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ブクマ500人越えありがとう!SS!

本編に入れる予定のなかった閑話です。


ブクマいつの間にやら・・・。ありがと!!(ペコリーヌ!)

「ポコポン!」


「ぽっぽん!」


(僕たちはキジンさんのお供の豆タヌキと星タヌキの、ポン吉とぽんぽこ丸なのですよ。そうなのですよ。今日から人間達の街ではお祭りだから、僕たちのところもお祭りなのですよ。そうなのですよ。ぽっぽん。)


「ポコポコォ?ポッポコォォ・・・」


「ぽっぽん・・。ぽぽぽん、ぽっぽーん?」


(あの木の実美味しいやつなのですよ。そうなのですよ。ポコポン。)

(まだ青いやつが混じってるのですよ。そうなのですよ。ぽっぽん。)


「ポコ!」


「ぽん!」


(僕たちは生まれた時から一緒にいるので、兄弟みたいに育ちましたが違うのですよ。そうなのですよ。ケンカとかあんまりしたことないのですよ。そうなのですよ。仲がいいのですよ。そうなのですよ。ポコポン。)


「ポコォ。ポコォポコォポコォ。ポコポコ?ポコポコ!」


「ぽっぽぽぽん、ぽぽん。ぽぽん。ぽっぽん。」


(最近僕たちのキジンさんはいつも楽しそうなのですよ。そうなのですよ。モナちゃんって子が来てからなのですよ。そうなのですよ。ぽっぽん。)


「ああ、いたいた」


「ポコポン」


「ぽっぽん」


(この目の前のひとは最近来たナイトフォックスのセイリューちゃんのお父さんなのですよ。そうなのですよ。どうしたんでしょう?ポコポン。)


「キジンさんが君達を探していたよ。」


「ポコォ!」


「ぽぽん!」


(行かねばなのですよ。ポコポン。)

(呼ばれてるのですよ。ぽっぽん!)


「私も一緒に行こ・・・あれ、もうあんなところに。走るの早いなぁ」


ポン吉もぽんぽこ丸も“我先に!”と言わんばかり押し合い()し合いしながらキジンさんの所へ向かったのだった。










「「ポコォぽぽぽんポッポコぽん!」」


「ポン吉もぽんぽこ丸もそんなに競うように煙を立てて走るだなんてはしたないですん。」


ズザザザザザと砂煙を巻き上げてキジンさんの元へ来て、キジンさんにたしなめられたので、少し反省してからなぜ呼ばれたのかを聞いてみた。


「反省が足りないですん」


もうちょっと反省した。


「して、今回呼んだのはですね」


許してもらえたのでふんすふんす!と鼻息荒くキジンさんの言葉を聞き逃さないようにしているふたり。


「このお祭りが終わったら、あのモナさんの所に行って欲しいですん」


「ポコォ!」


「ぽっぽん!」


(またお使いですね。楽しみです。そうなのですよ。ポコポン。)

(お届け?伝言?がんばるよ。そうなのですよ。ぽっぽん。)


「おや、すんなり返事をしてくれたわねぇ。ならもう1人前だと言えるのですん。」


「ポコォ?」


「ぽっぽん?」


(あ、あれ?なんかキジンさんの言い方少し変なのですよ。そうなのですよ。)

(1人前?すんなり?含みがあるのですよ。そうなのですよ。)


「「・・・・!!??」」

((ま、まさか!!??))


「何を震えて・・・・って、ああ、なるほどね。もっとちゃんと伝えますん。祭りが終わったら、モナさんの所に行って、人間とはなにか、モンスターとはなにか、この世界とはなにか。見聞を広めに行ってほしいんですん。」


「ポッポコォポコポコポコポコポコォ、ポッポコォポコォポコポコポッコォ、ポコポコポコ」


(あたくし)が追い出したりするんではなく、お前達が自主的に行かないと行けませんですん。」


「ぽっぽんぽぽぽぽん、ぽーぽぽぽん、ぽぽんぽぽんぽっぽぽん。」


「嫌いになったりするもんですか。そんなに泣いて、目が腫れますん。」


ふたりは親よりも信頼していて大好きで一生付き人するんだ!と思っていた、キジンさんから、急な別れ話に涙が止めどなく溢れて止まらなくなった。


嫌われてはいない。それはわかっている。追い出したいわけじゃない。それもわかっている。わかっているけれど、突き放されると思っていなかったので、なんでそんなことをさせるのかも考えつかず、ただただ切なくなってしまっていた。







数分後


「少しは落ち着いたですん?」


「ポッコォ・・・・(どんより)」


「ぽぽーん・・・・(どんより)」


「ごめんね、私が君達がいいかもって言ってしまったんだよ」


そこに現れたのはセイリューのお父さん。


「ポッコォ?」


「ぽっぽん?」


「セイリューを進化させてほしいんだ」


「「!?」」

(どういうことなのですよ?そうなのですよ?)

(修行ちょっとしかやってないのですよ?そうなのですよ?)


「あの子はあの女の子の所に居た時に、いつの間にか絆を結んでしまっていたようなのだ。」


(あたくし)もつい先日初めて知ったのですん。ナイトフォックスはただの夜のキツネなどではない、と。」


ふたりはポカンとしていた。まだ意味がよくわかっていなかったからだ。


「ポッコォ?」


「ぽぽぽん?」


「そのセイリューさんの相棒にふたりがなってくれたらと、思っているのですん。」


思わぬ言葉にふたりは考えた。


「ポコォ!!!」


「ん?」


「ポコォポコポコポコポコポッコォ。ポポポコォ、ポッコォ~。」


「考える時間は、まあ、そうですね。お祭りの間なら待ちますん。」


「ぽぽん、ぽぽんぽぽぽんぽーぽん、ぽぽん?」


「行かないと言う可能性ですか?そうですねぇ、どちらも行かないと、他のタヌキ候補をあげる予定ですん。でも1つ言わしていただきますと、信頼しているからこそ指名したんですん。・・・まあ、どうしても行きたくないと言うのなら、行かなくてもいいですん。でも、(あたくし)の付き人は行っても行かなくても、もう卒業ですん。」


がーーーーーーーーん!!!!!


最後の「卒業」にポン吉もぽんぽこ丸も衝撃を受けた。


「あー、あー、これはまた大きな涙を目に溜め込んで。」


ポン吉もぽんぽこ丸も“ングゥ”と涙を流すのをこらえた。さっきいっぱい泣いたから。泣いたところでキジンさんの心は変わることはないから。“信頼”されていた。大事にされていた。わかっている。わかっている。1人前にはいつかなれると思っていた。まさかこんなに早いと思っていなかった。


行くか?行かないか?


「ぽっぽん」


「ポコポン」


ふたりはこらえた涙を飲み込んで、キジンさんに挨拶をしてキジンさんの小屋から出ていった。小屋から出たふたりは、ここのタヌキ達のお祭りの喧騒に紛れながら、話し合いを始めたようだった。行くか。行かないか。


(しっかり考えるのですよ。そうなのですよ。ポコポン)

(しっかり考えるのですよ。そうなのですよ。ぽっぽん)







「どうですかねぇ」


セイリューのお父さんはなんとなしにキジンさんに答えを求めた。しかし返ってきた言葉は正解などではなく。


(あたくし)はあのふたりが真剣に悩んでくれるこの時間が尊いのですん。」


キジンは微笑んで祭りで出された小さな木の実を手に取り、パクリと食べた。その木の実はまだ少しだけ青くて苦かったけれど旨味がたっぷり詰まっていた。


次回は本編に戻りまーす。明後日予定です。



「ポコポン」


「ぽっぽん」


「キュンキュン?」


このふたりの決断はそのうち本編で。




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