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第279話

とある()っ立て小屋(ごや)にて青年の悲痛な声が響いた。


「どういうことなんですか!!師匠!!」


「どうもこうもないべ。これが事実で真実だべ、アンドレ」


「そんな・・・そんなことって」


アンドレの目の前には、アンドレの師匠であるレフティがそこにいた。そしてレフティの隣に、アンドレの目線は釘付けだ。そこには足を1本失くし荒れた一匹のモンスター“3本足の凶弾犬”のテンクウがいた。


「そいつはモナを、姉上を!ふっ飛ばしたモンスターなんです。」


「どういうことだ?」


テンクウがレフティに首をかしげながら質問した。ふっ飛ばした本人はふっ飛ばした相手とアンドレの関係など知る由もない。


「どういうことって、つまり、怪我をさせたのは、アンドレの好きなお相手だったって事だべ」


「なるほどな」


にまり、と牙をむき出しながら笑うテンクウに可愛らしさは無かった。


「師匠!」


「・・・・アンドレ、アタイはアンドレの師匠を今日限りで辞めさせてもらう。」


ビクッ・・・


「なぜとか聞かないんだなぁ?」


(いつかは言われるだろうと思っていたからだ。だから言葉より先に体が恐れで跳ねた。)

「ぐっ・・・答えてくれるのか?」


「そうさなぁ。師匠っつっても大したこと教えてないべ。」


「一般教養、平民と貴族のルールと生活の違い、生易しくない体術、静と動が生む健康な肉体の基礎運動と精神の繋がり、急に苦しくなった時の毒・病気の対処法・・・・・王城では学ばなかった事柄ばかりだ。教養は一般ではなく、王族貴族向けの主に人を使う為の王政教養や、騎士剣術、土地や人間や植生や物流などの分布配置・・・・王城ではそういう、周りを気にするべきことばかり教えられてきた。自分の為になることは全て師匠から教わった。」


アンドレが口に出したのはどちらの勉強もほんの一部だ。どちらも大事なことはわかってはいるが、アンドレにとってはレフティからの教えが今は王城で学んだことよりも大きな意味を持っている。本心だ。


「ほら、大したことはないべな。な、テンクウ」


「俺にはわからん。」


「師匠!!」


「残念だけっど、もう師匠はやれないから、辞めると言っとるべ。」


歴戦の女傑とでも言うのか、とてもいい顔をしながらそう、のたまう。


「・・・・なぜ」


「アタイ達はこの街から当分離れるから師匠なんてもんはやってられないからだべ」


驚愕。


「今まで、ウン十年間この街で暮らしてきたから、ここで骨を(うず)めるとまで、言ってたのに!?」


がははは!とレフティは笑った。


「そう!ちゃんと帰ってくるべ。ちょっと行かなきゃなんねぇ所が色々あってな、数ヶ月、もしくは何年も戻ってこないかもしれないけんどな。途中でぽっくりいくかも知れないってのも本音だべ。んだっけ、こちとら、年取りすぎとるからなぁ、それに」


「それに?」


「アタイのバカ兄の変死体の原因がわかる旅だべ、お前に止めることなんて出来ない」


「・・・」


「それと、帰ってきたときには、敵同士に完全になるかもしんないから、な。師匠なんてやめやめ!」


「今も敵みたいなものだろ」


テンクウがレフティにツッコむ。


「そーいやそーだべ!」


アンドレの肩は震えていた。怒りか、呆れか、本人にもわからなかったが、わなわなと震えていた。


「んじゃな」


「えっ」


レフティが別れの言葉を言うと同じくして3本足の凶弾犬のテンクウは風魔法を使って今いた()っ立て小屋を内側から解体するように吹き飛ばしつつ、レフティと外で待機していたミギィを連れて空の彼方に飛んでいってしまった。









「仲間に引き入れる予定だったんじゃなかったのか」


「出来たらそうしたかったけんど、ま、無理はしないほうがええべ」










ディオの部屋にノック音が鳴り響いた。


「どうぞ」


「お兄様失礼します」


「アンドレ、帰ってたのか」


アンドレの顔は異様に暗くいつもの覇気が無かったのはすぐに分かった。アンドレをソファに座らせ、話をさせようと思うも、雰囲気からして、無理に話させようと仕向けなくてもいつかは話してくれる確信があった。


ディオはアンドレの心情をそのままにし、ディオがアンドレに話さなくてはならないことを優先させてみた。


「アンドレ、実はね、私が受けた毒を盛った犯人がわかったんだ」


「なんですって!?本当ですかお兄様!?」



ちょっと短いので明日も更新します。



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