第285話
横竪さんが不満そうにしている。どういうこと?
「敵が逃げたなら良いことなのでは?」
「第4波以降が当分起きない」
「・・・?いいのでは?」
争いが止んで平和になったのなら私はこの目の前にいるこの神様に一泡吹かせる計画を早めたいなと思ってしまう始末。
「何か勘違いでもしているのか?良くないだろう。当分と言ったのだ。いつかは戻って来る。必ずだ。しかしながら、いつかがどの時期になるのかは皆目見当もつかない。」
「えっ?・・・あっ?・・・だめじゃん!」
「そうだろうとも」
つまりアレだ。スポーツ選手が練習を積み重ねて筋肉を調整してきたのに、さあ試合だと思ったら会場が台風の影響で破損して使えなくなったので、試合は延期です。ってヤツと同じじゃん?あれ?同じだよね?
「そういうことなので、当分の間はこの土地でやることは今のところない。今まで通りテイムして仲間を増やしていくも良し、自身の技能を高めるも良し、他の土地に遊びに行っても構わない。」
急にそんなこと言われても思いつかないよ。とりあえず今まで通り過ごそうかな。それかディオさんに相談してどこか遊びに行こうかな。デートを2人でしてみたい。この街だと領主様って街の人達にバレバレらしいから、ディオさんのことを知らない土地でっていう。
「その辺りはちょっと考えます。所で、敵はこの街に入り込んでいたんですか?」
「いいえ、住んでいたようだ。」
ん?モンスターじゃないってこと?
「人間が敵なんですか?」
「そそのかして扇動している。名前はレフティというそうだ」
ん?聞き覚えが・・・なんだっけ
「所でその方は?」
聞き覚えを思い出す間もなく会話が次に流れてしまった。
「ええと、こちらは」
仲間を連れてきていいとのことだったので、守護霊のスズちゃんはもちろんだけれど、ちょうど近くにいたヤギのパンの3人についてきてもらった。
「こちらはヤギのパンの3人で、私の隣から、脚にツタのような模様があるのがズィルパー、背が飛び抜けて高いのがクプファー、眠たそうな目元をしてるのがアイゼンです。」
ズィルパーが1番しっかりしていてこの3人の中ではまとめ役。クプファーは実は眠たそうな目元のアイゼンよりも1番ののんびり屋で結構遅い。アイゼンは見た目よりも喋り方に1番の特徴があり必ず語尾にダヨンとつける子だ。しかし今は内面よりも見た目の説明が目の前のひとにはわかりやすいだろうと、見た目だけ伝えた。
ちなみに3人とも大人だけれど、平均身長は80センチほど。高くても120だ。
そういえば日本の小説とかだとテイマーというと、名付けが定番だけれど、この世界のモンスターには名前が付いている。まあそれで成り立つ世界なのだから不満はない。考える時間も私はかかるタイプなのでむしろホッとする部分も少なくないからだ。でもいつか。そのうちいつかは一回でいいから、私も名付けをしてみたいな。
「ふむ。いい仲間が増えたな。これからも頑張ってほしい。そうそう、敵がいないから私も力を蓄える為に少し寝る。また当分会うことはないだろうが一応伝えておく。」
「そうなんですね。わかりました。」
「と、まあ、そんなわけなんだ。ディオさん。」
館に帰ってきてざっくり説明をすると、休みの提案がディオさんから出てきた。
「実は1通の手紙が王城から届いてね。」
「え?」
また短いので、明日も、投稿します