表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
216/463

第205話

色々な質問をしたけれどやはり根本的な所でモナちゃんへのことに繋げられないでいたディオだった。心が広いディオではあるが、こうも弟の察しの悪さに悩まされる日が来るとは思わなかったからである。


「それにですねお兄様」


「うん?」


「貴族は生まれた時から貴族なのだから平民はさげ・・さげす・・なんとかにするか、コマにした方がいいと教わりました!」


「!?!?アンドレは、モナちゃんのことをそう思っているのかい!?」


アンドレは“(さげす)む”の言葉自体をうろ覚えだったので“なんとか”でごまかし繋げたのだが、その後の“コマにする”発言でディオもアンドレが言いたかった言葉を察してしまった。


「もう友達なので違います!それにこう言うことをモナの居るところで言うとまたモナに怒られる気がするので言わないようにしています」


ディオは胸を撫で下ろした。国とは民が居るから国なのだ。“人の居ない”国の王などただの平民と同じである。食べるものも思いどおりには、まかなえなくなるのだから。1国の王だって元を辿ればただの村から国を(おこ)した者がいる。村から町、さらに発展して街となり、もっと大きくなり都市となり、それが集まって国となったのだ。


王族の教育方針としては、以上のことを子供の頃から学ばされる。だからこそ、平民の思想も学ぶ。良くない話もなくはないけれど、そこには多くの“人を慈しむ心”が溢れているからだ。利益や権力闘争、薄暗い闇に葬られるようなキナ臭い話なども多い“王城内”だけ知っているだけでは、それに染まりきっていってしまうと民から見捨てられてしまうし、それで滅びた国がいくつもある。この国の王、アンドレとディオの父親はそれをよくわかって、子供達に学ばせていた・・・はずだった。


(おかしい。父上が私達につけさせている家庭教師は調べられているし、特にまだ小さな子には王城に勤めて経験の長い者を遣わせているはずだ。)


「確かアンドレの家庭教師はザトゥルン先生だったよね」


「はい!でも1ヶ月ぐらいもしないで体調がお悪いとお聞きしまして」


「え!?」


「お兄様知りませんでしたか?エクリプセ先生にお教え頂きました」


「そうだったのか」


(エクリプセ先生へ変更になったとは聞いていなかった。あの人はまだ王城で2~3年ほどしか勤務していなかった若手教師のはずだ。なぜ?)


アンドレのまわりだけ厄介事が多い。元令嬢のリネアが配属され、アンドレの暗殺がそのまわりで起こる。

若手教師のエクリプセ先生が配属され正しい教えを無視され教育を施される。他にもあるのかもしれない。今回知った配属された先生の変更について以外にも私が知らない事がきっとある。


8歳の祝福を受けるのもかなり遅くなってしまっていた。誰かによる、策略のなかにアンドレは飲み込まれている?誰がアンドレを巻き込んでいるんだ?そして、なぜ?


「アンドレ」


「はい」


「話がながくなってしまったね。聞きたかったこととは変わってしまったけれど、そろそろモナちゃんの所に戻ろうか」


「はい!いいのですか?」


質問の総意が最後に落ち込んだ部分で無いことはアンドレも空気でわかっていた。兄であるディオが知りたかったことはアンドレがモナちゃんに恋愛対象として相手を見ているか否かだ。もし見ているのであれば兄として応援したいと思っていた。予想外のところで話を終わらせてしまうのは忍びないことだったが、幾分時間が経ちすぎている。子供にはツラい、面倒な時間として今日のこのお祭りの記憶を残したくはない。


「チェルキョに頼もうと思っていたことを思い出したし、モナちゃんもきっとまだ来ないなぁとアンドレを待ってくれているはずだ。行こう。」


ディオはにこりと微笑んだ。そして頼み事は今の話の事について調べてもらうことだった。チェルキョに目配せして近くに来させると護衛だったはずのチェルキョは祭りの人混みの中に単身、消えていった。











「アンドレ、ディオさん!お帰り」


「ただいまモナ!もう始まったか?」


「あれ?ヨコシャルさんは?プント」


ディオとアンドレは円形闘技場を彷彿させるような、サーカスの見せ物小屋にもありそうな長椅子の1ヵ所にみんながいる場所を見つけ、取ってくれていた席に滑り込んで座りながら周りを見渡した。


「彼は私達の飲み物を買いに行ってくれています。間に合って良かったです」


「まだ注意事項を説明しただけで始まってないよ。開演中は周りのお客さんにも迷惑になるし危険だからなるべく席から立ち上がらないで下さいってことと、開演中飲み食いは好きにしていいけどゴミはこの近くのゴミ捨て場に全部お願いしますってことと、掛け声や投げ貨幣はご自由にって!」


「あっさっき説明した人が来ましたよ」


「もにゃ!(とう)ちゃと帰ってきた~。こりぇ持って~」


「ヨコシャルさんとトウシャくんもお帰り!間に合ったね」


モナが飲み物を受け取り小熊のトウシャくんが座った直後中央に立った男性が声を張り上げた。


「女性の方男性の方、少年少女、そして全ての皆様、お集まり頂きありがとうございます。今から見れるのは年に1度!いいですか?もういちど言います。年に1度のみです!ここで!夏でしか!見られない、アイスショー、これにて開幕致します!」


明日も更新予定です


書こうと思ってたこと書き忘れてないか毎回冷や汗もんです。


先生達の名前はてきとうにつけました。多分出番無いと思うけど話として名前出さないと混乱するから(私が。)てきとうにつけました。


ザトゥルン→土星


エクリプセ→蝕(日蝕とか月蝕とかの。)


辞書って便利。



チェルキョ「モナちゃん達俺の事、気づいてなくない?切ないんだけど」


ヨコシャル「す、すみません」


チェルキョ「あなたは悪くありません」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ