第26話
モナの四日目スタートです。
初っぱなから第8王子登場ですなう。
「坊っちゃま!ですから早めに行っても休憩時間と被ってお店が開いていない可能性が!」
「予約はしているのだろう!?少しくらい早くても大丈夫だ。」
「少しどころではありません、早すぎます。リネアも同乗するはずだったのに置いてきてしまったし!御者!御者、お坊ちゃまの言うことは聞かなくていいですからスピード落として下さい!」
「いいや、もっと早くしろ!」
「プント様、お坊ちゃん。」
「「なんだっっ!?」」
「あの、到着してしまいました。」
「勝った!」
「負けた・・。」
「ですがお店が開いていませんがいかが致しましょうか?」
「ホラ見たことか!」
「クッッ」
「ミギィに頼まれていた物もありますし、ちょっと様子を伺って来ますのでここでお待ち下さい」
「・・・・わかった」
「・・・・」
プントは馬車を降りて店に向かっていった。
「・・・」
裏に回ってプントが見えなくなった頃を見計らって
「よし、そろそろいいだろう!」
1分も経ってない。
「え?あれっ坊っちゃん!?」
「ちょっとその辺うろついてくる。すぐ戻る!」
「坊っちゃんーー!?どどどどうしよう、プントさん!?あ、俺が追いかけるべき!?ってもう坊っちゃん居ない!朝もあんまり食べてないって話だったのに、どどどどうしよう!!」
御者は結局は動けないまま待ち尽くすことにした。
「テンクウのお散歩行ってきてから下ごしらえの手伝いしてけろ」
「わかった。すぐ戻ってくるから!行ってきます」
朝の部の仕事も終わって早めのお昼休憩中に、こにゃにゃちわ~!(ケロちゃん)帝麻萌那です。なぜか幼女として転移してきてようやく4日目。毎日が結構目まぐるしいけどとても楽しい毎日です。
「テンクウちゃん!ごはん食べた?お散歩行こう~」
「ワフッ」
「でも食べた後だから、走ったりしたらダメだよ。お腹痛くなるからね」
「くぅん」
「ダメ」
「ワフッ」
「よろしい。あ、ねえ聞いて聞いて!ちょっとだけなら下ごしらえ手伝ってみてもいいって言われたんだよ~帰ったらやるんだー楽しみー。」
「わふっ?」
「きっと危ないことはさせられん!ってみんな言うだろうから大した事はさせて貰えないとは思うけどね。ふふふ。5歳じゃなかったら芋の皮剥きぐらい出来るはずなんだけどなぁ。」
「ワフッワフッ!」
ほとんど一方的に話しかけているが、会話が成立しているようないないような。で、その辺をぐるっと1周、散歩をして帰ってきた。
「あれ?誰かいる」
お店の入り口に馬車が止まっているのが遠目で見えたけど、まさかとは思うがこの男の子はミギィさんとレフティさんが言っていた貴族のお坊ちゃんじゃないかな?お店の休憩室の窓から覗こうとしているけど、休憩室の中が見えるだけでお店は見えないよ?
「あのーすみません、お客さんですか?」
「ぬぁ!?な、何者だ!・・・なんだガキか」
「・・・」
「わふっ」
「不審者ですか?」
「不審者だと!?不躾な!ってもしかしてお前はココのガキか?そういえば5、6歳のが居るとか言っていたな。名はなんと言う?」
不躾なのはどっちだ。むむむ。いや、我慢だモナ。相手はただの8歳のボンボン。
「それはお前の犬か?」
名前聞いていたのに私が答える前にまた質問。名前はもうどうでもいいのかな。いいなら別にいいけど。
「テンクウちゃんは野良犬だよ、怪我してたからちょっとお世話してるだけ。さっきも私の居ない時には自由にどこかに行ってたし、ね?テンクウちゃん。」
「その犬驚いた顔してるが本当に違うのか?」
「あれ?」
本当にガーンって顔してる。え?だって今はお世話してるけどいつか野に帰るよね?今までそう思ってたんだけどなあ。
「くぅんくぅん・・・くぅんくぅん・・・」
頭で私のお腹辺りをぐりぐりスリスリしてくる。おやおやこれは・・・。
「本当のうちの子になる?」
「ワンッ!」
「良い返事だなぁ。今度首輪買いに行こうね。付けてないと誰かのワンちゃんですよって分からないで連れ去られるかも知れないし。」
「きゃうん!?」
この世界ではそういう事って起きないのかな?野良犬は集められて殺処分とか、そういうの。ないほうが良いけどね。わんわん物語とかその辺しっかり描いたアニメ映画だったなあ。
テンクウちゃんとキャッキャウフフしてたら男の子に睨まれた。なんじゃらほい?
「俺だって俺だってお兄様と仲が良いんだからな!犬との仲を見せつけるんじゃない」
「えぇ・・・」
あんぐりである。お兄様がどんな人かも知らないのに。怒られ損だよね。私。
「ところで名前は無いのかお前。それともオツムが弱いのか?」
それって年下ぽい女の子に向けるような言葉じゃないよね?なんなのこの男の子は。8歳だっけ?人のオツムの心配の前に当人自身の顔の色を気にした方がいいと思うよ。結構白い。まさかそれでイライラしてるのかな?怒りたいけど、我慢だモナ。
「私はモナ。5歳だよ。テンクウちゃんのこと聞いてきたから名前なんてもういいのかと思って答えなかったんだ。ごめんね?」
「ふん、謝れるとは殊勝なことだ。俺はアンドレ。」
「アンドレ?」
「あぁ、俺の名だ。」
「オスカル?」
「誰だそれは、俺はアンドレだ」
「アンドレといえばオスカルでしょう!!(握りこぶしっ)」
「どう言うことだ!?誰なんだそれは!?」
アンドレと言えばオスカル、オスカルと言えばアンドレでしょう!!薔薇は薔薇は美しく散る~。
「あ、ごめん、知らないよね。忘れて」
オスカル知らないのは普通。普通。ココは異世界。つい口から出てしまった。マリーアントワネットとか言わなかっただけ、良しとしよう。うん。どうにかなって~。
「はあ!?ガキ!俺をおちょくっているのか!俺に知らないことなどほとんど無いぞ!敬え!」
知らないのは嫌なんだろうけど。え?
「まだ8歳だよね?なのに?敬えってなに?どうみても年下の女の子に言うことがそれ?」
さっきから頑張って頑張って頑張って我慢してたけど、こんの口調やっぱり、はーらーたーつーわーーーーー。気づいたら言葉がガトリング装填。発射。
「貴族だからってそんなに威張って、貴族の子供は親が偉くて頑張っているから貴族なんだよ!?子供だからって威張って威張り尽くして親の顔に泥でも塗りたくるのが子供のやるべきことなのか、よーく考えて行動しなさいっ!!!」
「いば・・威張り散らす!?俺は威厳を出すように言われて育ったのだ!こういう態度こそ、貴族!ふふん!庶民には分からないようだな」
「そういう態度は威厳じゃなくって傲慢っていうんだよ?わからないの?あー、知ってるよね、知らないことなど無いって言ってたもんね?」
「な、な、な、この、この、庶民のガキがー!」
その後も売り言葉に買い言葉で、手が出ないのが不思議なくらいに口論がこれでもかー!と、起こった。テンクウちゃんの存在もすっかりサッパリ忘れていた。
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さてはて、ようやく邂逅かと思いきや、こうなりました。予想出来たよね?ね?
モナに、オスカル?って言わせたくて第8王子の名前伏せてました。第6王子もそういう理由です。伏せ伏せ。
口論してるけど、ヒロインとヒーローです。大人げない2人。
テンクウ「ボク恐くて動けナイ・・・」
次回も口論スタートです。