第276話
1日勘違いしていました。遅くなってすみません。
if世界。長いなぁ。すみません。
プントさんはアンドレくんとディオさんの執事だったらしい。
プントさんは高齢だったため“胸魔心症”という名のこの世界特有の魔法の特殊な病気にかかってしまったため死んでしまったらしい。
日本にはない病気だな。名前が狭心症を思い出すけど、違うっぽい。というか病気もそんなに詳しくない。風邪、インフルエンザ、糖尿病、高血圧、とかまあ一般的によく聞くやつとかしかなんとなくしか知らない。狭心症ってたしか胸が苦しくなる系の病気だったと思う。
“胸魔心症”はどちらかと言うと毒とか呪いの類に近いものらしい。あとご高齢がなりやすい病気らしい。
魔力があるところでしか発症しないものらしく、プントさんはアンドレくんとディオさんのために魔法をご高齢になってからも使っていたらしいので、それのせいもあって死亡したのだとディオさんは頭を抱えるような形で悔しそうに話してくれた。
「もっとプントをいたわってあげればよかった」
「そんなことはございません私は私がやりたいがためにやったのです」
アンドレくんとディオさんが魔力を分け与えたのでプントさんの霊体が濃くなってさっきよりも話し声が普通の人間並みになった。
「ところでどうやって知り合ったんだ。というかプントのその体一体どうなっているんだ。プントに言われるがまま魔力を与えたらプントがすごく見えやすくなったけれど、このまま人間として復活しないのか、して欲しい。しないのか?」
「坊ちゃま、興奮し過ぎです。落ち着いてください。そして復活しません。体は朽ちました」
「お前に坊ちゃまって呼ばれたのはいつぶりだろう・・・」
ディオさんの目に涙が。
「そのモナの友達のスズと同じようにはっきりと見える幽霊なんて知らないぞ。しかも 自我を保ったままのもので野良の幽霊だなんて。幽霊屋敷の現れるレイスとかそういうモンスター系のやつは知っているがプントやスズのように、はっきりときれいな状態での魂で会話ができるなんて聞いたことがなかったからびっくりだ」
「坊ちゃま、よく勉学に励んでいらっしゃるようで私は嬉しいです。」
アンドレくんの目に涙が。
プントさんにかかれば、両方坊ちゃまなのが微笑ましい。二人共どんな子供だったんだろう。ぷにぷにふわふわのもちもちの子供時代の二人・・・・絶対可愛いだろう。
きっと鼻血ものだと思う。あ、でも、あの王城で暮らしていたんだよね。・・・・ディオさんは大人しそうなイメージだけど、アンドレくんはそういう言葉の駆け引きとか応酬苦手そうだから病みそうだよなぁ。
勝手なイメージだけど。いや、むしろヤンチャボーズだったりするのかな?わからないけど、プントさんの一言、一言で、勝手に色々想像してしまう。
理屈は分からないけれどスズちゃん自身も霊体なのに見える状態を維持しているのはすごいことなのだろう。
そのスズちゃんのことに関しては、私の魔力とかが比例しているので、そっちは何とも本当に私ありきになってしまう。プントさんの霊体については結構プントさんありき なのでその辺りはちょっと違う仕組みが違うハズなので説明しろと言われてもうまいこと話せない。
2人にはプントさんも私も説明していないが私の怪我を回復してくれた為、プントさんの霊体が薄くなってしまっていた。
プントさんの魂に出会ったのは、館で少しだけ体が回復したから、飛ばされてずっと気になっていたグローくんの体を探したその時だ。
蜘蛛隊がグローくんの体に何匹か付いていてくれていたはずだから、テイマーの力が私達を繋いでくれるので、蜘蛛隊が死んでいなければテイマーとモンスターの共有本能で見つけることが出来る。
ちょっとだけ回復したからスズちゃんが消滅していないことの確認も兼ねてちょっとばかり無理やり呼び出した。無理やり呼び出したけど、私の精神が安定してないとかで、スズちゃんが落ち着くために色々声をかけてくれた。本当にとても有難い存在だ。スズちゃんがいてくれて良かった。
グローくんは3本足の凶弾犬のテンクウというあのボロボロの犬を尊敬していた。だからこそ牙をむいた。グローくんのよわくわからないプライド・・・いやきっと“ヤンキー系の根性論”とか“スポーツマンにしかわからない目と目でかわす熱い戦い”とかそう言うのだってことだと思う。たぶん。
グローくんはグローくんの生がある。強敵に出会えたことによる興奮。色々な状況が相まって、まあ、頑張ったんだろう。死んじゃったけど。
だって圧倒的強さだったんだよ3本足の凶弾犬。グローくんも負けるのわかってて突っ込んでいったのに、戦闘中も死に顔も生き生きしていた。死んだことはとてもとてもとーーーーーっても悲しかったのに、あの顔を見てしまうと悲しさなんてバカらしくなってしまう。
幸せなら良かった。いや、良くない。死なないでほしかったな。
グローくんの死体を見つけるのにウロウロと、スズちゃんと一緒に森の中を歩いている時に、不思議な光の玉のようなものが浮かんでいるのを見つけて、そういえば日本でもそういう光の玉がふよふよ浮いてたりとかする現象のことを“オーブ”と呼んだりとかするのをちょっと思い出したんだよね。
信じるか信じないかあなた次第です!やりすぎ都市伝説?いや、目の前に見えてるけどね。
そこでちょっと気になって『スズちゃん、オーブだよ。綺麗だね』って言ってみたら、『あの光の玉を取り込めばすぐはきっと強くなるからさっきまでの怪我も治せるかも』というなんか良くわからないスズちゃんからの提案があったんですよ。取り込むの?えっ?
で、取り込もうとしたら魔力の質が違うらしくて、スズちゃんと光の玉が弾けてでその時にで、すずちゃんに内包していた魔力がその多くと混ざってオーブから幽霊にチェンジした感じ。
いや、レベルアップって言った方がいいんだろうか。進化的な。多分そうだと思うんだけど どうだろう。わかんない。私だってそういう経験はないのでそれがそれであるかどうかも定かではない。
最初はびっくりしたけれど、グローくんの体がどこにあるのかもわからなかったので幽霊は放置しようかと思った。だって急に目の前で変化が起こったのなら、なにがその先起こるのかわからない。
逃げの一手を一応でも取っておけばと思ってしまうのは、普通のことだと思う。そうは思わんかね。心の私よ(意味不明発言)
そのオーブの形が変わってきてちょっとしたお人形サイズぐらいの人の形に変わりました。そこで私の体の傷跡にプントさんが気づいたらしく、なぜかお礼を言われながら回復魔法と体を強化する魔法とあと索敵能力っていうの?物を探したりとかする能力を底上げしてもらいした。一気にやられてえっえっえっってなった。
スズちゃんも口パッカーンのポッカーンので、固まっちゃったよね。まあそのおかげでグローくんの埋葬がすぐにできたんですけれどなかなかにすごいことを色々してもらいました。
オーブの状態のまま消滅することもあった魂が霊に昇格したことがプントさんにとって、とてもすごく嬉しいことだったので大盤振る舞いしたそうです。索敵を底上げしたのは、つまり、ディオさんとアンドレくんのいる館までの足にしようとして、どうせ恩を売るなら一気に!ということだったらしいです。頭の回転が早すぎてついていけなかったよ。
霊からするとひとりひとりの魔力の放出が見えるらしくて
私の内包している魔力に対して出てくる魔力が少なすぎるらしく、霊プントさんから指摘をもらった。王城で習った魔力の使い方よりプントさんの教え方のほうが私には覚えやすい。波長的なものが合うのかもしれない。それで。
「霊プントさんには、ここで出会ったのも何かの縁だからということで、私の魔法の師匠になってもらいました」
「師匠・・・だと!?」
アンドレくんは師匠っていう言葉がすごく気になるんだろうか。そうじゃなくてもアンドレくんには師匠がいるじゃない。私だって師匠が欲しいとか言ったら駄目だろうか。
異世界に来て約1ヶ月の異世界初心者だぞ。ここはみんな優しいからとっても過ごしやすいけれど、王城と違ってこの世界についての勉強はそこまで進まない。いや、王城はなんかこう人間同士の諍いがジワジワしてるからあそこに帰りたいとは思わないけど。
師匠を手に入れれば私がテイマーとして仲間を沢山増やして強くなる方法が見つかるかもしれない。プントさんにも言う予定は今のところ無いけれど、神殺しに近づける。
執事だったのなら、色々知っているはず。・・・・ね?
「アンドレくんばっかりずるい」
スネて言ってみたらアンドレくん固まった。