第287話
また嘘をつかれている可能性も無くはない。あの女神様はそういう人だ。
「モナちゃん?」
肩にいるスズちゃんが首をかしげている。私の行動がよくわかっていないんだろう。ディオさんの所に行くときは気を利かせて2人きりにしてくれるのでスズちゃんは最近はいつも居ない。心を落ち着かせるためにモンスター小屋に来ていた。もう夜だし外は少し肌寒くなってきていたけれど、小屋にはいっぱいの仲間がいたから暖かかったから癒やされた。
「モナちゃん!」
スズちゃんが声を荒らげた。その目線の方向に私も目線を向けると3尾のキツネのテュルさんと赤の蜘蛛隊がいた。
「ロホ!戻ってきたんだ!どうだった?」
テュルさんは気づいたらいなくなっていたから呼ばれて小屋から出ていたのだろう。
「いた!ミツケタ!タヌキのお里?集落!案内デキる」
「やったぁ!ん?どうしたのテュルさん」
「途中に熊のねぐらがあった。今日見た分には数日前からねぐらには帰ってきていない様子だったが、帰って来る可能性のあるねぐらだ。その・・・、ロホの案内中にかち合って戦うことになるかもしれない」
「動物の方の熊なの?」
「わからない。モンスターのほうかも知れない。ねぐらにある状態の情報は少なかった。」
テュルさんは沈黙してしまった。そりゃ、朗報だけもって帰りたかったんだろうな。
ロホがちょっとばかりしょんぼりしてしまった。そしてこう付け加えて話し始めた。
「その熊サン、タヌキの場所狙ってたかも知れない。だから、近くにねぐらをツクったと思う。ロホなら獲物見つけたらそーする。」
ロホは腐っても蜘蛛隊のリーダーの1匹だ。そういう思考が無いと生存競争に勝てない。赤い模様がキレイだからか、ロホがキリッとした声をあげるととても緊張する。こんなにも小さな蜘蛛なのにちょっと怖い。小さなと言っても蜘蛛隊の下っ端たちのほうがちっさいけど、そういう問題じゃなくて、ええと、まあいいや。
「でも今ならまだ居ないんだよね?」
「居ない!」
「ああ。」
ロホもテュルさんも答えた。今から行くべきか。でもわざと隠れているなら闇に隠れて行くよりも私というヒトが行動していると認識できる朝に行ったほうが・・・。
「モナ、熊は昼に活動する。タヌキ達は逆に夜行性だ。」
「そうなの!?よし!少し眠くなってきてたけど、今すぐ行こう!」
即決断である。知らなかった。タヌキって夜行性なのか。
「足が痛い」
「大丈夫?モナちゃんの足痛いの治れ〜」
と、言ってくれているもののスズちゃんにそういう回復魔法とかは使えないので、いたいのいたいの飛んでけ〜ぐらいの呟きである。
「どうした?休むか?」
テュルさんが心配してくれた。
「大丈夫。昼間に横竪さんの所に行ったりしてたから疲れ気味なだけ。」
それにもう夜ご飯もすませて就寝前だったから少し眠気も重なって、森の足場の悪さに足を取られてしまっていただけなのだから。むしろ体を動かして目が冴え始めて来ている。
「モナ!着いたよ」
ロホから声がかかる。心配していた熊に出会うこともなく何事もなくタヌキの集落に着いたらしい。キジンというタヌキに会わなくては。仲間になってくれるだろうか。
ロホを先頭に、テュルさん、私とスズちゃん、殿にハシビロコウのミョルニルがついてきた。目の前には昔人間が住んでいたであろう、廃屋がぽつりぽつりと立っていた。なるほど、日本でもタヌキはこういう所に住処を作るとニュースで見たことがあったかもしれない。
さあ、どうなる?
次回は1日空けて、明後日の更新になります。
最近寒いから風邪ひいてる作者です。ズピピピ・・・ズルズル・・・ぶぇっくしゅ。皆様も風邪にはお気をつけください。死ぬほど眠い。




