第211話
アイスショーを見終わってから少し客席でだらだらと過ごした後、お昼ごはんをどこかで取ってから神殿に向かおうということになって、またみんなでゾロゾロとお祭りの屋台を見て回っていた時だった。
「あっいたいたいた~~!!モナちゃーーーん!」
「モナちゃーーーん!こっちこっち!アンドレくーん!」
ミリーちゃんとユリーくんと、後ろにいるのはリーリーさんだ。あっユリーくんが大声でアンドレの名前を叫んだから辺りを見回して焦っているリーリーさん。そうだよね。リーリーさんはアンドレもディオさんも王族って知っちゃってるもんねぇ。辺りを気にしなかったらかなり図太い神経の持ち主・・・・おっとこれは、自分自身にブーメランだなっ(てへぺろ)・・・リーリーさん、首もげるから落ち着いて落ち着いて。
「うわぁすごーい」
呼ばれたので近づいてみたら人混みで気づかなかったそれらが見えた。屋台は屋台でも食べ物だけが屋台ではない。リーリーさんの手作り小物の販売。お手頃な物がゴロゴロと。
リーリーさんの雑貨屋台の近くは、周りも似たように日用品とかリサイクル家具の販売とかしている。ふむふむ、これはあれだな。お祭りのフリーマーケット地区とでもいう感じだ。
「リーリーさん、こんにちわ。」
「もうっモナちゃんってば!私が呼んだんだから私とユリーに先に挨拶して欲しかった~!」
「え、ああ、ごめんごめん。ミリーちゃんとユリーくん、こんにちわ。」
「「いらっしゃいませ~」」
んえ、そこはこんにちわで返してくれるんではなかったのかい。まぁいいか。
「ふふふ、こんにちわ」
リーリーさんがちゃんと返してくれた。ありがとうリーリーさん。
アンドレも少し小さめの声でリーリーさんにこんにちわと挨拶した。プントさんとディオさんとトウシャくんとヨコシャルさん達は呼ばれてないからか少しだけ離れて待機。
「あのねあのね、オバちゃんから話があるんだって!んふふふふ!」
「立ち寄ってくれないかなぁってちょうど話してたの!僕達が見つけたからちょーどいいやって、呼んだんだ!えっへん!」
ミリーちゃんとユリーくんが自慢げに話してくれた。
「リーリーさん私に話って?」
「今日はミギィさんかレフティさんはいないの?」
「さっきまで一緒だったんだけど緊急の用事があったみたいで今は別行動中なんだ」
「そうなの、どうしようか。後日でもいいかしら。」
「2人に何か用事?」
「モナちゃん、に、なんだけれど・・・」
???えっ本人目の前にして保護者が必要な用事ってなんぞや。・・・うーーーん。あっこういう時はあれだな。必殺仕事人ならぬ、必殺子供人!子供になりきれモナちゃーん!うぃっ!
「歯切れわるいぞぉ~、なぁに~、すっっごーーーい、気になるぅぅ~~!ね、アンドレー!」
「えっあー、うん??」
急に話を振られて生返事返すしか出来ないアンドレ。うん、ごめんよ。笑。
「リーリーさん!話して!話して~!聞きたーーい」
口調は子供っぽく、目は真剣に。
「ああ、ううん。でも。ううん。」
リーリーさん悩みすぎでは。決まってから呼んで欲しかったなぁ。お腹空いてきたなぁ。
とか考えてたら後ろに控えてたタイモちゃんセイリューちゃんツキノさんが、現状に飽きてきたのか私の裾とかを口で引っ張り始めてきた。うんうん。ベチョベチョになるから止めようね。タイモちゃん、草をはむように口を動かさないで、シワシワのグチョグチョになってしま・・・ツキノさん!私の靴の上は枕じゃないからアゴ乗せないで・・・・ってセイリューちゃん、スカートが後ろだけ伸びちゃうから引っ張るのやめてーー!
「あの、モナに話がなければお腹が空いてきたのでまた今度ではダメですか?モナは明日もミギィさん達とお祭り来る予定らしいので」
アンドレくーん!リーリーさんにスパッと言った。と思ったらアンドレのお腹がクゥと鳴った。
「あわわわ!引き留めてすまなかったね。いいよ、また明日、ミギィさんかレフティさんを連れてここに寄ってくれるかい?」
「・・・わかりました」
何が言いたいのか結局わからなかったけど明日わかるのなら、まあ待つとするしかない、かなー。アンドレがプントさん達の方へ歩きだしたから私もそっちに向かおうとして、ミリーちゃんとユリーくんの声が響いたのでついつい聞いてしまった。
「えええー、せーっかく私がモナちゃん呼んだのに話しないのぉ~!?」
「そうだよ~僕も呼んだのにぃ~」
「いやでもお金の話だからね」
!?お金??なんで私にリーリーさんがお金の話??アンドレには悪いけどタイモちゃん達とリーリーさんの前まで戻った。
「お金ってどういうことですか?」
私なにかやらかしたんだろうか?やらかしてて賠償金的な感じ、とかかな?それとも修繕費?壊した覚えもないけど。いや、もしかしたら私が来たことで出費増えたからっていうミギィさんとレフティさんの生活費の話かもしれない?そうだよね、賠償とか修繕とかよりもそっちの方が現実味高いよね。ううん、お金の話って聞いただけでマイナスイメージ極ふりな切ない私の脳ミソは、ダメダメである。
「き、聞こえてた?ははは・・・はぁ。そうだね、モナちゃんのお陰だから、本人に一番に話さないとダメだよね」
うん?お陰だからってことは少しはいい話?
「モナちゃん、大きな声で話すと、ちょっとあれだから、もうちょっとこっち来て欲しいわ」
「あ、うん?」
リーリーさんに言われるがままコソコソ話が始まった。ミリーちゃんとユリーくんも聞き耳をたてているが、2人に関してはもう内容は話してあるらしくわざとらしく聞き耳たてながらニヤつく頬を真顔にしようと無駄な努力が垣間見得た。
「実はね、ほら、あの子がお土産って色々買った上に値段を改定していってくれただろう?」
「ああ、はい。うん。」
うんうん。だってリーリーさんの小物はとてもいいものだらけだからね。まあ、ちょっと1つ金貨ウン枚とか、あったからビックリしちゃった件だよね。プントさんがかなり張り切ってやってくれてたよね。
「息子に連絡を取ったら喜んでくれてね、私の手伝いをしに久しぶりにこっちに帰ってきてくれることになったんだよ。」
「そうなの?よかったね!リーリーさん」
「で、お礼のお金なんだけど、このくらいでどうかなーと」
「!?!?」
話が急に飛びましたよね!?飛んだよね?飛んだ!!ガッツリな。
「えっなんで急にここでお金?」
お礼まではいいんだけれど、急に金一封。
「え?だってモナちゃんがいなかったらこんなに稼げなかっただろう?いい人達を紹介してくれたモナちゃんへの心ばかりのお金だよ。ほら商業ギルドでも仲介やら頼むとお金が発生するじゃないか。そういうものだよ。ほらまだモナちゃんは小さいからミギィさんかレフティさんに渡して管理して貰おうかと」
な、なるほど??ふーむ、・・・・おいくら万円なんだろう。なんてね、5歳にあげるお金ならきっとおこづかい程度でしょう。
「銀貨3枚なんだけどね。さすがにモナちゃんには重いかなぁって」
ぎ・・・銀貨・・・3枚・・・・って、約30万円だったよね!?!?!?重いっていうか、5歳に渡す金額じゃないよねーーー!?どんだけーーーー????!!!??(混乱の極み)
ツキノさんがまた私の靴の上でごろりとしてるけど、もうどうにでもなれ~~~!
だいぶ遅くなりました。今日も仕事忙しかったです。最近毎日、足が棒。
次回はまあ、また、明後日予定です。