第225話
ここまでのあらすじ
モナが完全に記憶を取り戻したよ。
回想踏まえた回が続いているよ。
と、まあ、そんな事があった。
私もそれを聞いて驚きはしたけれど、すぐに信じはしなかった。なぜって、コスプレに見えたし、そんな夢物語は現代日本で起こりっこないと頭で考えてしまう。普通そんなものだ。
「ふむ、よし、いいだろう。あの裏にまだ開きっぱなしの転移扉がある。そこを通って見てきてはどうだ?私が帰りに使わなければ、まだ閉じることはない。君が使う分には閉まることはない。覗いたらこちらにすぐに戻ってきてみてごらん。私の世界が見えるはずだ」
いやいやいや、さっきの話じゃ、土地に縛り付けられてるって話じゃない?移動できないって行っているのにこんな所に来れるわけがない。
「その扉は友人の最高傑作なんだ。私もその友人も星が無くなるのは嫌でね。・・・ああ、怖いのか。大したことはない。出た先は森の中だ。」
「森。」
「ああ、あの場所は気持ちのいい場所だぞ。」
恐る恐る横竪さんが出てきた辺りに歩みを進めてみた。うわぁ。なんか渦巻いてる。彼女は扉と言っていたけれど、マンガやアニメで見る魔法で出すワープ装置みたいにも見えなくもない。怖い。怖いに決まってる!
だってもし横竪さんが土地に縛られたという神になっちゃったと言う話が本当だとしよう。仮定ね。仮定。んで、もしその神様とやらが通れるその扉は、神様限定で通れちゃう可能性もなくわないわけだよ、諸君!え?何が言いたいかって?
渦をね、じっとね、見てると恐怖に駆られて思うことが1つある。手を突っ込んだら、突っ込んだ場所からズバッと切り裂かれてスプラッタァァァ!なんて・・・ないよね!?ないよね!?ありそうで怖くない!?想像しちゃう私が悪いのか!?うわぁぁん!
うっ・・・彼女ニヤニヤしてこっちを見てるくさい。
「横竪さん、まさか死神とかじゃないですよね?」
「残念ながら神になってしまうと私も友人も殺生関係は私は何ひとつできなくなってしまったので、その扉に人の生き死にに関するものは付いていないよ。」
ぬおー。そうは聞いても1度想像しちゃったから怖いものはこわい。それが見えたら終わり。なんだよ?そうだ。なにも手から突っ込む事はない。そうだ。靴がある!靴から入れよう。
足先にダメージがあったらそれも困るので、靴は脱いで手に持って目の前のワープ的な部分をツンツンしてみた。
「触れた感じはない、というか雲っぽい?」
靴の半分ぐらいまでズムっと入れて戻して見たら、良かった。ズバッと切れたりはしないみたいだ。靴を履き直して、息を吸ってー吐いてー。ふうっ。指を入れ、手首まで入れ体を入れてみた。
気づいたら体全部がその先に着いていた。カラスのような鳴き声が遠くでギャアギャアと聞こえ少しだけビクついたけど、本当にそこは森だった。屋久島とまではいかないけれど鬱蒼とした森。おお、ジブリみたい。
「あっ・・・・なんだ。よかった。」
後ろを振り向いたら、扉が消えていた!なーんて事は無かった。ホッ。まだちょっと怖いので今度は足からズムっと出てみた。おおお、神社裏に戻ってきた。なんという。・・・・現代日本で私ファンタジー(現実)に出会ってしまった?え?凄くない?
「どうだ?森だっただろう。」
「ふぇい。え?てことは、本当に本当にコスプレじゃなくって?え?えっ?まぢか!!!?」
あの森は王都キングヴァギアンの王城の近くの森だった。
横竪さんが帰ると閉じるそのワープは1度閉じたら横竪さんにはもう開けることは叶わなくなるもので、かわりに横竪さんの友人ならもう一度だけ開く事が出来る。
もしくは私があちらに行って自身の魔力を大きく育てられれば、こちらの世界の波動とあちらの魔力との融合で好きに行き来出来るように出来ると言われた。
「そんな事が出来るならその友人が行き来すれば良かったんじゃ?」
「私も友人も一往復のみだ。なんといったらいいのか、無理矢理薄くて硬い膜を伸ばして引き千切って無理をするので、魂もだけのような存在の私達には、2回目は消滅してしまう。」
そっか。魂だけで器がなかったら・・・。えっ今目の前にいるのって、神様って名前の幽霊だったの!?
「ゆ、幽霊?」
「ぶはっ!あはははは!なるほど!そうだな、まあ!似たようなものだ!あはははは!しかしこの世界にいる時は、体に膜が付いたままなので、君には触れられるよ。ぶっ・・・くっくくく」
爆笑された。解せぬ。げせゲセヌ。
えー、あ?あ!メイドインアビスの地下のアビスから上に登ろうとすると・・・って説明に膜がどうのってあったよね。それに近いのかもしれない。
「帰ると膜が剥がれ取れるかわりに魂の体力もごっそり持っていかれるということだ。他に質問はあるか?」
横竪さんの助けを求める言葉に私が何に役に立つのか分からなかったけれど、聞いてしまったし、ワープ装置も体験してしまった。確実に帰れる方法が確立もされているし、うん。行く方向に気持ちを固めた。
あちらに横竪さんが着いたら倒れて少しだけ寝込む可能性もあるというので、扉が閉まったあとの行動について全てを暗記する必要があった。
懐かしい。私は今精神の奥底にいる。
「扉が消えた後。あの後、ディオさんに始めて会ったんだっけ」
全てを思い出して行くけれど、それも夢だったんじゃないかと思うほど、あの頃は期待と希望に満ち充ちていた。
明日も更新予定です