出てきた。
近くに巣を作っていた、熊のことだろう。早めに来たつもりだったけれど、とっくの昔に虐殺は起きていた。
「熊もモンスターらしいけれど、キジンさんが言うには本当に狂っているらしいから、出会ってしまったら逃げる事を第1に考えるように言われたけれど、ロホ、まだ大丈夫そう?」
「近くにはいない。」
「狂っている熊は猿を手下に迎えているとか、黒いカミナリを落とすとか言っていたけれど・・・」
噂をすればなんとやら。タヌキ達はまだタヌキ達が住んでいた痕跡を消しているから、小一時間後、時間差で私達の館の方へ移動を開始することになっていたから、今はいない。本当に良かった。
それはもうどす黒いコンクリートやタールのような黒々した色の熊が目の前にいた。
口の周りに血が滴っているように見えた。食事をどこかでしてきた様子だ。
「いなかったのに、バリッて現れた」
赤い模様の蜘蛛隊リーダーのロホは、幽霊でもみているかのように呟いた。弁明というより、信じられなくて口に出てしまったようだった。
近くにいないと言い切った直後に目の前に現れたのだ。それも仕方がないと思う。が、現れた瞬間までもをキチンと目視しきれていなかった私からすると、バリッと現れたという表現がよくわからない。
そんな考え事をしていたら、急に消えた。
「モナちゃん!!」
スズちゃんが叫んだ。
ピカチュウの電光石火を地で貫く、黒い熊がいた。なるほど、黒いカミナリとはそういうことなのか、と、思った。そして、あ、やば、死んだかも。
「おう。」
言葉少なく黒い熊と私の間にミョルニルさんが突如現れた。熊はそれに驚き、後ずさった。
さすがミョルニルさん。さすミョル。防犯の目が光ってます。
今日もう一度更新予定です(20時から23時頃の間)