第231話
辺りに見えるのは草と動物。コブタとガチョウが多く見える。日本だと畜産系の放し飼い動物の代表だと、ウシ、ウマ、ヤギ、ニワトリあたりだろうか。
目の前に見えるのは普通のブタよりは小さい気がする。ガチョウとそんなに変わらない。コブタ可愛い。ブタを見ると、ベイブの映画を思い出す。ウサギならピーターラビット。クマなら、プーさん。ガチョウ・・・ガチョウといえば、ジャックと豆の木?
異世界だもの。巨人っているんだろうか。ビッグジャイアント?怪物はささやく?
横竪さんに言われていなかったら、こういう体験逃していたんだなぁと少しだけ得した気分になった。「異邦人」の歌を鼻歌で歌いながら流れる景色を見ていたら、ディオさんが改めて質問してきた。
「知り合いのご友人に会ったあと、魔法などを教わるっていう話だったけれど、適正魔法などの検査は受けたり、教わったりしたのかい?」
・・・ん?なんだそれは。えーーーっと?・・・あっ・・ゲームでよくある職業の専用ステータス値からくるやつかな!?
「一応テイマーになれると言われたのでそれを伸ばそうかと」
「えっ」
「えっ?」
ディオさんがしまったというように口を抑えたがもう遅い。私もえっ?って聞き返したのをディオさんもちゃんと見て、聞いている。
「どうした元・王子よ。」
「ここ数年はテイマー自体が衰退してしまってどこにもテイマーが居ないのです。みな、辞めたり他国に行ってしまったりで。」
「そういうのって推進支援策とか打ち出したりするものじゃないの?」
「何年か前から事件や事故が後を絶たなかったので、やむを得ない状況なのです。」
なるほど?でもあの神様だという横竪さんがその目で見て口に出した事実は“テイマーの素質を持つ”ということ。人を見てそれを判断したのだからそれは最大に伸びしろのある最高の職種を見出したということだ。
「では私はそのテイマーの新たな出発の1人として名をあげても構いませんか?」
――――この時の私にはこの答えしか持っていなかった。それが正しい判断だと思ったし、それが最大に私自身を成長させる物だと思った。
――――だから・・・この判断が私を“心のそこから破滅させる“判断だったことを、横竪さんをも恨みもした。
――――彼女ももういないのだから、この気持ちはどこへ向かえばいいのだろう。
過去を思い返すだけでかなり疲れた。1度私を起こして、お祭りに戻るなりしたほうがいいかもしれない。深層心理の奥底でのんびりまったりしていたモナはそう思った。
そうだ、横竪さんはもう存在していないけれど、起きたらあの世界でいた、友人はこの世界にもまだいるはず。王都の離れ屋で1人でずっと住んでいたと言っていたからこの思い出した記憶についてとか相談できるならしたい。さすがに、あの10年後の世界にいたからと行って、アンドレやディオさんに相談するには変な顔をされそうで怖いから。まだあの馬面男に相談するほうがいい。
よし、起きよう。
私が倒れてから時間が少し経っているからみんなが心配している可能性がかなり高い。そういうば、ミギィさんもレフティさんも私のもとに戻ってきているかもしれない。記憶が戻ってしまっているので2人には、今までと違ってとてもぎこちない顔を向けてしまいそうだ。私はあの世界であの2人にかなり煮え湯を飲まされるような戦闘に何度となくあったからだ。
2人には知らない10年後のこととはいえ、私が記憶を戻ったことによって急に私からの態度が急変するのだ。どうしよう。親切にしてもらったから会いたい気持ちもあるけれど、今は会いたくない。思春期の子どものようだ。うぅん。
って・・・・・あれっ?そういえば深層心理の奥底のここではいつも中学生ぐらいのサイズに変化していたはず。今は外と同じ5歳サイズ。
・・・・・えっまさか?
「戻れ」
「・・・外に出ろ」
「意識よ戻れ!私、神殿で寝ちゃったけど、倒れたけど、戻りたいです!体よ起きろーーー!」
「戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ戻れ・・・・」
ゼーハーゼーハーゼーハー・・・・
・・・・・ど、どうしよう・・・・!?!?戻りたくなかったけど、戻れないとは聞いてない。戻れる時に戻れるから戻ろうとしてなかっただけなんだよ!?記憶が戻ったから思い出せるうちに思い出しとこうかなって。
戻れないということはここから出れない。つまり私の体は起きることが叶わない。ど、どうしよう。
どうしよう!?!?!?
次回は明後日予定です。
前にやってたゲームがサービス終了した話をここのあとがきに載せてたことがあったと思いますが、なんと、その!サービス終了前最後の懸賞に当選しましたーーー!わーい!
キーホルダー当たった。嬉しすぎる。絵葉書入ってたから写真立てに入れて置いた。飾れるスペースないからそのうちどこかに飾ろうと思う。嬉しい。
数ヶ月分の幸運をここで使ってしまったかもしれない。またいいこと起きますように。(にゃむにゃむ。)
ではまた次回!