第243話
モナのif世界パートツー、3話目。
モナは走っていた。
「タイサイさん!こっちこっち!ありがとう、ええと、ストーンバレット!?」
手から土の魔法を放った。呪文合ってる!?良かった!うおおお、手からイシツブテ!スゴイ、出るものだなぁ!今更だけど!今更だけど!異世界スゴイ。ふええええ。
「当たってないぞ、モナ!」
「ゲームと違って難しすぎるうぅ、ストーン!出ろ!あっでた、って呪文関係無いんかーい!」
ゲームだと当たり判定とか結構バチクソに当たるじゃん!ポケ●ンとか・・・相手のHPが見えるから、この程度攻撃すれば瀕死になるとかさあ!ゲームじゃないから手加減したくなるのが人間ってもんじゃないですかねぇ!?
ふえええとか言ってる大人もなかなかいないけど、森で年甲斐もなく駆けずり回るのも大人としてなかなかないよね!?あっははは〜!くっそ、息が上がるぅ・・・・
「魔法はイメージだ。呪文?詠唱の間違いだぞモナ。スキルは詠唱を間違えると発動しないことが多々あるが、魔法は詠唱よりイメージの方に引っ張られる。当てることをイメージしないといつまでも当たらないぞ」
「オニフクロウとか、ゼーハー、新しいジャンルでは、ゼーハー、石出ろ、石出ろ、当たれ当たれ当たれ、あっ当たったー!」
って、あああああ!当てすぎたかも!?ちょ!?死なないでーーー!モモターロウジルシィーノキビダンーゴ(謎のお菓子)あげるから死なないでーーーー!
捕まえたのは黒いウサギ。名前は、ミナモ。
黒いと言っても口の周りは白く、耳の中も白く、腰から足まではズボンを履いているように茶色いのでスリーカラーだ。可愛さの権化か?
名前は最初から付いていた。というか。彼女が教えてくれた。
「アナタハツヨイ、ワタシ、クップク。クヤシイケド、シタガイマス」
喋り方が、きんいろモザイクを彷彿とさせるカタコト言葉だ。かわいいいいあああいいいぁぁぁぁ(語彙力低下)ウサギが喋るってうばばばばばばば(思考力低下)
「モナよ、差がありすぎるだろう。私にもその眼差しを向けてみろ」
「えっいいの!?」
もふもふすればその目になれますけど!?おっとおちつけ私。平常心になるのだ私。不審者ムーヴ決めれるほど、メンタリティはガチボコ強くないんです。絶対後で後悔しまくるやつ。
「あ、いや、やっぱり遠慮します」
「モナが遠慮する側なのか??」
“えっなんで”って顔された。いや、うん。ごめんよ。
これまでは一応「教科書通り」というか、この世界だと「教本通り」というか。ルールに従ってテイミング実行してる。ルールがこちら。
1、テイミングする際に、周りに持ち主がいないことを確認する事。
1、テイミングする際に、従僕の専用首輪を持っておくこと。
1、テイミングする際に、テイミングした後にまずあげる食料を先に用意しておくこと。
1、ギリギリを見極めて抑えつけること。逃げられると逃げやすい人間として他のモンスターにも覚えられてしまうため、これと決めたらやりきりましょう。
1、抑えつけたあと、すぐに首輪をつけましょう。
1、名前をつけたり、しつけを施しましょう。
1、テイミングしたら一生可愛がりましょう。
とまあ、よくあるようなルールである。現代日本人としては、「ペットは飼い始めたら責任を持って大事にしましょう」はペット飼ってなくても知っているデフォルト事案なので、え、これのルールできるまでどんなテイマーいっぱいいたの??と口に出してしまった。なんかもう、色々やばかったらしい。口に出せないほど?え?マ?(マジのマ)
「首輪は持ってきたか?」
「うん、これでしょ」
「そうだ。それをコヤツにつければ、モナはテイマーとしての第一歩を踏み出したことになる」
捕まえてからがテイマーですか、そーですか。それまでは単なる人間。無職ともいえる、ニート・・・うっ、過去の受験失敗しそうになった時を思い出しそうに・・・失敗しなかったけど、片足突っ込んでたからな。お母さんとお父さんに顔向け出来ない時期があって悩んだことがあったけど、思い出しそうに・・・忘れろ自分!ニートにならなかったんだ!そう、今こそ、異世界ニートタダメシ喰らい脱却の時!!!
この1週間食っちゃ寝、食っちゃ寝してた。魔法とか基本的な事教わってたけど、デフォルトニートに近かった!・・・人によっては、ディオさんの愛人だとか、ディオさんのヒモだとか、こそこそ言われてたんだよ、この1週間!
王城は広いけど、本人の耳に届くぐらい、人の声が結構響くんだよね、王城。しかも、ある程度広いから人が居ない空間だと思い込んで、気を抜いて大きな声で普通に話してるから、たまたま近くを通ったりしたら聞こえまくって気まずいのなんの。
噂とか、絶対ディオさんにも届いちゃってると思うんだよね。これで、これでやっと、少しはディオさんに恩返しが出来る!優しいディオさんの負担になるなんて、切なすぎる。
「モナ?首輪しないのか?逃げそうだぞ?」
おっとぉ!?屈服しましたって言ってたのにもう、言ってること覆すくらいに元気になったようだ。
「ほーらほら、さっきのお菓子もう一個あげちゃうぞー」
桃太郎印のきびだんご(異世界バージョン)をあげるとすごく食いつきがいい。おおお、少年達よ、ありがとう。これはとっても良いものだ!!
首輪をミナモに付けるとミナモの身体がビクンと2度ほど跳ねたが、何事もなくテイミングが終了。
「ミナモ、よろしくね」
「ゴシュジンニ、シタガウ、ショゾンデス」
ミナモがカタコト言葉だったから、この時、私は一切、ミナモの変化に気づいていなかった。
黒いウサギのモンスターのミナモはこの時・・・・。
いや、ミナモだけではない
知らなかった私が全て悪いのだ。この後テイマーとして次々とテイミングしていなければ・・・
良かったのに。
ああ
世界が違うし、歴史が世界毎に違うのだから同じニュアンスでも違う意味ってあるよね。
人間の数だけ、生きてる世界が違う。見るもの、触れるもの、すべて。
なのでモナが気づかないというのは普通のことなんですよ。
という補足。