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第195話

テンクウちゃんが知っている声がするよ!と教えてくれたその先にあったのはパン屋の屋台。かぐわしい香ばしい匂い・・・え?いや、祭りの屋台から焼きたての匂い?んなバカな。


「あら!皆さん来てくれたの!」


この人達は!!普段からお世話になってます。シターズパン店の皆さんだった。一番思い出に残っているのは私の歓迎会をしてくれる時に私の好き嫌いを聞いてくれたパン店の人。あれ以来、実は毎日食べるパンはもうここのパンしか食べてません。いつもお世話になってます。


「お祭り限定パン・・・」


「そんなのあるの?」


アンドレが呟いたことに反応する私。ディオさんも魔法をかけ直し終わってパン屋の屋台に興味津々。・・・いや、パンよりパンの匂いの元に興味津々ぽい。やっぱりディオさん魔道具好きな人なんだなぁ。あの館にお邪魔した時とかうちに来てくれた時は気づかなかったけど、このお祭りで魔道具の話題が出る度、反応していた。あのエアコンみたいな魔道具にも興味津々だった。


「これはここで焼いているんですか?」


「はい。持ち運びの出来る壊れにくい窯と特殊な魔石を使用しています。特殊な物なのでお金は多少かかりますが移動販売やこういう場所では良く使える物なんですよ~ほら最近炊き出しとかもあったでしょう。そういう場所でも使えるし少し重いですけれど食にこだわりの強い冒険者なんかも持ち運んでると聞いてます~」


ってパン屋の女性が答えて・・・答えて・・・・ってあれ?スミコットさんんん!?


「スミコットさんパン屋さんなの!?」


「違うわよぉ~お手伝いよぉ~モナちゃんこんにちわ」


「こんにちわ」


「あっ食堂の店員さんですお兄様」


「・・・!気づきませんでした。質問までして申し訳ありません」


アンドレとディオさんもようやく気づいたようだ。


「いいのよぉ~、・・・このお兄さんみたこと無いけどどなたですかぁ~?」


チェルキョさんの魔法がちゃんと発動しているようでスミコットさんはディオさんのことが全くわかっていなかった。何回も会っているはずなのに。小声でスミコットさんに教えた。


「スミコットさん、驚かないでね」


「ん?はいはい」


急に小声だから戸惑った感じがあったけど子供のいる親の対応の早さはほんと素早いね。なるほど内緒話ね。ってニコニコと対応してくれた。


「この人ねアンドレのお兄さんのディオさんで王子様だよ」


「もう、モナちゃんったら~顔が全然違うのにそういう・・冗談・・・・・・えええ!?顔が!?えっ!?変わって!?ええええ!?」


認識が変わったようで本来の顔が見えたようだった。おおお、そんなにすごい反応を見てしまうと、私もその認識阻害とかの魔法にかかってみたい気もしなくはない。


「なるほど。本当にディオ様だったのですねぇ~すごいわぁ~。」


「ところでスミコットさんはどうしてシターズパン店のお手伝いしてるの?あ!パン屋さんとともだち?」


好き嫌い聞いてくれた人と仲良さそうだったもんね。ともだちなら納得・・・。


「うふふ、うちの娘の嫁ぎ先なのよぉ。言ってなかったかしらぁ~」


「!?!?」


そうなの!?


「そうねぇ“ともだち食堂”のパンの配達をしていてそこからスミコットさんとお茶友達的なたまに会う友達として付き合いを深めていってたんだけれど、ほら、私達何気に仕事忙しいじゃない?家族ぐるみで会うこととか増えてね~、そこでうちの息子とスミコットさんの娘が仲良くなったのよ~」


シターズパン店の女性が説明してくれた!なるほど!ありがとう。


「モナちゃん、毎日うちのパン食べてるから今日はお祭りだし、他のお店のたらふく食べて飽きたら、またうちのパンに戻って食べて大きく育ってね」


お祭りの間はシターズパン店のパン食べちゃダメってことでしょうか。


「おんや、買っちゃダメだったか?」


ミギィさん、居ないと思ったらアンドレと祭りの期間限定パン購入してた!!


「あらっ、買ってくれたの?でもほら~毎日毎日食べてるから飽きて“もう食べたくない!!”っていわれたく無いのよね。言われたら辛いから~」


なんかシターズパンの女性の後ろにいる若い男性が真っ赤になってうつむきながらパン焼いてますけど、もしかして、もしかしなくても、さっき話題になってたこの人の息子くんでは?ああ、若気の至りで“飽きた!もう食べたくない!”って言った張本人ってことだね。


「あなたがモナちゃん?こんにちは」


「こんにちは?」


急にどなたさんでしょう?


「スミコットの娘のアンよ。よろしくね。」


パン屋に嫁ぐだけあってアンパンでしたか。ボクの顔をお食べよ!あーんぱーんち!・・・食パンマンとカレーパンマンとジャムおじさんとバタコさんとチーズはいますか?


「よろしくです。」


「うちのパンはお好きですか?」


「(そんなのもちろん)大好き!」


子供らしく大声でね!ハキハキ!それに毎日食べていると言ってもここのシターズパン店のパンはいつも凝っていてお昼用のパンは同じパンがなかなか来ない。チーズ入りパンも、チェダーチーズ入りっぽいものの時もあれば、ゴーダチーズ入りっぽいものの時もあるし、もう温かく無くなっているのにトルコアイス並みに伸びる謎のチーズが包み焼きパンになっていることもあったし、サンドイッチ用のチーズもこの世界特有の香辛料っぽい物が入ったものまであった。


チーズだけでもこの話が尽きないのに、果物入り、穀物入り、お惣菜パン、どれもこれも美味しい。この街に来てからパンで飽きるなんて考えたこと無かったのはこのシターズパン店のパンがすごいからだ。


「ですってお義母さん」


「ほんと?嬉しいわ」


「良かったわね。コーボ」


女性の名前はコーボさんと言うそうだ。スミコットさんと本当に仲がいいんだなぁ。


アンドレからディオさんに期間限定パンが手渡されている。えっいいなぁ!私も気になるんだけど!隣でフテゥーロちゃんとスズちゃんとテンクウちゃんがよだれ垂らしそうになってるんだ。私にもそのパンをおくれ。ミスターオクレ。


「モナちゃん、ホレ」


ミギィさんは天使、いや、神だ!パンをありがとう!


パンは包み焼き型のソーセージとじゃがいもがゴロゴロ入った少しピリ辛のジャーマンポテト風のパンだった。お祭りにこの濃いめのパンは最強に素敵で美味しくて、大人ならこのパンでビールをぐびっと・・・・。5歳だから、お茶か牛乳でぐびっと我慢します。


「美味しい!!」


コーボさんはなぜかとってもホッとした顔をしていた。私も飽きたって言うとそんなに思われていたのかなぁ??


「ごめんね、モナちゃん。」


「?」


なにか事情がありそうだけれど、謝ってきたスミコットさんはすぐに話を切り替えた。


「そうそう!うちのもう一人の娘の所にもうちの旦那がお手伝い行ってるの。そっちも見に行ってみてね。」


「うん」


すこしもやっとしたけれど、もうすぐイベントの1つが始まってしまうのでシターズパン店の皆さんにはお別れを言った。また来ますといってすぐにその場を離れた。


コーボさんの顔が印象に残ったけれど、そのうちスミコットさんから聞けると思った。うん。そのうち、ね。

またもや遅くなってしまいました。


スミコットさんの娘の嫁ぎ先の設定はこの小説書き始めてすぐからあった設定なんですけど、まだ書いてなかったよね?色々な設定ぬけてるんだよな~。ははは。


アンという名前ですがスミコットさんと、ハジーさんと名前の付け方同じで実は、日本語の「あ」「ん」五十音の端から端まで、の意味で付けつつ、パン屋でも良さそうな「アン」にしました。あんぱんちってモナに言わせたかったわけじゃないよ。


ハジとかスミとかに近い言葉を考えていたら、おあとがよろしいようでって言えそうだなこれって思って「アン」にしました。しかし、おあとがよろしいようでって話の流れでつけられなかったのでここであとがきとしてのこぼれ話として活用させていただきました。


コーボさんはもちろん、単純に「酵母」です。母だけに。


おあとがよろしいようで?ヾ(@゜▽゜@)ノ


次回更新は、明日も明後日も忙しいので31日になります!


(*ノ゜Д゜)八(*゜Д゜*)八(゜Д゜*)ノィェーィ!

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