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第204話

「よし!これで構わないかい!?」


「助かったよレフティぃぃ~!」


「カーキンは大げさだべ」


「これでようやくステージが始められるよ」


レフティと、モナが言うには両津勘吉的な走り方をする騎士団の男、カーキンの後ろにはまだかまだかとステージが出来上がるのを待ち望んでいたオヤジ達がいた。ステージが完成したとあって少しだけ出演者達で盛り上がっている。


「そんれにしても、昨晩までなんともなかったんだろ?」


「ああ、今朝の点検で柱のひとつが壊れかけていたのを見つけてな、急遽レフティに頼んだってわけだ」


レフティは取り外した横倒しに端に置いてある壊れかけの巨大な柱をまじまじと見た。なにか巨大なものでもぶつかったような跡がある。


「うわっ!?」


オヤジ達の所から悲鳴があがった。


「あっ!もう大丈夫だ。人間に怯えてすぐにどこかに行ったよ」


「なにがいたんだ?」


「ヘビさ」


「カーキン!」


「ヘイッ!?」


「アタイは帰るよ。モナちゃん置いて来ちゃったからね、早く帰らなきゃ」


「あっ待ってくれ。お礼がまだ!」


「今度受け取るさ。んじゃーな!」


「ああっ行っちゃった・・・。うーん、いつ見てもレフティはその辺の男より(オトコ)らしい。」


レフティは颯爽とその場を後にしていたので聞かれていなかったけれど、聞かれていたら鉄拳のひとつやふたつ咬まされていただろうことはカーキンのまわりのみんなには見えていた。















「おかしいね」


「ごめんなさい、ボクの鼻が役に立たなくて」


テンクウはナエを見つけられないでいた。ミギィと一緒にいたクリストファーはミギィ達をつれ回してしまっているのでせめてと飲み物を買いにいってくれている。


「思ってたより人が多いのと今ちょうどお昼時だからか美味しそうな匂いがいっぱい漂って、人間の匂いが薄くて探りにくいんだ・・・」


「それはもうしかたねぇべ。フテゥーロはどうかな?」


ミギィは上を見上げるとミギィの頭からさらに上空3メートルぐらい先にフテゥーロが飛んでいた。ミギィの視線に気づいてフテゥーロはふよよよよよと降りてきた。


「聞こえなかったけど呼んだ?」


「呼んでないけんどちょうど呼ぼうと思ってたべ。」


「えへへー」


「いたか?」


「うーんとね、あの人そうかなーって思うけど、結局違うなってなっちゃうからね、わかんない。どこいっちゃったんだろう」


「それっぽいのを見かけたのは方向はバラバラか?」


「ううん、あっちだよー」


フテゥーロがナエっぽい人を見かけたのは同じ方向だった。


「テンクウ、そっちに絞って行ってみるべ」


「うん、わかった。今度こそ見つけてみせるね」


「クリストファーが飲み物持って帰ってきたな。いいかふたりとも。話をするときはこっそりな。」


「「はーい!」」










ディオは弟のアンドレをいつも可愛がっていた。だからこそ最近のアンドレの行動は今まで見たことがない行動を取り始めて、見ていてハラハラもするし、微笑ましくもあるし、ずっと見ていたくなる。


「これが成長を見る、と言うことなのだろうか」


特にアンドレの行動が年相応になったと思ったのは、モナちゃんに出会ってからだった。モナちゃんに関しては少し頭の働く小さな女の子だ。もしこれが貴族の子供ならば・・・悪くいえば“唾をつける”。平民でもたまに聞く“キープ”。小金持ちならよくやる行動“先物買い”。つまり・・・


青田(あおた)買い、に、合いそうな子だよね」


ディオもつい口に出てしまったけれど誰にも聞かれなかったようで胸を撫で下ろした。まるで今から買おうとしている人のようではないか。


ディオにとってモナちゃんはもう恩人に等しい。婚約ではなく養子縁組を提案してきたのだ。それによって変わることが結婚という事象以外、利益も損失もほぼ変わっていない。結婚せずとも領主の息子になるし、むしろ結婚しないおかげで、領主の娘から恨まれないで済むことになったのだ。夜も眠れるようになった。


そのモナちゃんに対してディオの弟のアンドレは本当に良い顔をする。


「あれは愛を知った顔だと思うのだけれど」


ただディオにはそう見えるだけで本人に直接聞いてはいない。


「アンドレ?」


「どうしました、お兄様」


ディオに抱かれていたツキノとアンドレの肩にのっていたスズは2人から離れて距離を取った。2人だけで話したかったのをプントとチェルキョに目配せして、モナちゃんとタイモ、スズ、ツキノ、セイリュー、トウシャ、ヨコシャル、プントは先に向かい、チェルキョがアンドレとディオを少し離れた場所で護衛しながら見守るという形をとった。


「アイスショーはかなり騒がしくなるみたいだし、その前に少しだけ聞きたいことができたんだけれど、今聞いても良いかい?」


「はい。大丈夫ですよ?お兄様なら俺にいつでもなんでも聞いて下さって結構ですよ!だって俺のお兄様ですから!」


敬愛の眼差しがまぶしい。・・・そう、アンドレの目は正直だ。


「アンドレは前からモナちゃんのことが好きだと私に教えてくれていたよね。今はどの程度好きだと言えるのかな」


「えっと、スッゴい好きです!えっと、このくらいがお兄様でモナがこのくらいです」


アンドレが手で大きさを表してくれた。モナちゃんより、ディオの方が大きかった。


「全く同じ好きかい?」


「おなじ・・・おなじ?・・・・うーん、少しだけ違うと思います。だってほら友達ってモナは言ってました」


「ではもし私とモナちゃんと結婚しても良いかい」


「それはとっても素敵ですね!大好きなお兄様と大好きなモナが結婚!見ていて幸せになれそうです!・・・・・・でも」


「でも?」


「お兄様はモナを幸せに出来ても、俺の方がモナを幸せにしたいって思うので、モナがもし泣くようなことがあれば俺の方がお兄様より早く駆け付けようと思ってます」


「ん?それはアンドレは私よりモナちゃんのことの方が好きだと言うこととは違うのかい」


「・・・あれ?でもでもでも、お兄様とモナがニコニコしてる時は嬉しいです。モナが館に遊びに来てくれた時はお兄様と2人でニコニコしてたの見ちゃいましたけれど、少しだけモヤッとしましたが、俺がいない所で2人だけで楽しくしてたからかなって。それに上のお兄様達が言っていました。結婚は愛がない方がうまくいくぞ!と。だからもしモナが頭がよくて俺と渡り合える技量の持ち主なら年が近いし、俺が市政に下るときなら結婚してもいいかなって。愛は重すぎると邪魔なんだそうです」


誰だ、そんなことこの8歳のアンドレに吹き込んだ兄弟は・・・・。アンドレの恋愛感がおかしいことになっていることに、ディオは今、始めて気づいた。


「えーと、アンドレ。家庭教師やプント達から色々な授業を受けていたよね?道徳・倫理・モラル・恋愛観は少しやったと聞いた気がしたのだけれど」


「はい!確かやったと思います」


常人からすればそんなこと8歳の子供に教えるのか!?とも言われそうだがアンドレも王族の1人。通常の勉学とは少し違うのが王族教育なのだ。ディオも小さい頃から同じような教育を受けていてのでその辺りは普通のこととして受け入れていた。


「たしか博愛、恋慕、庇護欲、友情、家族愛、無関心、とかの項目を図式に分けて表すチャートを作成する授業があったと思うのだけれど」


それだけではなくあと20項目ぐらいあったような気がするけれど大雑把にその辺りを主に解説してもらった覚えがあった。


「モラル」とは日常生活における規律や規則、決まりやルールの事。 道徳とは「他者の幸せ」の実現のために行う「行為」とそれを支える「心遣い」。「倫理観」とは、人間として守るべきことへの「考え方」。


全て同じ意味合いのように受け取られてるけど、国や地域によっても変わる部分や、人として変わらない部分についてなどのことを学んだ・・・はず。それとおなじくして恋愛観も一緒に学んだ・・・はず。


「お兄様も同じ授業受けたのですか!」


アンドレがすごく目をキラキラさせて喜んでいる。そうだけど、そうじゃない。


ディオはアンドレにさらに質問を続けた。

明日はお休みして次は明後日の予定です



ヾ(@゜▽゜@)ノ

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