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第230話

少しだけドキドキと高鳴りつつある鼓動にモナはハッと気づいた。これは――――!


「アイドルに間近で会ったときの衝動!」


「遭い?取る?に会った?」


「あっごめんなさい!こっちのことです。気にしないでください」


ディオは疑問を投げかけてくれたけれど、モナはこれ以上聞かれても答えられないと態度に出した為、それ以上の深追いはしてこなかった。イケメンの配慮にありがたや。


恋愛ぐらい一応したことはあるけれど、ここには恋愛をしに来た訳では無い。モナは頭を振った。


ディオに連れられるまま箱型の内装も豪華な馬車に乗り、ポケットに入りっぱなしだったスマホを現実逃避の材料として、写真などを眺めていた、そんな時にモナは呟いた。


「頑張らなきゃ、ね。」


モナがそれを見て呟いていてもフクロウのタイサイさんも、ディオさんもスマホについて特に質問をしてこない。今は聞いてはいけないと、静かに見守ってくれているのだろう。そういう配慮にはとても感謝だ。


これもまだ電池残量が60%残っているけれど少し眺めたら電源を切ろう。いつ“元の時間軸”に戻れるのかわからない。少しでも家族や友達の顔を忘れないためにも、電池を長持ちさせたかった。好きなアニメやドラマや家族や友達との会話のやり取りの残滓もここに来ては、当分新しいものは望めない。


わかってはいた。だから最初は断った。








最初に横竪(オウジュ)さんに聞いたこと全て、やはり単なるファンタジー、創作物だとしか思えなかったからだ。どんなにへんな移動装置に足を突っ込んでも、心から異世界があるとは、理解に苦しんだ。


あったらいいなとは思ってもまさか自分が足を突っ込む1人になるなど考えもしたことがなかったからだ。そして、もし行って、もう二度と帰ってこなれなくなる可能性のほうが高そうだと本能的におもったからだ。子供じゃないからこそ、普通の旅行などでも多少の危険は付き物だと教わったことがあるからだ。


そうでなくても毎日テレビで何かしらのニュースを目にすると思わなくもない現実がそこにある。突発的な事故、人攫い、殺人、自然災害、その他諸々。そのうん万分の1の確率の何かに、出会う確率は異世界のほうが大きい。生きるべき日常のルールや常識が住んでいる場所ごとに違うのは日本、地球全体では当たり前のことだ。


異世界に行って日本と違わない訳がない。ジェスチャーで「こっちきて」が「あっちいけ」に意味を取られるのはよくある話だもの。


私が横竪(オウジュ)さんに従ってここ、異世界に来たのには、やっぱりその次に神社に寄ってくれた人達が横竪(オウジュ)さんの事を見ることすら叶わなかったからだ。行く気が少しは一応あったので質疑応答をしていたのだが、その間に3人ほど神社に来てくれた人がいた。


おじいさんがお参りに1人。くたびれたサラリーマンみたいな人が休憩に1人。近くで働いているであろうお(つぼね)なOL風のおばちゃんがタバコを吸いに寄ったらしく入口付近に1人。


私は一切話しかけていない。横竪(オウジュ)さんは人が来る度に「おじいさん、そなたはものづくりの才が光っている!今からでもドワーフの元にものづくりの街に行かないか!」とか「くたびれているな男性よ。こちらの馳走(ちそう)は美味だと聞いた。もっと食べよ。そして睡眠を取るのだ!生きている時は楽しめ!」とか「く、臭い!あの葉巻はなんなのだ!?体に毒な匂いがするぞ!女!やめろ!鼻がもげる!」とかとか、言ってたけど、誰も見えてなかった。


まあその間も質疑応答を繰り返して、私は行くしかなさそうだと腹をくくった。


「友人は時間をも管理できる。この世界のこの時間に私が飛ぶようにしたのも友人だ。帰りも同じ時間軸に連れて来れるはずだ。」


「もし、無理って話になったら?」


ありうるよね?


「もちろん連れてきた私が萌那(もな)を全ての力を使ってでも必ず帰す。」


「わかった。」









「モナさん、もう少ししましたら着きますので寝ないでくださいね」


「ほぇいっ?」


ディオさんに言われて顔を上げた。考え事をしていて気づいたら顔を下げすぎて寝ているように見えたようだ。変な声をあげたけれど、大仰に笑ったりしないでいてくれる紳士がそこに居た。いやほんと、こんな女で本当にスミマセン。


心の中でしこたま謝っておいた。あとで謝罪の場を本気で設けてもらおうかな。と、真面目に悩み始めた。


色々考え事し過ぎであまり窓から顔を出して外を眺めたりしなかったけれど、外を見るととても気持ちよさそうな光景がいつの間にやら広がっていた。アルプスの少女ハイジが都会から田舎に行くシーンを思い出した。・・・低燃費少女ハイジでもよし。急によぎったけど、低燃費の方は逆方向だったかもしれない。まあいいや。


とにかく都会から田舎に来た感がある。舗装されていない道路。道路では無いところは人がほとんど通らないのだろう、見える限り辺り一面芝生だ。一言で言うなれば“牧歌的”だろう。


「この辺りの牧草はよく育つんだ。」


芝生じゃなかったようだ。牧草?芝生と牧草の違いってなんだろう。牧歌的とか考えておきながら、こういうことへの知識がゼロに等しいので、詳しい話が出来ない私はとりあえず景色だけを楽しむことにした。


な、なんとかなれー!(無口発動)

明日も更新予定です


芝生「びっしりと絨毯みたいに生えている草のこと。」


牧草「動物が食べる為に育てているまたは自然に生えている草。栄養価が高い。」


モナ「草が喋ってる!?」


芝生、牧草「僕らももふもふだと思いませんか?」


モナ「!?!?!?!?」


テンクウ「モナちゃん!草の後ろでビャッコ達ネコが声を当ててるよ!気づいて!」






↑もふもふ要素が最近不足気味な気がしたのでね。


タイサイ「フクロウである私がいるのに不満か?」


HA HA HAhahaha!

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