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第25話

夜の食事は軽めに済ませた。シャワーも入ってサッパリ。さて寝るぞ。おや?


「きゅーんきゅーん」


「セイリューちゃんどしたの?」


私を見上げて待っていたセイリューちゃんがトテトテと、窓際に近づくとカリカリと窓に登ろうとする仕草をとった。よくわからないまま、セイリューちゃんの脇に手をかけて持ち上げてあげる。


「きゅん!」


こっち向いて笑顔だ。正解のようだ。キツネちゃまは分かりづらいからなぁ~。窓からは月がキレイに見えていた。


「キレイだね~」


のほほんと呟いたら、手元のセイリューちゃんの体の光が急に強くなりだした。えっ!?またなにか病気!?アワアワアワアワ・・・


「わんっ」


「えええ?なになに?テンクウちゃん」


「ワフッワフッ」


「全然わからん。」


こういう時に限って意思の疎通が出来ない切なさよ。


「モナちゃん~そういやぁ枕カバー昼間に洗濯しちょったの忘れとったわ。これ替えのカバー」


「ミギィさぁぁぁぁんんん」


「ど、どしたけ!?」


話したら大したことなかった。笑われてしまったよ。そうだった。そうだったね。


「んだよぉ。基本的にナイトフォックスは月明かりが食事だで。月明かり無い時とかは普通ん食事一応するけんど、ずっとそのままの食事ばっかだとそのうち光りィもしなくなるし体を壊すらしいんだなぁ」


「死んじゃうの?」


「たまにな。しっがし、簡単には死なねぇよ?梅雨の時期とかもちゃあんと生きてるから、多分1ヶ月の半分ぐらいなら月明かりなくても生きていけるだとか、いや、1ヶ月丸々生きていける、だとか学者の間で論争になったとか、ウヂの店の常連客が騒いどったの聞いたことあるなぁ。」


「結構生きるね」


「ま、動物だしな。(したた)かよ。」


「不思議な体。」


「んだねぇ。」


「でもキレイ」


「つってもモナちゃんそろそろ寝るベ?持つの変わろか?」


「きゅーんきゅーん!!」


ミギィさんが好意で伸ばして来た手を振り払うかのように暴れだした。うおっとっと!落ちる落ちる!ちょいちょいちょーーい!


「あだらっ、アタシじゃ嫌みてぇだな。シャンプーの仕返しかな。んー、あっ。ちょっと待っててくれろ」


ドタドタと出ていったミギィさんがレフティさんのことを呼んでいるのが聞こえた。レフティさんに変わって貰うってことかな?ってなんか下の階からスッゴいドッタンドッタン聞こえるぞ??


「お待たせぇ」


「あんれぇ、ほんにキレイな光だなあ。昼間のとは違う光だで。ん、ホレ持ってきたで。」


「机!可愛い。こんなのあったっけ?」


「1階の物置小屋に前に店で使っとったのまたいつか使うと思て取っておいてたんだべ」


机と言っても勉強机とかダイニングテーブルとかの大きいのではなくて、麦わら帽子ぐらいの円形で、四つ足のしっかりした机。この部屋にあつらわれたように高さも窓枠と同じぐらいの高さだ。なんと言うことでしょう。殺風景だった窓際に小柄なテーブルが~(ビフォーアフター)


「うし、これで簡単にはグラつかん。ほんれ、ココに乗せちゃり」


「うん」


レフティさんの手際の良さよ。早い。ヒ●ミさんも森いず●さんもビックリの早さじゃないか?DIY力が高杉ですよ。高杉●助ですよ。おっとそれだと銀魂になっちゃうな。


「きゅーん?きゅん!きゅん!きゅん!」


「うわっ」


机の上でトテトテうろついてぴょんぴょこ跳ねた。レフティさんが1手間やってなかったらセイリューちゃん落ちてたよ。ドッキドキの1年生~だよ。1年生じゃないけど。


「きゅん!」


嬉しそうにこちらを見ている。


「良かったね」


「ワフッ!」


「きゅーん!」


セイリューちゃんは返事をしたらもう周りのことはお構い無しに月明かりをまた浴び始めた。


「そうだ。気になってたんだけど、この子って子供かなぁ?」


「だべなぁ。(たっし)か大人のナイトフォックスはコレの3倍ぐらいの大きさだったよなぁ?」


「もう長いこと見てなかったからうろ覚えだけんど、確かそん位だったと思うで。」


「もしかしだら、今頃親ギツネがこの子探してるがも知んねぇなぁ」


「んだなぁ。そったら、厄介なことになるかも知んねぇし早めに手を打って、キツネの確認情報とかあれば店で客に聞いてみっかぁ」


「それがいっかもなぁ。動物は時として怖ぇぇからなぁ」


「私もやる!」


「んだな!ヨロシクなモナちゃん」


「うん!」


「わふっわふっ」


どうにかなるよね!きっと。











「きゅーん」


「モナちゃん寝ちゃったね」


「きゅんきゅん」


「月明かり、美味しい?」


「きゅんきゅん」


「ボクも食べてみたいなぁ」


「ふすっふすっ」


「セイリュー怒った!?ご、ごめん。」


「きゅん」


「モナちゃん達が君の家族探してくれるって」


「きゅん?」


「イマイチわかってないよね、家族だよ?かーぞーくっ」


「きゅん?」


「うぅん、セイリューとっても小さいからなぁ。ボクも君のことはここで会ったのが初めてだし。家族のことも知らないから。モナちゃんに頑張ってもらわないと。」


「きゅん?」


「ビャッコにも聞いてみようかな?今日は来ないのかなぁ」


「くぁぁ・・・」


「あ、お腹いっぱいになったんだね」


「きゅん!」


「あ、そーだ。もう一回聞くけど思い出した?あの狼さん、なんでセイリューのこと追いかけ回してたのか」


「きゅーんきゅん」


「そっか全然わからないのかー。なんでお腹痛かったのかは思い出した?」


「きゅんきゅんきゅん?」


「痛かったっけ?って・・・えー、忘れちゃったの。ううーん」


「きゅーん?」


「ボクももう寝よっかな。ボク寝ちゃうけど今日も勝手にうろうろしたらダメだよ?この時間に外に出たらモナちゃんに会えなくなっちゃうからね」


「きゅんきゅん!きゅんきゅん!」


「でしょ?ヤダよね!昼間とか、あとはモナちゃんと一緒だったらいいけど、夜中はじっとしててね。迷子がまた迷子とか恐いからね!」


「きゅん!」


そうしてテンクウちゃんも寝た。


「きゅーん」


もうお腹はいっぱいになったけれどセイリューちゃんは基本的に夜行性。やることもないのでずっと外を眺めていた。そしてその姿を遠くからあの時の狼が見守っていた。狼はモンスターだった。


「・・・セイリュー、お前まだここに居たのか・・・仕方ない。出てくるのを待つか」


その日も次の日もさらにさらに数日経ってもセイリューちゃんが夜中に出歩くことがないのを知らないまま、狼は毎日夜になる度に来ることになる。


「へっきし。」


セイリューちゃんは狼が来ていることに全く気がついていない。


「ズズッ・・なんか噂されている気がする?」


その話はまた後日語ることになるだろう。がんばれ狼!負けるな狼!

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不定期更新が多い作者なのでブクマしておくと便利ですよ。ふふふふふ。更新頻度は皆さんの応援の賜物です。あざざます






セイリューちゃんの回です。セイリューちゃんは人間の言葉は喋れません。テンクウの通訳よ。ありがたや。


17話から続いた3日目も終了です。次から4日目。日をすごく刻むなあ・・・。第8王子ようやくちゃんと登場です。お目汚しかもしれないけど。ハハッ。



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