第201話
静かだ。
真っ暗だ。おでこがひんやりして・・・なんだか水っぽい?なんだろう。あっ私が動いたせいで何かが落ちてしまったみたいだ。まぶたが濡れた。
「んぅ・・・」
「モナ!」
「起きた。よかった・・・」
ここは・・・見たことあるテントだ。って、テント!?
がばぁと飛び起きた。少しクラっとしたけれどディオさんが支えてくれた。アンドレとディオさんが寝ていた私の一番近くに。セイリューちゃんが落ちた濡れタオルを咥えて誰かにあげるでもなく、ただただ生きているナメクジにでも見えるのか、つんつんと前足で確めてビクビクしているのが微笑ましい。
私が起きたとわかってテントの端にいたタイモちゃんとツキノさんは私に寄ってきてくれていた。スズちゃんはがばぁと起きた時に私の足元にパタパタと舞い降りて私の顔を覗きこんでいる。
「モナっ心配したんだぞっ」
アンドレ、よく見たら顔が真っ赤だった。泣きじゃくっていたのだろう。そこにいるのは認識していたけど、こんなに顔がぐしゃぐしゃだってこと認識すぐにできないなんて私疲れてる。
「ごめん。私、倒れた・・・んだよね?沢山寝ちゃってた?ごめんねアンドレ」
とにかく謝るに限る。アンドレは言葉がうまく出せないようで首を横にブンブン振るだけだ。やっちまったなぁ・・・むむむ。せっかく仲良くなったからアンドレに嫌われたら悲しいなぁ。
「モナちゃん。倒れてからそんなに経っていないよ。安心して。ところで聞きたいんだけれど、あの冒険者達がモナちゃんに何かしたのかな?」
起きた体をゆっくりベッドに下ろしてくれた。ディオさんマジ紳士。気遣いの出来る男スバラです。・・・冒険者?
「えっと・・・?」
「あの冒険者達はプント達が勾留してくれているよ。なにかモナちゃんに悪いことをしていたのなら騎士団につき出すことが出来る用意がある。怖がらなくて良い」
冒険者・・・あっ!あの人達か。しまったな。私が急に気持ち悪くなっちゃったからなにかしでかしたことになっちゃったってことか。いやでもなんか不穏な話してたよな。テイマーに育てたいとかなんとか。・・・不審者には違いないよな。勾留って何をどうしているんだろう。
『モナ、モナ、夢見た?』
考え事してたらスズちゃんがこっそり話しかけてきてくれた。寝てたからって必ず夢を見るわけではないのにスズちゃんったらどうしたんだろう。
『夢、見てないよ』
こっそりと答えた。あ、でも倒れる前に感じたことがあったなぁ・・・・あれって何だったんだろう。昔あった記憶にしてはみんなが死んでしまっている映像だった。妄想の類いにしてはタチが悪いし、夢だったとすると、まさか、予知夢?そんなわけないよね。きっと現代日本で見た映画とかの映像とかが記憶の中でごっちゃになって変な映像を作り出してしまったんだろう。・・・・そう思いたい。
「ごめんね、アンドレ、ディオさん。私のせいでお祭り気分じゃなくなっちゃったよね」
「おやぁ人の心配するほど回復しましたかぁ。良かったです。」
「あっゲイリーさん!」
やっぱりここはさっきの救護テント・・・・ん??ゲイリーさんの後ろからなにか・・・
「「「「「もにゃーーーー!!!」」」」」
トウシャくんと小熊ちゃんズだ!?なぜここに!?
「目を覚ましたのか」
トウシャくんと小熊ちゃんズの後から入ってきたのはトウシャくんパパのヨコシャルさん。
「ゲイリーさんはこの辺りに巡回に来てくれた直後だったんだ。」
「はれ?ってことはここは救護テントじゃないの?」
「もにゃ、ここはねボク達の公園のテントの1個だよ。」
「そう!野良熊のテントの近くのやつだよ!」
そっちか。そういえばサーカスのテントみたいな普通の野生の熊を収容してるテントとか色々なのあったね。デボラさんのテントにしか中に入ったこと無かったから、イメージ沸いて来なかった。
そうだそうだ、そういえばヨコシャルさん、私が倒れた時走ってこっちに向かって来てくれてたの見えてた。あれは幻じゃなかったんだなあ。
・・・・でもあの時のミギィさんとレフティさんの叫び声はなんだったんだろう。他の近くにいた人の叫び声と間違えたのかもしれない。
「で、どうする?」
「どうって」
「冒険者だよ」
どうって言われてもなー。
「あの人達は何て言ってるの?」
そういえばビャッコくんの仲間の不死鳥猫のメタモルフォーゼ状態とでも言えばいいのか、不死鳥になってるカラスキくんに捕まってると勘違いした私を追いかけて来たのもあの冒険者達だったんだよね?
その話もプントさん達にしたんだろうか。気絶なんてしないで、話合うなりしなくちゃいけなかったのに、私ってば。
「ちなみにモナちゃんの今回の気絶は、急なストレスによるものから引き起こされたと思うので、熱中症や睡眠不足や体調不良による長期的なものではないから、あの人達から一定の距離を保てるなら、お祭り見学は再開しても構わないと医者の私が断言しよう。」
「あの人達は、モナちゃんがテイマーの男性とケンカのようになってヒートアップして倒れたと・・・。合っているかい?」
「うん。他には?」
「倒れた当時のことを詳しく話してくれているけれど、ゲイリーさんと違って医者でも何でもないからね。モナちゃんの言い分を聞いてから判断するつもりだったんだ。」
ディオさんの言うこの様子だと不死鳥の話まではなっていないみたい。・・・気づいて無いってことかな。
セイリューちゃんがベッドから垂れ下がってしまっていたシーツを器用に登って来たみたいで私の足元からごそごそと来てくれた。私の頭の方まで来てくれると、私の頬をペロペロなめ始めた。セイリューちゃん、くすぐったい。
うん。あの人達に大人のみんなが警戒してくれているから、私は気が張らなくて良い状態だ。子供の体ってこういう時ありがたい。大人になると、人に頼ることってどうしても見栄とか恥ずかしさとかで出来ないことが多かったりする。頼ろう。
頼れるから、だから、勾留まではしなくていい。だって別に悪いことはしていない。裁くことなんて無理だし、もしあの冒険者達が悪人だったとしてもオーバーキルを決めそうなくらいの人達がここに集まっている・・・気がする。
「あの人達は悪いことはしてないから、離してあげてください。」
「わかった。伝えてくる」
ヨコシャルさんが伝えに言ってくれ、テントから出たのを見計らってアンドレとトウシャくんとスズちゃんが私に飛び乗ってきた。おっと、これは重いし涙がすごいぞ。でもこの重み悪くない。
もう始まってしまっているらしいが、私の見たかったアイスショーがこの近くなのでゆっくり見に行こうという話になった。
「その後、少し予定を早めて神殿に向かいましょう」
「お兄様。俺の、王都に戻ってからではなくてここの神殿でやってもいいでしょうか?」
ん?
10年後のアンドレの話の途中で、モナの目覚めに戻るという。はははは。
ヾ(@゜▽゜@)ノ
ま、そのうち書くさ。
話進んでいるんだか進んでいないんだか。進んでるよ!モナ記憶覚醒まであと●●日!(←未定)
近況。作者はガッツリ夏バテでした。去年とちょっと暮らしが違うのでなんかもうめんどくさいです。だから私なんかが夏バテすることになったんだよ、と、言ったらきっと泣かれるんだろうな。私の生活が変わったのは私のせいじゃない。そっちにあわせて引っ張られとんじゃ。ええ加減にせえ。ってな。宝くじあたらないかなー。ふんとまじで。エアコン付けたり消したりうざいなう。ストレスたまりまくりですん。(ぶーぶー)
明日も更新予定です