第278話
スズちゃん「スズね、スズだからね、えっと・・・・幽霊だから強くないから出番あんまりないんだよね☆でもスズはスズとして最強だとおもうの!」
ビャッコ「根拠の全く無い、本気を見せられるとあ然とするしかニャーよにゃー?(遠い目)」
テンクウ「あきらめないで!?」
珍しい連日更新です。昨日も更新してます。
風邪を引きそうになったりしたけれど、ちゃんと休んだあとにプントさんは私の師匠になった。
小屋で寝こけたものだから、私がまたどこかに消えたのではとディオさんが車椅子の魔道具をニョインニョインと動かして辺りを探しているのを見てしまって、小屋から出るに出にくくなっちゃったけど、どうにかこうにか許してもらえた。
いやもう、マジごめんなさい。小屋で寝る気はなったんです。戦闘後のハイにずっとなってたんだと思う。あとやっぱりグローくんを埋葬したから元気なつもりでナーバスになってたんだと思う。
だからかディオさんが私をぎゅっと抱きしめてくれて温かくて、風邪も引きそうだったのもあってか、涙が出そうだった。
プントさんは本当に優秀な執事さんだったようで、つまり、私生活でも仕事でも何をするにも、“どうすれば効率的に事をなせるか”を考えるのがウマイ人だということがわかった。
“周りを俯瞰的に見て、人を使う事に長けてる”人間というものは、簡単そうに見えて実はできる人はあまり居ない。
どうしても視野が狭くなるのが人間である。要因は“性格”や“効率過多”やら色々あるけれど、プントさんはその辺りの人間としてのパラメータの采配が執事としてちょうどいい感じなのだろう。マジ師匠。ホント師匠。ありがとう師匠。
プントさんの教え方めちゃウマで、師匠にしてほんとにほんとに良かった。ちなみに頑張ったご褒美がプントさんから提示されており、それもやる気に繋がっているというのもある。
そうこうしているうちにプントさんが師匠になってから2週間が過ぎた。あっという間にここに来て2ヶ月。
私は仲間を着々と増やしていった。あの日から保護の小屋はモンスター仲間用の家になった。改築して増築してさらに仲間が増え、かなり面白い小屋になっている。ここはサーカスか。違う。小屋である。それでは新しい仲間を紹介しよう。
言わずと知れた“グレムリン”2匹。
この世界にもいたんだね。映画のグレムリン好きで、モグワイのギズモのぬいぐるみをお母さんがUFOキャッチャーで取ったのが家にあったっけ。もふもふのふわふわのむちむちだけれど、ヤンチャ過ぎて映画のとはちょっと違って本当にイタズラガキンチョと言いたくなる感じの2匹だ。
名前は「ディエース」と「ウェスペル」
“ザッハーク”ひとり。
なんと!両肩にヘビが生えているという奇妙な男性。ケンタウルスを彷彿とさせるような野性味の溢れるなでつけた長髪に顔まわりの長いヒゲが特徴。
えっ男性だけどモンスター仲間になるの?!えっどうしよう、と、ディオさんに相談に駆けつけたこともありました。ゴーレムズと仲良くなってゴーレムズと一緒に暮らしている。
見た目は人間寄りだけれど、どちらかと言うと精霊寄りのモンスターらしく、怒ると人間らしさがなくなるタイプらしく人間との生活もいらんって言われた。モンスター仲間を増やせば王様という特殊な状態になって最強になるらしいけれど、ザッハークについて来てくれるのが今のところゴーレムズのみなのでその“王様ムーヴ”はまだ見れていない。
名前は「イャンターリ」
“イポトリル”1匹
これまた特殊なキメラモンスター。こんなの聞いたこと無かった。イノシシの頭、ラクダの体、牛やヤギの足とヒヅメ、ヘビの尻尾。の集合モンスター。ざっくり言うとラクダの体バージョンの幻獣の麒麟に近いかな?っていう感じのヤツ。
性格は常にビクビクしていてモンスターが集まってるから来てみた、程度。まじか。
名前は「ウェール」
“ヤギのパン”さんにん。
私が覚えているのは映画の「パンズラビリンス」というダークファンタジーの奇妙でコワイ“ヤギのパン”だったけれど、ここの“ヤギのパン”はどちらかというと、“犬のコボルト”とか“ホビット”とか“ハーフリング”とかそういう感じの、ちょっとほんわかした空気をまとった小柄な“ヤギのパン”
この子もザッハークと同じで上半身は多少人間味があるけれど、足はキメラのように完全にヤギなモンスターだ。ハシビロコウのミョルニルとスズちゃんと、アンドレのカラスと一緒に歌を歌ったりしていた。ここだけディズニー始まっちゃったかと思った。
名前は「ズィルパー」と「クプファー」と「アイゼン」
またもやキメラの“マンティコア”1匹。
髭面のおじいちゃんのような風貌の虎のようなモンスター。目がくりっとしていて何もかも見透かされるようなビー玉のような目が特徴的だ。
ザッハークとは性格が合わないらしく近づく度に喧嘩になりそう。マンティコアはグレムリンや蜘蛛隊と仲が良い。グレムリンのお目付け役状態。
名前は「ヴァルトス」
基本的には仲間になった子に仲間になれそうなモンスターを紹介してもらっている。プントさんがオーブ状態だった時に森とかをウロウロしていたから、その時に見た情報で出会ったりもした。うん。仲介って大事。
仲介、紹介。それがやっぱり1番手っ取り早い。マンティコアのヴァルトスが昨日仲間になってから目に見えるようにグレムリン達が大人しくなったのには嬉し泣きしそうだった。
新しい仲間を次々迎えててんやわんやで2週間がドタバタで、一瞬だった。アンドレのカラスは私のモンスター仲間に会いに時々来るようになった。彼は“夢幻カラス”というモンスターで人を道に迷わせたりする“幻惑倒錯魔法”を得意とするらしい。道に迷って近くにカラスがいたら夢幻カラスかもしれないそうだ。まじかー。
アンドレのもうひとりの相棒の黒ネコさんは未だに会話していない。グレムリン達と蜘蛛隊は「会った」「イタズラした〜」「すぐ逃げた」「すぐ怒る」などなど、目撃というか出会い情報がズラリ。というかイタズラしちゃダメです。怒るのは当たり前です。・・・・人の話聞いてないな。ヴァルトスを呼ぼう。あっ逃げた。逃げるくらいならやらなきゃいいのに。
3尾のキツネのテュルフィングこと、テュルさんがイノシシのサイショウくんとふたりでこちらに向かってきた。
「モナ、ちょっといいかしら。サイショウと話していてこの近くにタヌキモンスターの隠れ里がまだあるかも知れないという話になったの。」
テュルさんがそう話す。麗しいキツネだなぁ。
「隠れ里?」
「モナ、力かなり増えた。オレも力増えたからか、忘れかけていたものも思い出せたんだ。テュルを見ていてそういえばって。長生きのメスタヌキに会えれば一気に仲間がまた増えるかも。って思って。」
真っ白いイノシシのサイショウくんはとにかく早く首輪から開放されたくて昨日マンティコアが仲間になった時は、力が沢山増えた実感が一気に湧いて喜んでいた。
力が増えると記憶容量が増えた?ゲーム?仕組みがわからん。まあ、それは置いといて。
「今までタヌキなんて見かけたことなかったけど」
そんなタヌキモンスターホントにいるの?絶滅してない?って疑いたくなるくらいには、出会った形跡が無かった。今の今まで誰からも報告が無かったからだ。
「いる。大丈夫。」
イノシシのサイショウくんは自信たっぷりに答えた。
「私もいると思う。すっかり忘れていたけれど、昔キツネとタヌキは手を取り合って生きていた事もあったからね」
「なるほど」
平成狸合戦ポンポコを脳内が駆け巡った。きっと違う。
「蜘蛛隊隊長!ブランクォとネグロ〜こっち来て〜」
といえば、どこからともなくササッと舞い降りてくる。忍者のような動き。デキル子達だ。うん。ちょっとだけ未だにビビる。
「テュルさん、サイショウくん。蜘蛛隊を使っていいから、隠れ里探してみて。見つけたらホウレンソウよろしく!」
「報告、連絡、相談だよね!任せて!」
イノシシのサイショウくんは鼻息をフンスーと勢いよく出しつつ胸を張るように答えた。頼もしい。
新しい仲間になってくれるだろうか。
名前の由来
ウェール・・・春
ズィルパー・・・銀
クプファー・・・銅
アイゼン・・・鉄
ヴァルトス・・・沼
イャンターリ・・・琥珀
ディエース・・・昼間
ウェスペル・・・夕方
書き忘れてたけど前回のあとがきに書いた蜘蛛隊達の名前はそのまま色が由来です。
ハシビロコウと3尾のキツネは伝説の武器から名前を取りました。
今回出てきた新しい仲間モンスターは私の創作ではなく、既存のどっかしらの幻獣とかに載ってるヤツラです。ウィキペディアにも掲載されているので興味がある方は調べてみると面白いかも。
イノシシの頭でラクダの体!?んえ!?って思ったけど、画像見たら、なるほどー、うん。可愛くないな!いや、これはこれでキモカワイイ的な魅力が??と、見ました。
ヤギのパンは“山羊のパン”パンはパンでも神話に出てくる食べられないパンです。パンじゃなくて、パーンって記載してるものもあります。悪魔だとか神獣だとかイタズラモンスターだとか色々ありますが、名前が食べ物を連想しやすいので、名前どうにかならんかな、と思いましたが思いつかなかったのでそのままにしました。パン、パーン、パァン、プァン・・・・。うーん。
ありがとうウィキペディア。便利って最強。神話とか幻獣とか色々大好きな作者です。本屋で売ってたアーサースパイダーウィックの妖精図鑑とかも好きです。
ではまた次回。