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第235話

彼は鼻を利かせた。乾いているものの、土の匂いと微かに香る腐敗臭のようなもの。腹這い状態のまま確認した。なぜなら今ユーグリッドがいる場所の天井が低すぎて座る事もままならなかったからだ。


腹這い状態のユーグリッドから天井まではあまり高さは無かった。


ユーグリッドの体躯(たいく)は縦に約2メートル超で横幅は80センチ超の大きさ。世界一大きいと言われるホッキョクグマほどの大きさではないが、それなりの体躯(たいく)をしていた。ホッキョクグマサイズだったらモナがユーグリッドに慣れるのにもっと時間を要していただろう。


暗くて全く見えないがそのユーグリッドが腕立ての格好をしようとして腕を伸ばしてきることはギリギリできる。そしてその場で座ると首から少し下から頭を天井につけたまま地面を常に見つめるように座り込むことは可能であるが、しかし、天井に頭をつけるだけで天井から砂が落ちてくるので、座り込むだけで今いる場所を破壊してしまう可能性のほうが高い。


周りが全く見えないので生き埋めだけは避けたい。


「頭は無理だが、まわりは・・・・」


腕を左右に開いて、足元を中心点として辺りをゴソゴソと動いて見たけれど何もなかった。動いてわかるのは、やはりここが少し固めの土の中にいるということだけだった。


「どうやって連れてきたんだ。少し動いただけで土が降って来るから本当に生き埋め待ったなしだぞコレ。死ぬ。」


ユーグリッドの鼻の頭に土が降ってきてくしゃみをするとさらに上から土がパラパラと。


「やべ。」


慌てて鼻を手で抑えた。じっとしていたら降ってきた土は止まった。


「このままだとマジで死ぬ」


ほふく前進をして顔の方から進んで見ると壁らしきものに突き当たってしまった。ほふく前進しながら180°回転をして足元の方だった方へ今度は進んでみる。


こういう狭い空間に人やモノを入れる時、横から入れることも無くはないが、ユーグリッドが最後に見たのはネズミだった。小さい生き物が大きなモノを運ぶ際、長い物は先端から収納することが多く、つまり、ユーグリッドをここに収納したのならば、頭から入れたか、足から入れたかのどちらかだと、検討したのだ。


「合ってりゃいいが・・・」


ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・ズリ・・・・

時々天井から降る砂ユーグリッドの体に落ちて来るからたまに口を手で抑えたりするから進みが遅い。


本人もどこに向かっているのかわからないまま歩みを進めるしか無かった。













「いた!いたよ!ミギィさん!」


「ホントだ〜よかったぁ~見つからないかと思った〜」


「ふぃ〜」


「おつかれさん。この辺で待っとれ。話してくっから。」


「うん」

「はぁい」

「わかった」


ゴールデンレトリバーにそっくりな黄金(ゴールデン)弾丸(ブレッド)(ドッグ)のテンクウと、ケセランパサランのフテゥーロ(みらい)と、黒ネコで(シャドウ)(キャット)のスバルは、ミギィと共に1人の人物をようやく探し当てた。


こんなに人混みの多い祭りでは、人のニオイに食べ物のニオイに・・と、いつも以上に人探しが困難だった。


テンクウの頭の上にフテゥーロが乗っている。軽いのでテンクウも気にしていない。


「フッ、俺が来たおかげだにゃ」


「ボクだって頑張ったよ」


「ぼく、わたしも、いっぱいいっぱいがんばったよ〜」


わちゃわちゃ言い合うが褒めてくれる人がいないので自分自慢で終わってしまい、みんな少し虚しくなる。


「モナママなら褒めてくれるのになぁ」


「ボクもモナちゃんのところに早く帰りたいよ〜」


「俺も褒めて貰う!」


「ボクが!」


「ぼく、わたしが先だもん!」


「ズルい!俺も俺も!」


「多分ビャッコが邪魔して来そうだと思うよ」


「ハッ。か、かしらぁ!それはヒドい!俺だって褒められたい!」


まだ邪魔すらされていないのに、妄想の中のビャッコは邪魔してきたらしい。切ない。


「それにしても、あの男、探すのに時間かかりすぎたな」


「そうなの〜?」


「ユーグリッド副団長の家のニオイを頼りにあの男を探したから、余計にね。」


フテゥーロはふたりと違って鼻は利かないのでいまいちわからない。


「そうなんだよね。ボク、昨日の夜さ、チラッとあの人見たけど、こんなことになるのならちゃんと近くに行ってニオイ覚えとけば良かったって本当に後悔したよ。」


テンクウはしゅーんとした。


「顔はわかってたから、それが1番の手がかりだったからね〜手伝ってくれてありがとう」


「スバルありがとう〜」


「てれるやい!」


によによしている。黒猫のタンゴでも踊り出すのでは?と思う程度には尻尾が動いている。よっぽどお礼に浮かれているのだろう。


「ボクには暗い所とかの人の気配とかはニブいから助かったよ。さすが(シャドウ)(キャット)


「暗い所は得意だし、明るい所も真っ暗にできるぜ!暗くしたい時は呼んでくれよな!」


「お昼寝のとき呼ぶね〜」


「おう!」


それでいいのか?


(シャドウ)(キャット)の有用な使い道は恐ろしい事のほうが多かったのだが、とても平和な会話しか生まれないここではスバルは幸せだった。

次回は明後日予定です


  __ ∧ ∧

/\  (*゜∀゜)\

\/| ̄ ̄∪ ∪ ̄|\

 \ |  〓〓  |

    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


どこかに書いたかと思うのですが、ビャッコの仲間達の名前は星の名前から抜粋しました。白虎で調べると色々出てきたからそこから7つ。


ビャッコ、テンクウ、キジン、トウシャ達も関連した名前の決め方をしています。


フテゥーロちゃん、スズちゃん、ぽん吉、ポンポコ丸、とかは調べたりせず直感で、決めています。


ちなみにロッテリーの街は、ロッテリアから。マックドゥの森は、マクドナルドから。王都のキングヴァギアンは、キングバーガーから、モジッてつけました。ははは。


ではまた次回。

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