第268話
今まで1日に1度はどこかしらで顔を合わせていた人が急に2日も、3日も一切会えなくなるというのは、相手の事情にもよるが社会に出ていたら、結構ままあることで、子供のように“どうしたんだろう?”と思いを馳せる時間も大体は仕事など作業を目の前にしていたら、忘れてしまいがちな訳で。
「ヤマーくん、リヴァイくん、シャタニくん。ディオさん、パーティ出てから仕事が舞い込んできて忙しいって聞いたけど、その後進捗どんな感じ?私に手伝えることってないかなぁ」
モナは女神様についてや、テイマーについてや、ミナモの死についてなどで、落ち込んでいたが、起きて・食べて・動けば、涙は枯れなくとも気持ちも落ちついて来るというもので。
ディオがパーティに出てから数日が過ぎていた。
アンドレは朝から居ない日が多く、夕食の時間に顔を合わせるぐらい。今日どう1日過ごしたかを食事をしながら語ったりしていた。数日前まではディオもいた。
モナは客人という体なので山川谷トリオや執事やメイドに頼めば大体のことは事足りた。外に出るのも1言言えば、基本的には外出自由だ。
なのにディオの部屋には数日前から立ち入り禁止。モナもやりたいことや考える事があるから、最初は気にも止めてなかったが、流石に数日が過ぎるてもどうにもならないとなってしまうと、おや?と思いを馳せる時間が増えてしまうのは当然の節理だ。
山川谷トリオが3人ともちょうどモナの部屋に来てくれていた。モナと一緒に、モンスター達のブラッシングやらのお手入れをしてあげようという事になり、みんなで集合してやっていた。
ゴーレムズは通常のゴーレムよりは小さくなったが、流石にゴーレムズが2体とも入る入り口がある部屋が無いので、ベランダにすぐに出られる作りになっている庭と続いている、1階のとある部屋で集まっていた。
ゴーレムズは体を覆っている服のようになっている苔のようなものを手入れされるとホコリが払われて、とても喜んでいた。
グローはブラッシングを最初はイヤイヤしていたけれど、終わりにすると「それで終わりなのか?だらしない」と悪態をつくように言いつつ、しっぽがブンブンブンブン振られていたのがダラリと下がってしょんぼりしているのが見ていて丸わかりで、ブラッシングが気に入ったことが充分伺えた。
サイショウはイノシシで毛がかなり太いため犬用などに使えるブラシは使うことが出来ない。
サイショウはイノシシに比べると子供だからかなり小さいけれど、サイショウの体から生えている毛はいわゆるハリネズミと同じような固さだったりするので、さすがに館にあるものではムリと言うともあって、お湯での濡れタオルを毛に沿って拭いてやり、乾いたタオルでさらに拭いてやる、ブラッシングとまではいかないけれど、お手入れをこなすと、気持ちが良かったのかサイショウにとても好評だった。
蜘蛛隊はもブラッシングには向かない体をしていた為、温かい濡れタオルと、乾いたタオルで拭いてやった。
スズちゃんは霊体だけど、モナと体感温度は共有しているようで、日の当たる辺りにいくと、気持ちよさそうに目を閉じているのが見えた。
そんな折にモナは3人に聞いたのだが、3人が3人ともモゴモゴと口ごもってヒソヒソと内緒話が始まってしまう。
「ま、まさか」
「「「え!?」」」
モナは急に閃いた。3人は動揺して待った。
「私・・・・なにか粗相をしてディオさんに嫌われ、た・・・・?」
当たっていないから安心、というような想像ではなかった。モナは自分が勝手に妄想した“これをやらかしたかもしれない”“だから距離を取られたのかもしれない”と、陰鬱としたタラレバ妄想が3人の目の前に繰り広げられ始めた。
「モナさんが、く、暗い!?」
「あ、明るいモナさんに戻ってー!」
「止まって!止まって!違うんです」
「・・・・違う?何がどう違うの?」
恨みがましいような目で3人を見つめていたら、ゴーレムズがモナの目線を遮るように手を伸ばして来た。
穏やかなゴーレムズからは敵意などは一切無いので、遮られてしまったから、恨みがましさが消えた。
そしてそこに乗っていた蜘蛛隊の1匹が、モナに耳打ちした。
先ほどごにゃごにゃと3人で内緒話していたのを、蜘蛛隊の1匹は逃さなかった。
モナは慌てて部屋から出ていった。
もふもふというほどでもないけれど、触れ合いコーナー的な回。
モナは無碍にしたいと思っているわけではない。
次回は年明けの1月4日予定です
変な所で年越しになってしまいましたが、この年末、かーなーり体調不良やばめだったので、書いた予定のことなんか忘れて寝込みたいとか思いつつ、いや、書かなきゃ!と謎の使命感に後押しされ、大体はかけた?んだろうか?どうだろう?しらんがな。ぐすん。30日も更新したかったけど無理そうなので今年はここまでです。ごめんなさい。
来年もよろしくお願いいたします。
オキミヤトラ。