第272話
そうこうしてるうちにさらにあっという間に1週間がたった。新しい蜘蛛隊の仲間を迎えたのを見て、仲間にしたい子がいたら連れてきていいよ。と、まあ、曖昧な事を言ってみたら、みんなソワソワし始めて私までソワソワしてしまった。
ゴーレムの聞いた事について言及してみたら、オスっぽいゴーレムの方の胴体部分の中身が空洞化していっていたらしい。私がミナモを亡くして悲しんでいた時の後遺症らしい。
他の子も変なアザが浮き出てきていたり、ヤケドのようなただれたあとが出来たりしていたけれど、私が元気になるにつれて回復して治っていったらしい。もうほとんどあとは残っていないけれど、ゴーレムの空洞化だけは回復出来るものとは違ったためにそのままになってしまっているらしい。
お手入れしている時は全然気づかなかった。本当に私は何をやっているのだろう。情けない。しっかりしなきゃ。やれる。できる。なんとかなるさ。なんとかなるなるどうにかなる。今日も明日も歩けるはずさ。私の未来はみんなと共に。イケイケゴーゴーじゃーーんぷ。
「モナちゃん?」
スズちゃんに何してるのって首をかしげられた。うぃ。
スズちゃんは私と一緒にこの世界に来たから仲間を集めるという行為に二の足を踏む感じでうまく行っていない。普通のモンスターからは見えないこともあるし、守護霊はまたモンスターとは別枠なので難しいとかなんとか。諦めていないようなのでそのうち手伝えたらと思っている。
イノシシのサイショウくんは元々神獣見習いだったからか、神々しくなりそうな動物っぽいモンスターを連れてきた。九尾ではないけれど3尾のキツネ。ハシビロコウみたいな顔の銀色の鳥。の2匹だ。事情も全て話してからテイミングした。
蜘蛛隊は50匹以上は今の所保留にさせてもらっている。どれがテイミングした蜘蛛なのかとか、一応テイミングしてるから分かるには分かるんだけど、分からなくなりそうだから遠慮した。うん。あと、やっぱり55匹が一斉に集まると、鳥肌が立ってしまうので、あまり密集し過ぎないようにと注意した。時間をください。コワイ。
ゴーレムズはさすがに体もそこそこ大きいので仲間を増やすことはないと思っていたら、トトロの小さめの中トトロぐらいのサイズの雪だるまみたいな、コロコロした人形みたいな、ゴーレムらしいものを3匹足元にくっつけていた。おかしい。ゴーレムズは片方がミニゴーレムで片方がプチゴーレムという名前の種族のゴーレムだったはずだ。
それより小さいゴーレム?え?あれはゴーレムズの子供??そのうち聞くつもりだけど、未だに聞く勇気がない。まだテイミングしてほしいとか言われてないので、様子を見守ることにしている。
そしてグローはというと、スズちゃんと同じでなぜだか二の足を踏んでいる状態になっている。みんながソワソワしている中で唯一グローだけ意気消沈しているように見えた。どうしてかはわからない。聞いていいのかこれまた悩む。
そうこうしていたら久しぶりにフクロウのタイサイさんが飛んできた。
「3日後の夜中ですか」
「はい。なのでまたお屋敷を少しみんなで離れます」
「怪我するなよ」
「心配してくれてありがとう」
ディオさんとアンドレと3人で館の食堂でディナーをしながらタイサイさんから来た第3波のお知らせを受けた。
「モナ」
「はい?」
「私も魔法などでモナの手伝いをしてはいけないだろうか」
「ダメですよ。横竪さんが前にダメって言ってたじゃないですか」
「変わった魔道具なども開発しているし、私は役に立つ」
「わかっています。でも領主様です」
「モナは私の愛しい人なのだ。守れる機会があるのなら私は動きたい」
うぐっ、このイケメンのお顔でそんな事を真面目に言われたらキュンッっていうか、ギュンッだよね。
「お兄様。土地神様に直談判しにいくのはどうですか?俺も姉上の手伝いが出来るのならしたいです」
アンドレくんまで。でも私の魔力を最速でアップするためには、私1人で出来る限りモンスターをテイミングして、という話だった。・・・でも、助かるのは事実。少しでも負担が減るのなら。しかしなー、ディオさんは本当に本当にこの街の領主だから怪我なんてあった日には領民に私が殺されるかもしれないよね。
「いけませんよ。私はディオさん達には私の帰りを待っていて欲しいです」
「土地神様が許可をくれたら行っても良いだろう?」
「それは、まあ、その、ハイ」
「森に行きましょうお兄様」
ディオさんとアンドレは私の為に動いてくれた。私もその数日後の出てくるモンスターについての詳しくを聞くために3人で一緒に横竪さんの元へ向かったのだが、私の予想通り返事はNOの1択だった。
私はそれに違和感もなにも無かったし、それに対して怒りも焦燥も無かった。諦めに似たような、その感情は私を無表情に近くした。
強くなってやる。
第3波が待ち遠しかった。
ディオさんとアンドレがその私の姿を見て不吉な予感を感じていただなんて知る由もなかった。
なぜって、やる気に満ち溢れていたのだから。
続きは18日予定です。