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第226話

約3年前の横竪(オウジュ)さんに出逢ったあの日、質疑応答と散々したあと、異世界に自らの足を突っ込んで渡った。


”チリンチリン“


鈴の音?


横竪(オウジュ)さんがワープ装置から出てくると、最初に言っていた通り空間が閉じた。そしてこれもまた聞いた通り、ワープ装置が閉じる時にブラックホールに吸い込まれて消えるかのように、横竪(オウジュ)さんの体から力を吸い上げてしまう。彼女は倒れた。足から崩れ、走った後のように息切れを起こした。


「大丈夫?」


息もままならないけれど近くの木に腰をかけて答えてくれた。


「ああ、少しここで休む。おぉい、帰ってきたぞ。」


横竪(オウジュ)さんはどこかに向かって声をあげた。するとどこからともなくバサリバサリと(くう)を切る音が聞こえ、私達から見て真正面側に1羽のフクロウが枝に止まった。


「おかえり。待っていたとも。その子が打開策かい?」


独特なとってもダンディーな男性の声がフクロウからした。・・・アニメのスライムの仲間になって鬼神から変貌したメンバーのうちの1番おじいちゃんのキャラの声に似てる気がする。なんて名前だったっけあのキャラ。あのキャラのような声がする。


萌那(もな)。コレはタイサイだ。タイサイ、この娘は萌那(もな)だ。2人共、私は少し眠る。次にキチンと目覚め、起きる時は、私はあの土地へ強制送還されるだろう。仲良くな。」


「コレだなんて言ういい方が気に入らないけれど、まあ、いつものことだよね。」


フクロウのタイサイさんが悪態をつくもその間にも横竪(オウジュ)さんは眠ってしまった。


「守りをかけてあげなくてはね」


タイサイさんが目をつむると横竪(オウジュ)さんに何か魔法をかけたのか、横竪(オウジュ)さんの姿がスゥッと消えていった。


「おいで、道を教えてあげよう」


それから10分ぐらいだろうか?森をタイサイさんについていくまま歩き続けた。


「暗くなる前に行かなくては」


タイサイさんはそう言うけれど、森なので日が当たらなくなってくるともう夜並みに暗い。さすがに散歩だと思って外に出てきたので私自身荷物が少なかったから、身軽だったけれど、身軽過ぎてそろそろお腹が空いてきた。いや、もうとっくにお腹は空いていたけれど、色々あってそっちに思考がいかなかっただけだったのかもしれない。


歩き続けていたら飛び出た枝に足を引っ掛けてしまった。


「すまない。ワタシの道案内では限界がある。仲間を呼んでくるので、ここで待っていてくれ。足元の悪い所を案内するのが得意なやつを連れてこよう」


フクロウのタイサイさんは私に了承を求めてきたので、どうぞと返事をしたらニッコリ笑って羽ばたいていった。









と、過去の事を思い出して、ふと、思った。


そういえばタイサイさんは元気だろうか。横竪(オウジュ)さんの仲間であり、私にとってのテンクウちゃん的ないい関係を築いていたフクロウだ。


あの時の横竪(オウジュ)さんを姉と慕う真っ白い肌に真っ白い服に真っ白い雰囲気の男性の神様が、私の記憶が不完全な時に接触してきたけれど、タイサイさん達のことは特に言っていなかった気がする。


・・・そういえば、あのサル達のこと、この5歳の姿になってから始めて会ったのは確かなことだけれど、誰かが『昔、こんな事があってね』って話していた気がする。ええと、確か王城で話していたのを聞いた、ような?


・・・記憶が完全に戻ったとわかっても、結局私のポンコツな脳を使うのもポンコツな私だから、思い出せないことが結局あるという、ポンコツっぷり。


順番に思い出そう。そうしよう。ディオさんに出会ったのは、そう、タイサイさんが誰かを探しに行っている間に、私が休憩してたその場に現れた。いやー、あれは凄かった。滅多にない経験。というか通常体験なんか出来ない。


恋愛でよくドキドキが効きやすいとかで吊り橋効果を例にあげられるけれど、あれもきっとそういうのの一例なのではないだろうか。10年前のここのディオさんの方が落ち着いてる。あの私の伴侶となった10年後のディオさんは足が悪い代わりに、今よりも子供っぽかった気がする。


私はどっちも嫌いじゃないけど、1番身近なアンドレにしてみたらハラハラしっぱなしだったろうな。


目を閉じれば思い出す。ディオさんは空から降ってきたのだ。



次回は、明後日予定です

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