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第238話

周りにいた人々は祭りの余興だろうと思っている者が大半だったため、ミギィ達の周りを囲むようにして野次馬を決めていた。しかし分かる人にはわかる。動物が人の言葉を喋っていると、いう事実がそこにあることに。


嫌な予感のする者は後退り、興味が湧きすぎている者は近寄る。


しかし次の瞬間、それを見てほとんどの観客は悲鳴を上げてその場を離れることとなる。


スバルが作り出していたはずのナエを拘束していた闇が、ブクブクと泡立つようにして作り出した真っ黒なブドウのようなそれが破裂した先から体がドス黒く飛び出た2本前歯のネズミが飛び出してきた。


そしてその湧き出て飛び出たドス黒いネズミはその獰猛な前歯で人々を噛みつき肉を食いちぎらんと、放たれた。


ナエは周りの叫び声を聞くなり、ニヤリと笑い、現れたドス黒いネズミの口から出てきた赤いもみじの枯れ葉が大量に出てきて、ナエはどこかへ消えてしまった。


残されたのはドス黒いネズミと阿鼻叫喚の一般人達。ミギィ、テンクウ、スバル、フテゥーロは消えてしまったナエに苦虫を噛み潰したような気持ちを残したまま、人々を助けるために奔走するしかなかった。


ミギィは風魔法でカマイタチのようにネズミ達に攻撃を放つ。テンクウは風のように走り、噛みつき・体当たり・踏みつけるなどして戦う。スバルは闇を使い、ネズミ達の視界を奪っては体の自由を奪い、闇の異空間へと誘った。フテゥーロは、戦うことを得意としていなかった為に安全な場所を作り出すことを覚えた。


そう、フテゥーロは、ここで初めてバリアの魔法を覚えたのだ。


「あわわわわわ!?出来た!できたよーー!ぼく、わたし、みーーーんなを守るよぉぉーーーーーーー!?」


「白い毛玉が喋ってる!?」


「ここにいるとネズミが入ってこないわよ!?」


「うわぁ!?ここに入ると怪我が治るぞ!?」


「ここだ!ここは避難場所だーーーー!!!!」


フテゥーロのバリアに人々は殺到した。


「えぇ!?フテゥーロ回復も出来るの!?すごぉい!?」


驚きながらもネズミを倒すテンクウだったが、テンクウがフテゥーロの方を見た時には、人々が殺到し過ぎてバリアに入りきれないほどの人々が押しかけてしまい、おしくらまんじゅう状態で、新たな混乱を起こしている状態になってしまっていた。


「ぼく、わたし、これ以上はむーーーーりーーーーーーーーー!」


ぴえん、と鳴いた。


それを戦いながら見ていたスバルは、人間の浅ましさに、またうっとおしく思いつつ、自身の力がネズミに破られたことに対して、悔しさを滲ませていた。もっと自分の力が強ければ、こんな事態にならなかったのに、と。


さっきの幸せな感情は随分と昔の記憶だったのではと思うくらい、とても暗い暗い感情に蝕まれていった。












「きゃあっ」「わっ」「なんだ!?」と人混みの慌てる声が徐々に近づいてきていた。騎士団の人間が事態の収集に当たろうと動いているのが見える。しかし、騎士団の人間が到達する前に、レフティの方へと一直線にそいつらは来た。


オオカミのコウチンさんと、毒スープに関わった少年だった。


「レフティ殿。大変だ!」


「ううう、目がぐるぐるする・・・。ハッ。れ、レフティさんでしょうか!?あの女の子が倒れてしまったんです!!」


「倒れたって、モナちゃんか!?」


「そ、そ、そ、そうです!」


「それもあるんだが、今ここまで駆けて来てわかったことがある。レフティ殿!あの会合の話、覚えているだろう」


少年は興奮して話を始めているコウチンに少し怯えながらも、モナちゃんのこと以外に大事な話があるとは知らなかったので、何の話だろう?と首をかしげた。


「あ?祭りの最終日に気をつけろよって話だべ」


未来を知っているというゴールデンハムスターのゲンブがみんなを集めて話し合いをした。あの時、祭りの裏で起こる未来を教えて対策を立てる場を設けてくれていた。


「なにか知らんが、アレが今日起きたみたいだ」


「何だって!?こうしちゃおれん。モナちゃんはどこで倒れたべ?少年!?」


「神殿の中で倒れたと」


「ありがとうな、少年。向かうから安心しぃ。オイ、コウチン。アタイと行くべ」


「おうともさ!近道はこっちだ。付いて来い」


毒スープに関わった少年は伝えられたことにホッとしつつ、レフティさんたちとその場で別れた。レフティとコウチンはふたりとも身体強化を施して、止めようとした騎士団の人達を横目に走り去っていった。


騎士団の人間は、嵐のように去ったコウチンとレフティを捕まえることは敵わないとわかっていつつも、事件のニオイがするからとその後を追いかけるのだった。






モナ「フテゥーロちゃん、おめでとう!」


フテゥーロ「えっへん。でも、わちゃわちゃしてる人達が、俺もぉ私もぉ助けろぉぉ!って、ぼく、わたし、とーーーーっても恐かったよぉぉ〜。モナママ〜〜〜。」


モナ「よしよし。」


テンクウ「続きはまた明日予定」


モナ「まじか」




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