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第192話

テントの外にこのテントを見ながらそわそわうろうろしてるオジサンがい・・・あ!あの人、両津勘吉みたいながに股走りのオジサンだ!騎士団の格好してないからすぐに気づかなかった。


「ミギィさん」


「ん?」


「どした?あ。」


少し困ってミギィさんに“アッチに”って指差し先導したらレフティさんも他の人達もあのオジサンに気づいた。アンドレもディオさんもプントさんもチェルキョさんも気づきはしたけれど「?」が飛んでいる。レフティさんはすぐにわかったようでミギィさんが立ち上がるよりも早くレフティさんがあのオジサンのもとに行った。


「レフティ~~~!」


なんだか悲壮感の漂う大声が聞こえる。何かあったんだろうか?


『モナ!モナ!あの人誰だ?』


アンドレがほんっっとーに極力声を落として喋りかけてきた。


「騎士団の人でともだち食堂に食べに来てくれる常連さんだよ」


私は常連ってほど見かけてないから多分、昼間過ぎにくることが多いだろう常連さん。私のともだち食堂のアルバイトというかお手伝いというか、は、昼間過ぎたら仕事終わってテンクウちゃんと遊びに行っちゃうからわからないんだよね。


『なるほど~、どこかでみたことがあるような気がしたような、気がしたんだ』


うん。気がしたんだね。そして、声は普通に出してもあのオジサンには聞こえてないと思うよアンドレ。なんかあっち騒がしいもん。あれ?アンドレの胸のあたり少し光ってるような。


“ちゅぅちゅう・・・チチチッ”


「?」


今、反対方向からネズミみたいな音が聞こえた気が・・・?別に何もないな。気のせいか。


「ええ、ヤダべ!!!」


レフティさんが大声をあげた。なんだなんだ。


「そこをなんとかぁ!」


「アタイの飾り付けとかの設営の場所かと思ったら、ステージって!あんたらの仕事のミスだべ!自分でなんとかし!時間まだあんだからできっべ!」


「祭り始まっちゃったから人手が足りなくなっちゃったんだよぉぉ」


レフティさん行きたくなさそう。苦虫噛み潰したような顔になってる。レフティさん力持ちだから頼られているんだろうなー。


「レフティ」


「ミギィ」


ミギィさんがセイリューちゃんを腕に抱えたままレフティさん達に近づいて行った。両津勘吉みたいなオジサンが2人を見比べてそわそわしてる。


「レフティ、行って()い。モナちゃんとお祭り回るの楽しみにしてたの知ってるけんど、お祭り台無しになるかもって不安要素あっても心から楽しめないべ?」


「わかっとるよぉ・・・。」


レフティさんが口をくちぱっちみたいに尖らせてる。珍しい。


「モナちゃん!」


「ふぁい!?」


レフティさんから呼ばれ、小走りで近寄ったら・・・・しゃがんで私をぎゅーーーっとしてくれた。


「・・・・レフティさん?」


「ええか?モナちゃん!すっぐに戻ってくっからな!ええか?祭りぜーんぶ楽しんでもアタイとも遊ぶからな!」


レフティさん、思っていたより私と楽しみたかったみたい。知らなかった!ぎゅーっとしてくれたのは離してくれたけど、私の胸のほうがもっとぎゅーーーっとなったように感じてつい口がにやけて顔が火照った。


「えへへへへへ、うん!お祭り見て回りながらレフティさんのことずっと待ってるね!」


レフティさんを見送ってテントに戻った。


「よし!アンドレ!ディオさん!イベント回る順番決めよっか」


「モナごめん、俺ちょっとお手洗い行ってくる。冷たい飲み物がぶがぶ飲んでしまったから・・・」


ガクッ・・・ってそうだね。トイレとかは行けるときに行っトイレ!


「私も行っとく!ドコ?」


「ああ、いっといで。そこんとこのカド曲がったトコに」









イベント会場に進みながらレフティ達は喋っていた。


「すまなかったな、せっかくの休みに。」


「ええべ、みぃんな忙しいのはわかっとるべ」


「・・・・」


「どした?」


「いや、あの娘そんなに心配か?確か倒れたって言ってたな。だからか。」


「ん、まぁ、そんなとこだべ」


それだけではなかった。レフティは昨日知った事柄と先ほどフテゥーロとスズから聞いたことからモナに対しての心配が頂点に達している時だった。本当は離れたくなかった。


モナが異世界から来たことにも驚きを隠せなかったが、レフティが特に驚いたのは大人が子供の体に変化してしまうなど、魔法などの類いでも神話や昔話でもあまり聞いたことがなかったのでとても驚いた。


もし子供の姿になってしまうのならこの世界でよく聞く昔話では生まれ変わって魂だけが前の生の時のもの、つまり前世の記憶を持ったまま違う体に生まれ変わる転生のパターンであって、モナのように体が若返ってしまうのに記憶だけが大人の状態のまま取り残されてしまうというのはないのだった。


そしてフテゥーロ達から聞いた心の拒絶。テイマーという職業に対しての拒絶。これはもし、ネコのビャッコの言う通り呪いの類いであれば、神殿に行けばどうにかなる。ストレスやトラウマでも神殿に行けば、改善の見込みがある。しかし、想像だにしないがそれ以外の要因があるとするならば、神殿でも治すことが出来ない、かもしれない。


神殿には治癒に特化した魔法使いがいる。だから、きっと大丈夫。


その不安を打ち消したかった。


「神殿に行くまでには帰んないとなぁ」


「あー、今神殿も綺麗に飾り付けしてあるぞ。」


「そういうことじゃないんだ」


「ん?」


それ以上レフティは会話を続けなかった。


ミギィもついてるべ。テンクウも、フテゥーロも、スズも、タイモ・・は体調大丈夫かな。セイリューはミギィに抱かれとるだけだろうし、アンドレ様もいるしプントも、ディオ様も、チェルキョも、うん、みんないるべ。モナちゃんのことはみんなが見といてくれっからアタイはさっさとやることやるしかないべ。


レフティの歩き去る所をネズミが見ていた。

明日も更新よていです

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