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第258話

if世界ツー18

第二波の注意事項は第一波と変わらなかったが、今回の数は前回の倍。でも苦戦しなかった前回。の事を考えると、倍になろうが問題ない気がする。


第二波は明日の早朝。来る場所は貴族街と市民街の中間でもある大きな公園らしい。


横竪(オウジュ)さんはこの森でいつも何をしているのかと言うと、女神として命の選定をしている。


「紡いで繋げて、見極めて、巡るようにしている。土地神とはそういうものだからね」


かつてのお姉さんが残した狂暴化の汚染のせいで、いくら命の選定をしても、気づけば増えている。対応が追いつかない。だから私を異世界から連れてきた。その素質で食い止めて土地を直す。それの手伝いとして。


「ところで」


フクロウのタイサイさんが、イノシシのサイキョウさんから言伝を聞いてきたらしい。『うちのサイショウは疲れたり、困ったことをしでかしたりしていないだろうか』と。困ったことも特に無いし、彼は元気だと思うので、私が見て感じたことをそのままサイキョウさんに伝えてもらうことにした。


「・・・・第二波のあとか、もしくは第三波の前に、モナの仲間を連れてきて欲しい。何も贈ることは出来ないけれど頑張りには(ねぎら)いの言葉くらいはかけたい」


横竪(オウジュ)さんの言葉に同意して私はミナモ達を連れてくることを約束した。







ディオさんとアンドレくんには明日の早朝にまた出かけるので気にしないで欲しいと、話を通しておいた。


「アンドレくんは今日も師匠さんの所に行くの?」


「っ!・・・ああ、いつ来てもいいと言われたからな」


アンドレくんはその師匠に出会ってから私と喋る時、顔をそらすようになった。思春期よのう。年が離れているので新しく出来た弟のような感覚でアンドレくんを見てしまう。可愛いと思って見てしまったら、目をそらされるどころじゃなく、避けられるかもしれない。思春期は複雑だからね。私は平常心で対応である。


「聞く暇がなかったが師匠とはどんな方だ?私も挨拶をしたほうが良いだろうか」


さすがアンドレくんのお兄ちゃんことディオさん。街の領主が弟の為に挨拶とか恐縮しまくるから、考えない方向で行ったほうがいいのでは。


「あ、挨拶!?いいいいイイ!来ないでくれ!恥ずかしい!大丈夫、心配はない。師匠は、どんな、えっと・・・少し男らしいところがあるけれど、女性だ。」


「!」


「!」


知り合いに合わせたくないとの意思表示。そして相手は女性。これはもしや?


「子供の頃に出会って弟子にしてもらったんだけれど、師匠は最近あまり街に滞在していないらしくて、見つけたら追いかけないと会えなくなるんだ。」


・・・仙人?追いかけないと会えないって妖精とかの類のなにかだろうか。「見つけた」って言ってたのは、世界不思議発見!の方の「見つけた」だったのか。女性っていっていたけど、流石に珍獣の類ではないよね?


大体、いつ来てもいいと言ってる割に、神出鬼没では、用がある人にとってはたまったものではない。なるほど、毎日毎日通うには理由があったんだね。急に消える可能性も視野に入れているということか。ふむふむ。


日本には“ボートとイカダのみでほぼほぼ約365日を生活している夫婦”とか、九州方面だったか島ぐらしの“日本のターザン”って呼ばれている男性がいたり、とか、日本だけでも『他の人とは違う生き方をすることがその人の日常』っていう人間っていうのはそこそこいるものなのに、なんたってここは、異世界。


珍獣の類、とまではいかなくても、もしかすると個性溢れる人かもしれない。だってこの世界ならきっとなんでもアリだろうから。


「・・・・人間ですよ?」


「なぁんだ」


んぐっ・・・


しまった。


アンドレくんが好き?な女性に対して不敬だった。


私の顔はわかりやすいらしく、アンドレくんは変なこと考えるなオーラが漂ってる・・・。君も大概わかりやすいよね。はいはい。余計なことは忘れよう。うむ。


「そうだ、お兄様のことも師匠に相談してもいいでしょうか。今までは秘密にして師匠にもこの街の領主がお兄様だとは伏せていましたがここまで足が完治しているという噂が大きくなってしまっては、俺の頭では次の一手が思いつきません。」


あれから噂消しに色々なことをしたが、“(ぬか)に釘”、“暖簾(のれん)に腕押し”、という具合で結果が出なかった。“骨折り損のくたびれ儲け”とはよく言ったものだが、ここまで噂が広がったのにはディオさんが、この街の領主として愛されているからである。


そう、みんな祝福してくれているのだ。「心配していた」「安心だ」「治って良かった」「次はいい奥さん迎えて欲しい」などなど。


悪い噂ほど爆発的に伸びるものだが、いい噂はジワジワと広がり時間をかけただけ嘘の噂だとしても信憑性がましてしまう。皮肉なものだ。反論すれば「あんたは領主様がお嫌いなのかい!?」と言われてしまえば、話は中断してしまう。沈静化は難しかった。


「明かすのはやめて欲しい。アドバイスはあれば欲しいけれどね。」


ディオさんはそれにとどめた。









「モナ」


「なぁにアンドレくん」


「・・・・」


「どうしたの?」


ディオさんの部屋から出て、自室に帰ろうとした時に呼び止められた為に、ディオさんの部屋からは離れてはいるけれど、ここは廊下。


沈黙しているアンドレくんを横目に領主の館のメイドさんがたまに通りかかろうとして、私達に気づいては踵を返し消え、私達に気づいては横にそれて別のルートから移動。うん。私達、ここにいたら邪魔でしか無いね!


よく、「ここではなんだから、部屋に移動しようか」ってシーン見かけるけど、こんだけ邪魔になるなら部屋の方が良いに決まってる!!


「アンドレくん!」


「ん!?」


グワシッ


残念ながら“まことちゃん”のぐわしっではなく、単なる肩を引っ掴んで部屋に引きずり込んだだけなのだけれど、アンドレくんは顔を真っ赤にさせてアワアワとしていた。大丈夫だよ。ホラー展開は無いから安心したまえ(にっこり)


チラッと見えたメイド&執事さんもなんだかキャ~って言ってたけど、そんなに怪談話好きなら今度みんなでコックリさんとか伝授してみようかなぁ。ここ異世界だし、スズちゃんっていう守護霊も現れるからして、コックリさんも幽霊が目の前に現れながらできるかもしんまい?




大人モナにとって10歳近くも年下のアンドレくんは完全に近所の年下の知り合いとか、弟分とかにしか見えていなかったという。


みんなキャ~って恋愛方面に妄想してキャ~って言ってるのにモナだけホラーな想像しててズレている。よくある残念展開。






次回は明後日の9日予定です。




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