第234話
リクゴウくんの回ですが、本当は「ピィピィ」言っているけれど、話が進まないので『翻訳』状態で話がすすんでいます。
今更だけどリクゴウくんの喋り方が段々大人しくなっていってる。うぅん。私の実力不足です。
『ぅう、なんか悪寒がする・・・』
そう呟いたのは、前日にタヌキのキジンさん達に呼ばれて丸一日出かけていて、お祭りに行く気になることも出来なくなって疲れ切ってしまってお留守番している、茶色い毛並みで火山ウサギのリクゴウくんだった。
『火が、火が欲しい。温かいものが欲しいぃぃ・・・。風邪でもひいたかな?ううう・・・』
手足をお腹のあたりに隠した状態で丸くなりそっと目を閉じ、体を少しぷるぷると振動させつつ、毛はいつも以上にもこもこにぶわりと膨れていた。
『なーんか嫌な予感が・・・』
リクゴウの予感は的中した。
「こんにちわ!!!」
『うわぁぁ!』
リクゴウは驚いた。無理もない。ヒロアカのオールマイトの”私が来た!!!“の3倍ぐらいの声量というべきか、トトロが夜中サツキとメイをお腹に乗せて”グォォォ!!“と叫んだ声量というべきか、アントニオ猪木の”バカヤロー“の3倍ぐらいの声量というべきか、とにもかくにも、大きな声の”こんにちは!!!“だった。しかも窓から。
不意打ちは心臓に悪い。リクゴウの心臓は跳ねていた。
「ウサギだけに?ドキがムネムネしてる?」
『おまっ・・・もうっ、ほんと、心臓止まるかと思ったんだぞ、帰ってくれ』
窓にいたのはいつぞやのリスだった。
「今来たのに連れないね。」
『ゲンブは見つかったのか?』
「ううん」
『そっか』
というかその探しているゲンブに我はキジンさんのところで会っている。言うべきなのか。言わざるべきなのか。特に言わない理由などないけれど、世間は狭い。ほんっとーに狭苦しいのだよ!学者先生もよく言っていたと思う。
「ねぇねぇ、また背中に乗せて一緒にどこかへ行こうよ」
「・・・・」
このリスとリクゴウはたまたま行き先が同じだったから一緒にいただけで、仲良く一緒に居続けようなとどいう関係性の深いものではなかった。リクゴウは自分の考え事に没頭して半ば無視を決め込んでいた。
「ねぇねぇ」
「・・・・」
「ねぇってば」
「・・・」
「こんにちは!!!」
ズドン!っとリクゴウは昭和のズッコケよろしく、また大声量にビックリして跳ねてこけたのだった。
『お前さん!なんなんだ!』
そちらを見ると風がちょうど吹き、葉が揺れるざわめきがザアッと流れた。リスはリクゴウを見つめていたがその目には異様な目の開き方をしているように見えた。獲物を品定めしているような、ねっとりと絡みつくような、そう、まるで・・・
『り、リスのくせして、ヘビみたいに見つめてくるだなんて、我も初めての経験なのだが、これはまた・・・うぅん。怖い』
そう呟くと同じくしてリスの後ろから現れた、薄汚れた毛がゴワゴワの灰色のネズミ達が待ち構えていた。
『ひえっ』
リスは小さな声で「ゴメンこうしないと食べられちゃうんだ」と泣きそうに言ったけれど、リクゴウはネズミ達のヂュー、ヂュー、の音で聞いていなかった。リクゴウはネズミ達に囲まれてどこかへ連れていかれたのだった。
「いてててて、ここは、どこだ?」
その声は紛れもなく、熊獣人のユーグリッドだった。しかし、あたりは真っ暗で昼なのか夜なのかまでも判別出来ないほどの暗闇の中に彼はいた。
次回は明後日予定です。(いつものテンプレと化してきた。)
テンクウ「今回こそは僕の出番かと思ったのに!」
レフティ「アタイこそ!!」
ミギィ「アタシもだよ」
フテゥーロ「モナママ、モナママはどこ!?」
_:(´ཀ`」 ∠):_