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第255話

新しい仲間は野犬だ。野良犬とでも言えば良いのか、土ぼこりが毛に沢山付着している、いわゆる薄汚い犬である。捕まえてすぐに首輪を付けた。


館に帰ってからすぐに体をキレイにしてやると異世界ならではの毛らしい色合いが出てきた。黒だと思っていたけれど、深緑の毛色。現代日本で、こんな犬見たこと無い。


名前はグローというそうだ。


アンドレくんもディオさんも私が仲間を増やして帰ってきたのを見たら少し怖がっているんだか、ドン引きしてるんだか、少しだけ距離を置かれた。


グローもだいぶ汚かったから余計かな。キレイになってからもう一度ディオさんに見せにいくと、反応は悪くなさそうだった。


アンドレくんもディオさんを見習ってほしい。逃げまくるのは、その隣のカラスと黒猫も呆れ顔なの見えてるからね。


ミナモもサイショウもスズちゃんもグローを歓迎しているみたい。良かった。


でも、私は仲間だと思っているけれど、ステータス画面にミナモ達のことは一切表示されていない。ステータス画面とは別になにかこの子達のことがわかるような何かがあればいいのに。


モンスターほとんど名付き。昔は名付きはいなかったけど今は逆転してほとんど名付きらしい。なぜかと言うと、テイマーがほぼいなくなって、名前を人間に付けられることが無くなったからというのが1つ目の理由。2つ目は、名前を付けると強く成れることがわかったので、親モンスターが子モンスターにすぐに死なないようにと、付けてあげたら本当に死亡率が減ったので、ほとんどの種族に根付いた習慣になったそうだ。


モンスターも人間とそんなに変わらない・・・。


でも、今回貴族街に行こうとしていたモンスター達は貴族街に出向いて混乱を引き起こそうとしていたらしく、食い止めていなかったら、軽く死者も出す予定たったらしい。食い止めて本当に良かった。


次にモンスター達が湧くまではかなり時間があるらしく、それまではまた仲間を増やしたり、魔力を鍛えたりして欲しいと横竪(オウジュ)さんから言われた。


グローは昔ゴブリンエンペラーの配下だったと教えてくれた。毛の緑色はその時の付き従った者につられてそういう風に進化した時の名残なのだそうだ。


そのゴブリンエンペラーはもういないらしい。


―――――――――その言葉通り、エンペラーは消えていた。だけどその上が存在していたとはこの時、私は知らなかった。


―――――――――かなり平和だった。だからか、私はディオさんとどんどん仲良くなっていっていた。


散歩をした。


領主の館はそんじょそこらの敷地面積ではないので、ディオさんが車椅子生活でも問題なく暮らせている。まあ、王城に比べると領主の館など小さいかもしれないけれど、行動出来る範囲を考えると、王城は広かろうがあまり自由に出来る場所はなかったように見受けられる。


ディオさんが開発した4足歩行でにょいんにょいん歩けちゃう車椅子だけれど、結構揺れるから山とか森とか入った時以外はあまり使わないらしい。室内で使うと天井に押しつぶされそうになったこともあるらしいとは山川谷トリオの発言。


山川谷トリオも地元に帰ってきてからそこそこ忙しくしているみたいで王城に居たときほど顔を合わせる機会が減った。それもあってか、ディオさんの休憩の話し相手は私の担当になりつつあった。


私が異世界の話を結構べらべら喋るので、ディオさんは子どものようにキラキラと目を輝かせて聞いてくれる。楽しそうに聞いてくれるから余計に喋ってしまう。あんまり喋らないほうがいいような気がしないでもないけれど、たった1人だ。問題ないだろう。


アルプスの少女ハイジとかハリー・ポッターとか銀魂ドラえもん、童話の数々にと私から出てくる話を聞いては質問してくれた。


私の居た世界には魔法などはフィクション(贋物)であって、機械での技術などが進化しているという話をハリー・ポッターとドラえもんを挟みながら話をしたり、日本の文化はこことはだいぶ違うというのを銀魂とドラえもんで話してみたり、でも似たような地域もあって、ハイジや童話に出てくるヨーロッパ圏などの話もした。


銀魂の主人公の風貌を話すとディオさんは、昔居た知り合いに性格が少しだけ似ているかもしれないと言った。今は居ないらしい。銀さんに似ているかもしれない人は私も気になった。いつか会えたら良いのに。


ディオさんはアラジンと魔法のランプのお話が気に入ったようだった。アラジンと魔法のランプは「千夜一夜物語」という長編の物語の中の1つに過ぎないものだったと教えると、その千夜一夜物語のおしゃべりが上手い、殺されないように頑張る主人公を私に重ねて見えると言った。


・・・・?


よくわからなかったがディオさんなりの解釈なのだろう。


アラジンと魔法のランプにある3つの願いが特に気になったらしい。それ以外にも日本の昔話にも「3枚のお札」というものもあってと話すと、3にはきっと何か力のある数字としてあるのだろうと思う。と私なりの解釈も挟んだ。


童話のコブタも3匹だし、シンデレラだっていじわるな継母と姉を合わせて3人、あとはあとは。考えだしたら止まらない。


「私とモナとアンドレも合わせて3人だな」


「ここにも3が!?」


―――――――――――――その「3」がチカラを持つのは遠い未来では無かったけれど、私はいつだって半分冗談でしか会話をしていなかった。でもディオさんはいつも真面目に言ってくれていた。その心地よさに私は安心していた。


「大変だ!」


アンドレくんがある日の散歩中の私達を呼びに来た。


「お兄様!あの夫婦がまたやらかしました」


「どこの地域だ。被害は!?」


「人間の被害は10、モンスターの被害は約30と見られています。あと、あの化け物が後方に現れたかもと・・・」


「モナさん、仲間を連れてきて欲しい。私達とあの夫婦を止めてくれないか」


アンドレくんの誘導に従い、私はミナモ達を連れてディオさんと同じ馬車に乗り込んで向かった。何故か山川谷トリオも一緒。そして馬車のなかで簡易マスクをつけるように言われた。


向かった場所は貴族街を抜けて、市民商店街を横目に流し更に先の、一般市民が昔沢山住んでいたという、廃墟街の先にある、平地に来ていた。


「うっ・・・」


マスク越しに臭うのは、キツイ薬品が混ざったようなニオイだった。

続きは明日更新予定です。

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