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第186話

当分お祭りの話です~。

「まさかそんな」


「肉が飴細工のようだ」


『うちのは世界一の串肉だよ上手いよ~』と言っていた屋台に近づいたら衝撃的な物を見てしまった。もうお分かりだろう。つまり、串肉の形が飴細工のようにナイフでカッティングされ、バーナーで焼き色を付けられ、出来たのはまさかの不死鳥。肉で。


「でもこれは廃棄が出てしまって勿体ないのでは?」


ディオさんがツッコミをいれた!ですよね。


「ふっふっふーお嬢さんもお兄さん方も御覧(ごろう)じろ!廃棄ロスはない!」


店員のお兄さんがノリノリで隣の屋台に目配せ。隣の屋台はその細かくなってしまったお肉の欠片を集める。カッティングで出るお肉はサイズがバラバラ。しかしそのお肉をさらにミンチに。なるほど、これなら大小様々だった形も同じぐらいに・・・な、なにぃ!?その独特の匂いは、や、焼き肉のタレ!?焼き肉のタレの匂いだ!?


細かくミンチになったお肉にタレが絡まって鉄板の上でジュワァァァァァ・・・!!朝から破壊力のある匂いがっっ。焼けるとピタパンみたいなものにレタスを挟んでそこにお肉を挟めば・・・、なるほど!それはとても美味しそうだ!


「な?このサンドに早変わりするから廃棄はないのさ!」


「うまそうだべ。1つもらおうか」


なっ!?買う、だと!?


「レフティさん!私も!」


『モナママ!ぼく、わたしも!』


『モナ!スズも!』


2人ともこっそりと私に耳打ちした。


「モナは朝ごはん食べてないのか?」


アンドレ、そういうことじゃないんだよ。お祭りだもん。お祭りだからお祭りなのさ。


ピタパンサンドをみんなで食べた。なんだかんだいって飴細工風のカッティングお肉に一番目を輝かせていたのはアンドレだった。


色々なお店を見ながら練り歩いていた。なんだかあの先がスゴい行列になっている。なんのお店だろう?と、近づいたらどこかで嗅いだことのある匂い。あ!これは!


「はいこれ、スープメン2人前~って・・・あ、嬢ちゃん!」


「やっぱり!スープ屋さんのおじさん!」


“骨とスネ亭”の白濁スープを販売していたお店の人が屋台を出していた。よく見ると行列に並んでいるのは、アンドレやディオさんの護衛してたひともちらほらいるし、サルの時に見かけた騎士団の人達が結構並んでる。


「お嬢ちゃんのおかげでスープメンは大好評だ!見てくれこの行列!口コミで集まったんだぜ。」


「すごい!良かったね、忙しそうだね。手伝う人雇ったんだ?」


おじさんの横には少年ともう一人陶芸家してそうなイメージの顔のおじさんが1人。


「ああそうだ。スゴいだろ。」


「うん!」


『モナ、モナ。そこの人ってもしかして』


スズちゃんが何かに気づいたようだった。なに?なにに気づいたの?とスズちゃんの言う方へ目線を落とすと、あれ?この少年って、あ!


「あ!君!」


「やっぱり!」


「誰だ?」


アンドレが急にグッと近くに寄ってきて聞き耳を立てつつ質問してきた。ちかいちかいちかい。


「少し前にね、毒消しをあげた人だよ。」


リネアさんとナカバさんと一緒に行った毒スープを売ってしまっていた少年だった。


「元気?」


と私が聞くとそれに答えずに隣の陶芸家みたいなおじさんに話しかけはじめてしまった。うん?


「なんと!君だったか!」


「えっ?だれ?」


陶芸家のようなおじさんは私の手を握りしめてきた。えええ?!


「エーサイくんもジャイさんも知り合いだったの?」


スネ亭のおじさんがびっくりしている。いやいやいやいや、私もこの状況びっくりなんですけど!?


「どういうことだべ?」


ミギィさんが手を握ってきたジャイさんに詰めよった。


「み、ミギィさん達の所の子かい!?いやぁ、実は」


「すみませーん、まだですかぁ?」


おっと、店員全員の手が止まってしまったからお客さん達が怒りそうだ。1度離れた。ミギィさんは見かねて少し手伝う事にして私とジャイさんとレフティさんの三者面談みたいになった。アンドレとディオさんは、まあ、そりゃ急にこんな展開になったら面食らうよね。


「きゅんきゅん」


「ありがとう。私から直接お礼を言いたいと思っていたんだ。」


つまりこのジャイさんは、あの毒スープを本来売るはずだった体調を崩したその店長さんだった。この人か、少年が持って帰った毒消しを飲んだ人は。


あの日本当に死にそうなぐらい意識が混濁していたと切々と語って聞かせてくれた。本当にあの薬を渡して良かった。少年からお礼は先日聞いたけれど、こんなにも涙ながらにありがとう。ありがとう。と本人の口から聞くと助かって本当に良かったと心から思えた。


その話を横から聞いていたディオさんとチェルキョさんはジャイさんに聞きたいことが出来たといって3人でなにかを話していた。


「・・・実は弟が・・・」


「・・・料理長が・・・」


「・・・そんなことって・・・」


アンドレは何を話しているのか見当がついていた。リネアに全ての元凶を押し付け、アンドレを殺害しようとしていた者がいる。その毒スープを持ち帰ろうとしたのが王都から連れてきた料理長だった。今のアンドレの専属の料理長はこの街で見つけたプントからの紹介のトリアンゴロは怪しい所は全くない。だけれども今後何が起きるかは予測不能。王都に帰ればどう転ぶか全くわからない、それが王城。


今後に備えてくれているのだ。チェルキョもディオも。


「そういえば今日リネアさんは?」


「あいつはコレ!と夜デェトするからって、祭りは夕方から楽しむってさー」


チェルキョさんはコレ!と言いながら小指を立てて見せた。うん。なんだかなぁ。


「なんで残念な目でこっち見られてるんだろう??」


そのくらい察せるならそれも察してくださいな。

次回は明後日予定です

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