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第220話

うぁぁぁぁ・・・・・あ?


さっきまで全身に痛みがはしっていて、体が()けると思った。もうこのまま死んでしまうとも。思った。


痛みが一瞬にして消えた。


あれ?私何してたんだっけ?


ここは・・・?


ここは


ここは、ああ、ミギィさん達の家の、私の部屋のベッドの上だ。痛みに耐えるように体を丸めて寝ていた体。顔だけ動かしてキョロキョロと周りを見る。・・・・私の部屋だけど、私の部屋じゃ、ない。


部屋に1つだけある窓の先がなぜか暗い。夜にしてはおかしい。だってこの位置からでも暗くても雲や木々が少しだけ見えるはずなのに。体を起こした。うん。もう痛みはない。ベッドから足を下ろして、ストン。うんうん。5歳だからね。落ちるように降りた。


窓に近づいた。うん。おかしい。ブラックホール?異空間?窓に腕を突っ込んだら、窓から先の腕が消えた。引っ込めると腕は戻ってきた。窓からは外は一切見えないし、仕方がない。ドアに向かった。私の部屋に入る唯一の出入口。がちゃ。


ガチャガチャガチャガチャ・・・・。開かない。鍵穴なんてないし。外に何か有ってドアを塞いでいるのかな?・・・いや、内開きだからそれはない。・・・まるでドアがただの壁になってしまったかのようだ。


なんなの。


・・・・あれ?そうだ。今日ってお祭りの日だった。あ!え?ん??私さっきまでアンドレと一緒に神殿に行ってたよね。


どうしよう。本当にここは私の部屋なの?帰らなきゃ、きっとそろそろミギィさんとレフティさん達が合流してくれているはず。私が戻らなきゃびっくりしちゃ・・・・。


ちがう。


ちがう。2人は・・・。そうだ。


2人は私の敵だった。なんでこんなこと忘れてしまっていたんだろう。


『助けてください』


そうだ。横竪(オウジュ)さんはどこにいった・・・?そうだ、彼女は、あれ?じゃああの神様は誰だっけ?姉だと言っていた。どこで?そうだ、私この空間を知っている・・・!!










ここは、精神世界の私の中の奥底の奥底の奥底。この世界にもう一度来てから、ここでスズちゃんと話をしたりしてた。だから、この部屋は


「ハリボテ」


そう呟くと、天井からぱっくりと四方に壁が倒れた。もう私を閉じ込めるものはない。けれど私はまたベッドを椅子がわりに登って座った。


ああ、この体、この5歳の体。とても小さい。わからないのはなぜ私がまだ生きているのかだ。


「死にたい」


この街で私はやってしまった。まさかこの街で目覚めるとは思っていなかった。ディオさんにもアンドレにもツラい思いをさせた。フテゥーロちゃんにも。


「産めなかった。本当にごめん。名前も付けずに、死んだママ。ママ失格の私のことをまだ好きでいてくれてただなんて、本当にごめんね」


涙は出ない。とうの昔に枯れ果てた。


「全て思い出した。あのさっきの祝福で神様の力で私の魔力がうまいこと補充されてしまったから、思い出してしまった」


現代日本に帰る道も思い出した。最初に私がこの世界に現れた場所に出入口がある。王都の城の近くの森。そこにいけば私はいつでも帰れる。


「私この世界が好きになって約3年も暮らしていた。好きになったりしないで横竪(オウジュ)さんが戻ってといった時に、帰ればよかったんだ。そうすれば、あんなに悲しいことは起きなかったかもしれないのに。」


どさり・・・。せっかく起きたのにベッドにまた横になった。天井はもうない。崩れたから。


目を閉じれば思い出す。


この世界に来たときの事も全て。












それは転勤で新しい家に引っ越しをした時、街の様子などを知りたくて散歩をしていた。小さな神社を発見して何気なく入った。休憩と言う名のボーッとタイム。


そこに1人の女性が現れた。


「おわ」


神社の裏手側から、コスプレイヤーらしき格好の女性が出てきてついつい声を出してしまった。


(ギリシャ神話に出てきそうな、なんかこう、胸の谷間が妙にキレイに見える、服を着てらっしゃる。寒そう。)


第一印象は、寒そう。だった。だってまだ春先だったから。肌寒いじゃん。


じっと見てたのがバレて、彼女が近づいて来た。ヤバい、近づいて来てわかったけど、彼女、日本人じゃないな!外人だ!マジでギリシャ人とか言わないよね?ね?


「テイマーの資質のある子はあなたですね」


なんか急に話しかけてきたぞ。ヤバい人じゃなかろうな??


「いえ、なんでもありません。この場所から立ち去って下さい」


え?いや、そりゃあ逃げようかなって考えたけど、そんなに顔に出てた?スゴくがっかりされた。私のことはそれ以上はどうでもよくなったのか、少し離れた距離を取ってそこに座り込んでしまった。男らしい座り方をしている、女性・・・だよね?


「あの」


立ち去りなさいと言われたら逆に気になってしまうのが人間の切ない(サガ)ってやつでして。ついつい声をかけてしまったのである。


「まだいたのですか。テイマーの資質のある子」


「その~、テイマーってあのテイマーですか?」


「あのとは、どの事だがわからないが、テイマーとはテイマーである。動物達に好かれるオーラが出ている」


「おおお、ゲームや漫画みたい!つまりテイマーってそのテイマーってことだよね!わぁい!」


・・・って、喜んでしまったけど、あれれ?素質があるだけだけど、それって何かに役に・・・たつの・・・か??


女性はにこりと微笑んだ。


「私は横竪(オウジュ)。少しだけ話を聞いてもらえないだろうか」


「聞くだけなら?」


ここで熟考すればよかったのに。なんとなくでも話を聞く、は、止めるべきだった。これで私の運命は決まってしまったのである。


次回も明後日予定です


(*ゝω・)ノ

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