第183話
「おんや」
「ん?」
「あっリクゴウくん、お帰り・・・ってコウチンさんとセイリューちゃん!?ど、どうしたの??」
「きゅんきゅーーーん!」
ドアの先に居たのは茶色の火山ウサギのリクゴウくんと、ナイトフォックスのキツネのセイリューちゃんと、オオカミのモンスターのコウチンさんだった。一見するとオオカミがウサギとキツネを食べに追いかけて来たような光景に見えなくもないが、それは黙っておこう。だってコウチンさんはそういうことはしない。
セイリューちゃんが私の足元にスリスリスリスリとすがり付いてきた。
「リクゴウくんを返しに来るって聞いてたけど、ポンポコ丸くん達が来るものだと思ってたけど、コウチンさんとセイリューちゃんが送りに来てくれたの?ありがとう。」
お礼をいっている横でリクゴウくんはピィピィ言いながら家に入って行く。タイモちゃん達と再会を分かち合っているようだ。1日しか離れていなかったのにリクゴウくんは少しばかり疲れているようにも見えた。浦島太郎的な疲れ方だろうか。ほら、時間の経過が異様に長く感じたとかよくある話でしょ?
「いや、実はそうではない。中にいれてもらってもいいだろうか。」
うーん。良い渋めの声だ。
「喋ったべ・・・」
「こいつらもか」
ミギィさんもレフティさんも改めて口を閉じられなくなったようであんぐりと呟いていた。まあ人語を喋る動物系のモンスターはこの辺りはテンクウちゃんぐらいだと思っていたらしいので仕方ない。いや!でもね、尋問された時に洗いざらい話したときにコウチンさんのことも喋ったよ!セイリューちゃんのことも喋ったよ!そんなに驚かなくても・・・。むう。
とりあえず、まあ、朝だし近くの民家の出入りが無いわけではないのでみんな中に入ってもらった。チョコまみれ~じゃなくてモンスタぁまみれ~である。すごい空間だなぁ。
「キジンさん達の所でもモンスターの村のお祭りみたいなのやるって言ってたよね?人間がお祭りで森に入ることが少なくなるからって。」
「そうだ。しかしセイリューがモナ、お前と一緒に人間の方のお祭りを見たい!と両親にもキジンにも言って、説得したんだよ。」
「せ、セイリューちゃん!?そうなの!?」
「きゅん!!」
こっくりとドヤ顔で頷かれた。可愛い。
「今日の昼ぐらいまで許されて、俺はセイリューの監視役として選ばれた。」
「ちょっとまつべ、セイリューはナイトフォックスだべ?いつも確かモナちゃんが起きるぐらいに寝始めて夕方に起きて来たと思ったべ?セイリュー、起きてられるんか?」
「そ、そうだよ!セイリューちゃんって夜行性だったよね!?」
「きゅんきゅん、きゅーーん、きゅん!!」
「この日の為に昨日は寝る時間を調整してきた。だからこの顔だ。」
コウチンさんが半ば呆れ顔でセイリューちゃんのドヤ顔を解説してくれた。コウチンさん、呆れすぎてシッポにまで覇気が無くなっているよ。変わりと言っては何だけどセイリューちゃんのシッポの元気の良さよ。ぶぉんぶぉん音がしそうだ。
「そうなの!?セイリュー、ボク達とお祭り行けるの!?」
テンクウちゃん大喜び。
「ぼく、わたしも嬉しいの!」
フテゥーロちゃんもニコニコ。
「スズのモナの肩はあげないからね」
スズちゃん、セイリューちゃん肩に乗るにはちょっと大きすぎるかな。無理があるかな。というかスズちゃんいつもその牽制してるけど私の肩誰も取ろうとしたこと無いぞ??
「アタチ、セイリューちゃんとはあんまりお話したこと無かったのよ。よろしくなのよ。」
そういやそうだね。タイモちゃんとセイリューちゃん入れ変わりになったようなものだもんね。仲良くなったらいいなぁ。
「セイリューは良いとして、そっちのオオカミは連れて歩くのはちょっと難しい気がするべ」
「「えっ!?」」
コウチンさんと私が同時に声をあげた。・・・・そりゃそうか!オオカミだもんね!?
「リクゴウも連れてくか?なーんか疲れてるべ?」
「ピ・・・・・ピィ・・・・」
「リクゴウはお家で留守番するって言ってるのよ」
「・・・・コウチンさんも留守番・・・する?」
「俺の来た意味が!?」
ですよねー。
ようやく次回はお祭り会場へ行きます。明後日更新予定です。