第273話
if世界のディオさん1人語り回。というか手記(日記)。
私はディオ。ディオールウェリス。今日は色々あった。手記につづる。
某月某日、天気晴れ
モナが異世界からきた事は聞いていたけれど、毎日の散歩などでその異世界について色々と情報が開示されていくのが毎日楽しかったが、当分はモナと散歩する時間は取れなさそうだ。
今日はモナが教えてくれたこのロッテリーの街の土地神である、女神様にお目通りさせていただいた。モナがやっていることについては、モナから聞いてはいたけれど、これはスタンピードと呼ばれるモンスターの氾濫とは同じではないのだろうか。
聞いてみたけれど、違うと言われたらそうかと諦めるしかないが、やはりなにか引っかかった。私も力になりたかったのに、断られてしまった。
モナは最近、ウサギのミナモを亡くしてから女神様に不信感を抱いていた。モナから先日直接聞いたから知っている。
しかし女神様に会ったモナはすごく楽しそうだったし、気合が入っていたし、とても、そう、とても高揚した雰囲気だった。モナの様子に私もアンドレも驚いた。
あの女神様が何かをしたのかもしれない。私達はモナに女神様だと紹介を受けたから女神様だと思っていたが、もしや悪魔か特殊なモンスターの類ではないかと少し疑っている。
神はいるとは思ってはいるが、見るだけで神々しさに涙が溢れそうになってもなにかの間違いではないかと疑ってしまう。私の悪い癖。この慎重さでこの街はギリギリを保っている。今までのマイナス面という、人からの信頼・信用の無さを、ようやくプラスマイナスゼロまで直すのにこの10年は長かった。
土地神なんてものがいたのならもう少しどこからか恩恵を感じたかったけれど、あの女神様では無理だと思う。何故わかるか?ほぼ勘だ。しかしモナの変わりようを見てしまうとその勘は当たりだと思ってしまう。
あのモナの感じからするともしやとは思うが精神系魔法か何かがかかっている様子に見えた。目が光がないのにとても元気で少し怖い。それが今日のモナだった。あの女神様がモナに暗示でもかけているのだろうか。
それとも私が見たものは女神様が見せた偽りだったのだろうか。いいや、あれはその場の真実だ。
真実だ。だからこそ本当に私は悔やんだ。彼女の方に手を乗せて気づかせたりができない。なぜって自分の足は動かせないから。足が動かなくても生きていける。ああ、生きていけるともさ。人に頼って生きていっている。私の力は微々たるもので、今回は役に立たなかった。
私はバカだ。大馬鹿者だ。ああ、あの時モナに言ったことは真実だ。しかしそれはその場の真実に過ぎない。結局は何も出来ないただの男だ。情けない。
私はモナが好きだ。好きだ。前の妻と全く違って笑顔を見せてくれる、話を聞いて寄り添って意見を述べてくれる。今まで出会った誰よりも私の事を気にかけてくれる。そう私は感じた。
モナにとってはそれは出会った人に平等にしている事柄かもしれないし、そうではないかもしれないし、何を考えているんだ。モナは今までの女性とは、きっと違う。
私は色々な経験から女性が苦手だ。
女児ではない女性。女性なのにモナは安らいだ。そう・・・・違うんだ。
モナとあの王城の裏手の森で出会った時からわかっていた。そのうち居なくなってしまうかもしれないけれど、友として好きだ。そう、モナに出会えた私は運が良い。
王城に居た時は、療養としてあちらに出向いていたけれど、モナと会ってから日が過ぎるのがとても早かった。しかしそうなると日数が経つのも早いわけで、私はこのロッテリーの街に帰らなければならない日が刻々と迫ってきていた。
わかっている。わかっている。領主としての仕事をしてる執事などに委任してもらっているとはいえ、重要なものは後回しにしてもらっていた。簡単な仕事は王城に届けてもらえたけれど、どうしても外に出せない書類はあるものなのだ。仕事はこのロッテリー溜まっていた。だから帰ってきた。1人で。
モナと一緒に旅をしてみたかった。アンドレの纏う空気が数日で変わっていたな。はは。後悔しかない。
魔術医療のおかげで本当に命だけは助かったが足が機能しなくなった。元妻が殺人未遂を犯してから約3ヶ月長かったような短かったような。
元々、私はあの人が不倫をしているのは・・・・知っていた。引き裂く形になったのは私のせいだからな。しかし、私と結婚する前から1度も別れていなかったと聞かされた時はとても驚いた。
結婚した時は相手の男性は身を引いてどこかの街に移り住んだとの報告があったから、別れたと思っていた。
不倫をし始めたのはここ2年ほどだと思っていた私が浅はかだった。前の領主である義父様が生きていたら、どんな反応だっただろうか。私を領主にすると言ったあの日を思い出して、打ちひしがれるだろうか?それとも私の足をみて請い悔やむことに専念しただろうか。
私も意地が悪いな。もう居ない人に思いをはせても仕方がない。
居ない人というと、プントとチェルキョが懐かしい。もうどちらも亡くなってしまったけれど、あの2人が居てくれたらなと今更ながら思う。モナのことを相談出来るのなら、きっとこの2人なら適任だろう。もういないけれど。
いや、2人が居たら怒られただろうな。
私が焦ってモナに好きだと告白してしまったから。そして婚前のお付き合いという付き合いを始めた。結婚は、しないかもしれない。するかもしなれない。まだわからない。それを確認する為のお付き合い期間だ。
まだ、友人だと思っている。モナの事は好きだ。好きだよ。しかし、まだ友人としてだ。キスも出来るし、ハグもしたい。しかし、家族となれるのか、わからない。
私は今までの経験から女性が苦手だ。だけれどモナは話しやすい。だからこそ、取られたく無かった。そう、モナとアンドレがこの街に来るまでの旅路でなにがあったのかは知らないけれど、アンドレのモナの見る目が違った。ああ、特に最近はもっと、そう、もっと・・・・。あれは恋する目だ。あれは愛する目だ。
私のなにが駆り立てたのか。私の独占欲とでもいうのか。私はモナをアンドレに渡したくなかった。私が焦ってモナに好きだと告白した。先手を打てたようで、モナは同意してくれた。
アンドレは間違っている。アンドレが外に師匠に何を教わりに行っているのか私はアンドレから聞いている。モナには違うことをしていると誤魔化してくれとも言われていた。アンドレの師匠に会っていることは変わらないが、実はアンドレはモナを守れる男になりたいから修行しに行っていると言っていた。
アンドレは間違っている。まずその前に、モナと話す時間を増やして親密にならなければ意味がない。アンドレのやっていることは自己満足の独りよがりに過ぎない。まだ子供なのだ。
アンドレに付き合うと報告した時はかなり驚かれたが、モナ自身が「ディオさんの顔が好みのタイプ」とかアンドレにも言っていたようで、困惑しながらも祝ってくれた。
それにアンドレにも、私はモナを好きだと公言していたから両思いになれたのだと、喜ばれた。それを本物にするだめにはモナといる時間を増やしたい。
アンドレには申し訳ないことをしたと思うが、モナは譲りたくない。この感情はなんだろうか。
最初の話に戻るがモナの身が心配だ。
なにか私に出来ることはないだろうか。領主として、恋人として、友人として、仲間として。どれでもいい。今日のモナがおかしい事はわかる。モナのモンスター達にはあの状態が伝わっているのだろうか。
ゴーレムの1体の中身が破壊されるほどの特殊な能力で、モナの感情で、テイミングされたモンスター達の命が決まる。
第3波の前にあのモンスター達に個人的に話を聞いてみることは出来ないだろうか。今まであのモンスター達単体のみで会った事はない。
とくにそう、あの、スズちゃんという鳥に話を聞いてみたい。どうだろう。本当にモナはその第3波で怪我もなく帰って来れるのだろうか。モナの感情のあり様は?モナは神に翻弄されているのかいないのか。
いいや、こんな事を考えている時点でモナでなくとも、私も翻弄され、困惑し、纏まらない気持ちをツラツラとこうして手記という形で書きなぐっているではないか。
書いたら読み直そう。私がどんなに駄目な人間で、私がこれからするべきは何かを考える為に。
明日は何かひらめくことを祈って、今日の手記はここまでとする。
次回は明後日予定です
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(・ω・ )ルンルン
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◎┻し'◎ ≡