第181話
「おはようモナちゃん」
「・・・?おはようテンクウちゃん」
あれ?なんだろう。なにか大事な話をしていたような夢を見てたような・・・?
寝ぼけまなこでベッドの上に寝ている私をテンクウちゃんは見下ろしていた。朝からワンちゃんに覗かれるのもいいものだ。日本にいた時はこんな経験なかったからなぁ。
「ボク下に降りてるね~わふっわふっ」
「うん、むにゃむにゃ・・・」
なにか感じたけれどどうせ夢は夢だし忘れてしまう程度のことだ。・・・はっ!それより!今日は!とうとう!
「お祭りの日だ!!」
ベッドから飛び起きるとタイモちゃんとツキノさんとスズちゃんとフテゥーロちゃんが一緒にいた。
「おはようみんな!」
「オハなのよ」
「モナママおはよ~」
「・・・」
「モナ起きるのガバッて早い!」
ツキノさんだけ物静かに目線だけで挨拶してくれた。スズちゃんは私が飛び起きたのに少し驚いたみたい。・・・フテゥーロちゃん少し元気がないように見えるけど・・・寝起きだからかな?
「今日はお祭り!楽しみだー!なに着ようかな~、今ある服で可愛いのはこれとこれとこれとこれ・・・。こっちはこないだアンドレの家にいった時に着たから、残りの3つのうちからにしようかな~」
小さい子の服って可愛いの多いよね。5歳の体になって良かったと思うのはオシャレが幅広くって楽しいっていうのと、大人の体と違って小回りがきくのと、メガネをかけなくても物が見えることだな。
変わりに5歳になって残念なのは、体力があまりないからあんまり無茶できないし、身長がないから届かないものや見えないものが多いし、人を頼らないと生きていくのに大変なんだよね。
「モナちゃん、アタチ達も下に行くのよ」
タイモちゃんの上にみんなが乗って移動する様子だった。なるほど、それなら安心だね。
「わかった!私も着替えたら下に行くね」
階段を降りつつみんなはこそこそと会話をした。
「さっきの話、ミギィさんとレフティさんにもしたほうがいいのよ」
「モナママ・・・ぐすん」
フテゥーロは少し涙をにじませていた。その後ろからウサギのツキノは無言ながらもフテゥーロの頭をポンポンと撫でた。
「・・・」
「ごめんね、モナの心の中で喋っても大丈夫だと思ってたけど、根深いトラウマみたいのがあるみたい」
スズはフテゥーロの横からなぐさめた。
「モナママの心がバチンってぇぇ・・・」
「そんなに弾きだされたのよ?それは恐いのよ。」
1階に降り立つとスズは気合いを露にしてフンス!とみんなに言い聞かせるように言った。
「モナにはテイマーの話あんまりしたらだめ。特に今日はモナお祭りで浮かれてるから、どんよりはだめ!1日楽しく過ごそう!ね!」
「「うん!」」
相変わらずツキノは無言だったがコクリと首を縦に降った。
「みんなそんなに気合いを入れてどうしたの?」
テンクウがみんなの元へ寄ってきた。
「スズはね、テンクウはテンクウのままでいて欲しいからテンクウが一番なんだ!」
「???・・・よくわかんないけど、褒めてるんだよね。えへへ!ありがとうスズちゃん~!」
「そういうところモナに似てるのスズも好きだよ」
「ぼく、わたしの方がモナママ好きだもんんん」
「はいはい、みんなモナちゃんのこと愛してるのよ。わかったわかった。」
タイモは少しだけ呆れたように答えたがタイモもモナが嫌いではないのでむしろそこまで愛されることに少しだけ羨ましさをにじませていた。
「「おはようさん、なにしとるべ?」」
モンスター達がお喋りしているところにミギィとレフティが声をかけてきた。
「「「「おはよ~ございます!」」」」
「カカカカカ!」
「にゃはははは!」
「「元気だなぁ~!!」」
「昨日はちと驚きもあったけんど、動物系のモンスターと同じ家ん中で暮らしていただなんて改めて、スゴい体験だなぁ。」
「んだんだ。おっともう起きとるってことは朝ごはんだべ?待ってろ。それぞれに配合してあるの作っておいてあっから、とりあえず水、レフティ、用意しとくれ」
「はいはい」
「わぁい!ゴハン!ゴハン!わふっわふっ!」
「アタチのも、あるのよ?スゴい人間なのよ。」
「ぼく、わたしはモナママと同じがいーな~」
「スズ!スズは穀物がいい!スズお米っぽいの好き!」
「ポッティーラー」
「おわっ!?ツキノも喋るんだべ!?ツキノはアタシの作ったの味いまいちだったらちゃんと改良すっから教えてくれな」
「ピィ!」
「「「「!!ツキノもピィって鳴くの!?」」」」
ツキノ以外のモンスター達は驚いた。
「あん?今のはどんな返事だべ?」
レフティは頭に?が飛んだ。
「今のはうん!って言ったんだよ」
「リクゴウはずっとピィピィ言ってたけどツキノさんはピィって鳴かないと思ってたけど、うん!って意味でなら鳴くんだね!」
「モンスターもそれぞれに個性があるんだなぁ。なぁ、ミギィ」
「そこんとこはアタシら人間と同じだべ、似とるようで似てない。だからこそ楽しくもあり、理解出来るところも理解出来ないところもいっぱいあるもんだべ」
(スズはこの2人のこと、精霊になってから昔の記憶が戻った分で思い出したことがある。でもスズはこのことはフテちゃんにもまだいえない。スズはスズだからスズにしか出来ない事をする。スズ、モナのこと泣かせたくないし、スズみんなのこと暗くさせたくないもん)
スズメのスズはひとり、物思いに耽りながらみんなの笑顔を見守っていた。
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