第271話
if世界
モナの過去であり、ロッテリーの未来に起きた出来事
また自室から出てはその辺をうろちょろすること小一時間・・・。・・・まとまらない。というか、デメリットが私の感情の起伏で落ち込んだら仲間が死んでしまう可能性があるってことが最大のデメリット過ぎて、やっぱり仲間を増やすのに抵抗が。
でもみんなの言っていた通り、メリットのほうが断然大きい。勢い余ってうん!って言いたかった。うーん、うーん・・・・。相談を誰にも結局できないまま、そろそろ歩き回りすぎて疲れてきた。・・・・戻ろうかな。もう、みんながこう、決意を持ってくれているのだから、水を差すような物言いとかしなくていいんじゃないかな。
首輪が取れたほうが良いに決まってるんだし。
・・・・・・よし。返事しに行こう。色々考えても結局はこれから仲間にする子達とも話せばいいってことだもの。
「あの、何しているんですか」
「うわぁ!?ってアンドレくんか。背後に立つとはいい度胸だ!」
「えー・・・すみません?」
疑問形で返された。いや、だってさ、後ろから急に声をかけられたらビビるよね?ビビリーのビビリアンだよね!?ビビりのビリビリのびっびりーだよ!?うん、何言ってんのかわかんなくなってきた。
「って、アレ?アンドレくん、健康になってる?!」
クマがない。ガリガリだった腕が人並になってる。手首見れば分かる。ガリガリの人って手首細いよね。アンドレくんも細かったのに!成長ってスゴイ。青少年よ大師を抱け。違うか。
「そうか?ん?」
「そうだよ!あー、良かったぁ」
「なんで良かったと思うんだ?俺の事だろう」
「なんでって、だって、知り合いのことは心配するよ?」
だって弟みたいな存在だし。弟いた事ないけど。心配するのは普通のことで・・・・。そうだここは日本じゃないんだから、私が通常の事だと思っている常識も違ったかもしれない。日本だって江戸の普通と明治の普通と大正の普通と昭和の普通と平成の普通と令和の普通は少しずつ、きっと違うわけで・・・。
「そ、そうか」
と、思ったけどなんだかアンドレくんの反応が嬉しそうだから、大丈夫っぽい。
「うん」
「で、何していたんだ」
ハッ
「ええと」
アンドレくんに相談にのってもらうことにした。うろちょろしていた辺りではなく、少し外れの所にあずま屋みたいな休憩所の所に案内された。そうだそういえばココにこんな場所あったんだった。ディオさんと少し前に利用したことあったけど、すっかりさっぱり忘れてたよ。座ると話し始めた私の言葉を静かに聞いてくれた。こういう所ディオさんと似てて微笑ましいな。
「なるほど、つまり統率が取れなくなったり、自身に何か悪影響がないかと心配しているってことだな。」
「そうなんだよ」
「心配しすぎるのはクセなのか?」
「やっぱり心配しすぎかな!?」
「戦争じゃないから・・・・しかし、やっていることは似たようなことか?なら慎重になって然るべきか。でもこの土地の神からの依頼なんだろう?普通あまり無茶はさせない気がする」
「でも」
その先が言えそうで言えなかった。口をはくはくとさせて、喉から声が出なくなった。ははは。だって横竪さんに不信感を抱いちゃってるんだよ?今まで知っていたつもりでいた知識が改ざんされたものかもしれないし、なによりこの先、教えてもらってない事が起きる可能性が高くなったんだよ。
勇者とか、破天荒な子供じゃなくて、私はそこそこな人間なんだよ?ココにこなかったら単なる平凡な人間でしか無くて、たまたまあの神社でかち合っちゃっただけで。
大人って無謀なことはしづらくなっていく生き物なんだよ。家庭とか愛しい人が増えたり、税とか保険とか色々考えなきゃいけない事とか増えたり、大人って子供から見たら凄そうに見えたりするけど、案外心は子供の頃より弱くなったりしてる部分もあるわけで。
「わた、しの、せいで、苦しむ子が、増えそうで怖いなって・・・あはは。」
笑って誤魔化してみたけれど、乾いた笑いに上手いこと声は乗らない。
そうだそういえば、ゴーレムがどうとか言ってたような。帰ったら詳しく聞かないと。
「お前なら大丈夫だ。お兄様が認めた人だ。」
なんの自信だそれ。
「大体苦しんでいたはずの、犬達が宣言してきたんだろう。それがもし、緊迫している戦いの前夜に言われたらどう返したんだ?断ったのか」
「いやでも戦いの前夜じゃないからなぁ」
「じゃあ、俺が大丈夫だと思うからイケ。いいか?オレが、やれといったから、モンスター達には、俺から命令されたからってことにしろ」
「えええ、なんで急にそんな話に」
意味わからんぬ。でもその無駄に高い自信に笑いがこみ上げて来た。なんだろう、あ、可愛いんだ。アンドレくん、可愛い。
「ふはっ」
おっといけない
「なぜ笑う?」
「エー、ワタシワラッテマセン、ヨー」
「笑った!笑ってた!なんでごまかしたんだ!?」
ふはは・・・!アンドレくんの一挙一動に癒やされたかもしれない。うん、私大丈夫かも。
「ありがと」
「あ、ああ?」
「ありがとー!相談上手だね」
「そ、そうか!?そうだな、最近は師匠に色々聞いてもらっていたから少しそういう力がついたのかもしれない」
聞いてもらうくらいじゃ多分成長はしないと思うな。とは、言えない。
「俺も1ついいか?」
「うん、なぁに?」
「お兄様と結婚するのか?」
「まだわからないよ。ほら、私異世界に帰るつもりだからさ」
「お兄様はそれを許したんだろう?婚前契約とか交わすんだろう?」
婚前契約!?海外ドラマみたい!日本で婚前契約とかあんまり聞かないけど、ハリウッド的なニュースとかだと聞くよね!?
「まだそういう話はしてなくて、でも、そっかそういう話もしたほうがいいのか。むむむむむ・・・」
色々早まり過ぎたなぁ。ディオさんと改めて話し合わなければ。
「まあその話は2人でしてくれ。それでだな、その、あの、・・・・姉上と、呼んでも良いだろうか」
なんで!?可愛い生物がココにいます。なんで!?
「一応俺にはお姉様や姉君達がいらっしゃるんだが、他国に嫁いだり、平民に下ってほとんど会わないまま顔も知らずに別れたり、城に居ても仲良くしたことがなかったりとか、色々あってあまり姉という存在がその、だな」
「いいよ!すごく嬉しい!私もアンドレくんのこと弟みたいって思ってたから!」
っていった直後になんかショック受けてるのなんでですかね?少年の心境が良くわかんないよ。お、持ち直した。
「で、では。ごほん・・・。あ、姉上」
「はい!」
「姉上」
「ふぇい!」
「姉上、ふざけないでください」
「ほーい。ふふっ」
アンドレくんと少し話をしたら本当に心が軽くなった。アンドレくんがもう少し大人だったらもっと違った感想がわいたのかもしれないけれど、可愛いしか出なかった。そろそろ大人な年齢に可愛いは可哀想か。でもほら見た目がってわけじゃなくてだね、精神的なそういうアレが可愛いわけで。誰に言い訳言ってるんだ。
そしてアンドレくんと別れて私は自室に戻った。返事をして、明日から本格的に仲間を増やす算段と、外にいる蜘蛛隊の仲間にできるという50匹についてレクチャーというか、紹介というか、ちょっと蜘蛛を50匹は精神に来るものが少しあったので、せめて10匹ずつの紹介にしてほしいと涙ながらに訴えた。
うごうごシャカシャカ蜘蛛がいっぱいいるのは、もうほんと、こう、うん。見慣れてない私にはマジでキツかった。吐かなくてなにより。
明日また更新予定です
蜘蛛隊「「「「「ナカマ、フエたら、言葉、リュウチョウ、なるーーーーー!やったーーー!」」」」」
モナ「そうなの!?」
モナの力が増す度に仲間との意思疎通がモナに近づくという状態なので、グロー以外も気づけば普通の喋り方になっていっています。って書き忘れた気がするのでここで、小ネタ風に出しとく。