第283話
更新おまたせしました。年末年始じゃないけれどそれぐらいの多忙になったため更新できませんでした。また今日から頑張ります
イャンターリが慌てて攻撃解除してくれた。攻撃解除した所で攻撃の余波からのGの圧だったからそこまで意味の無いものだったようにも思えるけど、イャンターリの行動は少し嬉しかった。
「楽しかったけれどさすがに、みんながみんな地面に縫い付けられるように倒れてしまったから、それどころじゃなくなったな」
イャンターリと泥の城との王様ムーヴが出来ちゃう仕様の組み合わせスキルでイャンターリが自身の家来として認定した者は攻撃を受けない仕様になっていたから、今回ゴーレムズについてはGすらも受けていなかった。
お試しでやってみただけだったけど、使う時には注意が必要だな。スキルを用いた私が家来認定されてなかったという。イャンターリの意識の強さがスキルに反映され過ぎなのかな?それならまずはイャンターリと私達全員がもっと仲良くならないとこれは当分使わないほうがいいかもしれない。
それにしてもイャンターリが『もし周りが本当の敵なら・・・』と、ニヤニヤしていたのは少し怖かったです。
っと、みんなの反応は?
概ねいい反応。次は自分がやる番かと待つのもいるし、私の新しいスキルを次何出すのかと楽しみに見ているのもいる。
イャンターリは、王様ムーヴが発動していて、ドラゴンボールの悟空達の金色バージョンにでもなったのかのように、ハツラツとパワーがみなぎっている感じに頼もしさが見受けられる。肩に生えてるヘビも顔を赤くしてフンスフンスしていて今にも飛び出しそうな・・・しまった、やり過ぎた?
スキルを全部解除した。
泥の城も消えた。希少金属シデイトーキの鎧も消えた。
あっ、あからさまにイャンターリと肩のヘビが有能感が無くなったみたいで、こっちをじっと見てくる。いやいやいやいや、今日はもうおしまいだからね。
「さーて、次は誰とスキル合わせてやろうかな」
イャンターリの目線を無視して次の行動にうつるべし。
わいのわいのと『俺が』『私が』と志願者続出。マンティコアのヴァルトスだけは横目でこちらを見て呆れているように見えた。
アンドレは手持ち無沙汰なのか近くで昼寝をしていたはずのヴァルトスに近づいた。
「少し隣をいいだろうか」
「いいが、触るほど近くに来るな。そうだな、そこ、その木の影が出来てる辺りまでなら近づいても構わん」
「用心深いんだな」
「そう思うならもっと離れて座れ」
「ははは、影の辺りに座らせてもらうよ」
「フン」
アンドレはそこに座るとすぐにモナ達の方へ目線を寄せた。次はイノシシのサイショウとスキルを組み合わせてやろうとしているようだ。
「マンティコアとは」
「ん?」
「マンティコアとは、王族教育で習うモンスターの1つで、神の使いか世界の理を紡ぐ生き字引だと言われている」
「ほう?生き字引ね。まあ長生きはしているだろうが、モンスターは大抵長生きだ。この辺りには居ないエルフやドワーフと比べると短い命に過ぎない」
「そうなのか?」
「そうなんだよ」
「そうか」
「ああ。で、それがどうしたんだ?」
「・・・全てを知るマンティコアという種族だったのなら、俺の悩みも、姉上のこれからも見通せるのではと・・・違ったようだな。申し訳ない。」
「もし全てを知って知識を蓄えていたとしても、未来を見ることなど出来ない。」
モナは体の小さなイノシシのサイショウになにか説明をしている。その周りにはイポトリルのウェールとグレムリンの2匹ディエースとウェスペルに、黄色の蜘蛛のアマリリョを含む黄色の蜘蛛隊が10〜13匹程度がわちゃわちゃとしている。みんな楽しそうだ。しかし・・・
「人間」
「アンドレだ。」
「そうか。アンドレ。なにか心配事でもあるのか?」
「今見ていて思ったんだ、姉上は最初とかなり変わってきているような気がする」
「それがどうした。環境が変われば人間どころかモンスター、植物だって変わりゆくものだろう。・・・良くない変わり方ということか?私はアイツに出会って間もないが、悪いようには見えないが?」
「そうか・・・・・・・ヴァルトスがそう言うなら、悪くないのかもしれない。どうせ俺のこれは、単なる勘だからな。違和感、を感じた。とでもいうのかな。」
「ふむ。おや、始まったようだな」
モナが歌い出した。さっきのスキル発動もそうだけれど、モナは歌うのが好きなようで楽しそうだ。歌声がかすかに響いてこちらにも聞こえてくる。
『デイ・バイ・デイ・バイ・デイ・バイ・デイ、全身全霊かけて♪あなたを守り抜くと決めた♪』
それに合わせてサイショウも歌い出す。
『どんな奴にバカにされても僕が信じたのはあなただけ♪』
モナがなにかをしたのかサイショウが光りだした。サイショウの光は体と同じで白く光り輝く。そのサイショウ上にイポトリルのウェールが飛び乗った。
「なっ」
サイショウは小さい。ウェールの体はサイショウの3倍以上の差がある。乗っては潰れる、と、思いきや、ウェールが乗ろうと飛んだ瞬間にサイショウの体が大きく膨れ上がった。ウェールが乗ってもおかしくない大きさになるとウェールもサイショウと共に歌を重ねた。
『『デイ・バイ・デイ・バイ・デイ・バイ・デイ、全身全霊のせて♪あなたと共に戦うよ♪』』
ウェールをキッカケに、さらにハシビロコウのミョルニルが乗り、さらにその上にはグレムリンのウェスペルがのり、その上にディエース、黄色の蜘蛛隊がグラグラしながら、その場にいた蜘蛛が全て体の変化を起こしながらピラミッド型に積み重なっていった。
そう、全てのモンスターの大きさは下が1番大きく1番上が小さい仕様に変化を起こした。そして全員が歌を歌うと1つの声として辺りに響いた。
「♪♪♪我が物顔がはびこるこの世界で、怖がるだけの明日を塗り替えて♪♪♪」
声を聞くと背筋がゾクリと凍るようなそんな気分になった。今すぐに逃げ出したくなるような衝動。
総勢20匹近くのモンスター達の歌声は続いた。
「デイ・バイ・デイ・バイ・デイ・バイ・デイ、全身全霊かけて♪あなたを守り抜くと決めた♪どんな奴にバカにされても僕が信じたのはあなただけ♪デイ・バイ・デイ・バイ・デイ・バイ・デイ、全身全霊のせて♪あなたと共に戦うよ♪」
気づけば逃げようと立ち上がってしまっていた。隣にいる、ヴァルトスもだ。
モナが慌てた様子で歌を止めたようだ。止まった瞬間にアンドレの体は冷や汗がブワッと吹き出して、足がガクガクと震えた。近くに木があったから寄りかかってギリギリ立っていたけれど、崩れ落ちてモナに心配されるのも嫌だったのやで耐えた。
「人間、もう大丈夫だ。座れ。」
「アンドレだ。」
「ああ、アンドレ。お前の言っていた意味、私も少し感じた。だけれども、それは多分、もうどうしょうもないことだ。」
「なにか、知っているのか?」
「あの娘からお前に話すかわからないので、私からは知っていても言えない。私がそれを言うときは、あの娘の敵になると決めた時になるからな」
「・・・そうか。姉上に直接聞かないとだめか」
「応援だけはしている」
「ありがとう」
そのスキルは動物音楽隊、威圧を放ち、それが精神攻撃となるものだった。
次回は3月5日更新予定です。
作中に出ているのは、アニメ銀魂のオープニングに使われた、「DAY☓DAY」です。
モンスター達に合うと思ったので。