第218話
手を組んで、アンドレの言うことに耳を傾ける。アンドレの言うことを復唱すればいいだけ。ごっこだ、簡単簡単。
「この地の神に祈りを捧げます。はい、繰り返して」
「ぶふっ・・・ごほん・・。この地の神に祈りを捧げます」
「私は魂が地に馴染み、この生命を全うすることをここに誓います」
「私は魂が地に馴染み、この生命を全うすることをここに誓います」
「神よ、この地の偉大なる神よ、私に新しい力を授けて下さい。そして」
「神よ、この地の」
「モナ、早いって」
「ごめん、そしてって続くと思わなかった。」
「んもう、もう一度いくぞ?」
「うん」
「神よ、この地の偉大なる神よ、」
もう一度ってそこからかい。まあいいか。
「私に新しい力を授けて下さい。そして、私をお守りください。」
「神よ、この地の偉大なる神よ、私に新しい力を授けて下さい。そして、私をお守りください。」
「いいぞいいぞ!・・えっと、ごほん。・・・私達は神に作られし神の子供。お導きください。ゴット・ゲッティン・エンゲル・アポステル、我らは次に土に返り、天に召されるまで、あなた方を信じ、全てを宝とし、全てを試練だと受け止めます。」
アンドレ、いいぞいいぞ!って笑わせるつもりはないんだろうけど、私のツボに入るからやめて!
「ぶっくく・・・ごほん。私達は神に作られし神の子供。お導きください。ゴット・ゲッティン・エンゲル・アポステル、我らは次に土に返り、天に召されるまで、あなた方を信じ、全てを宝とし、全てを試練だと受け止めます。」
「よし、では、目を開けて」
パチリ。
「まだそのまま立つなよ。」
終わったのかと思ったら違った。アンドレは私の額に手を当てて、小声でこれは繰り返して言わなくていいからな、と呟いた。アンドレは真剣に1言言った。
「Wunder、geschehen、Segen、seimitdir」
ワンダー、グッシン、シン、セイミッディア?
「・・・・」
「・・・・ふう。」
周りから先ほどクスクスと聞こえた所辺りから今度はパチパチと軽い拍手が聞こえた。
「・・・終わり?」
「本当ならここでピカッと光るんだ。ちょっとだけな。すると頭の中に自分のなれる職業とかがわかったり、あと、神様の加護が手に入ったりしたりする。手に入ったりしたときは本能的にこう、血がたぎるというか、万能感があるみたいになって、わかるらしいぞ」
「おお~。」
まあ、5歳だしね。たしか祝福は8歳から、ピカッとならないのも無理はない。終わったようなので祈りのポーズもやめて立ち上がった。
「家族とか兄弟でやるのは、そのピカッと光ったときに、やった人と受けた人とで絆が深まるんだ。だから俺はお兄様とやろうと思う。孤児など家族や知人のいない人が祝福を受ける時は神官様にその役割を受けてもらう。仲がいい家族ばかりではないので・・・俺もお兄様が俺をずっと気にかけてくれていなかったら、お兄様じゃなくて、プントか、神官様に頼んでいたはずだ。」
アンドレが真剣に教えてくれた。うん。私もアンドレとディオさんのこの祝福楽しみだよ。ふふっ
『Wunder、aufwachen、Segen、seimitdir、Herzlichen Glückwunsch』
え?
今、おめでとうって聞こえたような・・・?
指先が光っている。
「モナ!?」
「きゅん!?」
「プラッッェ!?」
足が光っている。
「何これ!?どうなっているの!?」
私達の周りにいた大人の人達もざわめいている。誰も何が起こっているのか分かっていないようだ。
「お嬢さん!」
「モナちゃん!」
神官様とディオさんが来てくれた。と、思ったらお腹まで光だした。体が全て光に包まれ眩しくて目が開けていられなかった。
「モナ!!!!」
「モナちゃん!!!!」
おかしい8歳じゃないと出来ないって聞いてたよ。なぜ・・・・って私体は子供だけど、中身は大人だったわ!えっ、もしかしてそういうこと!?『魂が地に馴染み』!?って8歳越えました、越えたから魂強くなったからイケルヨ!って合図なら、私、魂は大人ですね!そうですね!やっちまったなぁ!(クールポコ。)
とかなんとか、いつものノリのまま考え事をしていたのも、限界に来たようで私は地面に崩れ落ちた。体から出てきた光は収まったけれど、私の体はまるで魂が抜け落ちたように眠ってしまっていた。
ごっこだったはずなのになぁ~・・・
次回は明後日予定です
(((UωU` *)(* ´UωU)))
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