第178話
深層心理の奥底のここではもういつものことだけれど中学生ぐらいの姿だ。現実で大人とこの中学生ぐらいになったのって今日のお昼にちょびっと中学生ぐらいになったのと、あとはもうサルの騒動の時だけだ。
「漫画とかみたいに着るものもシュバーッといいいサイズのものが切り替わればいいのに」
ご都合主義な呟きだけれど少し憧れあるよね!
「スズちゃーーーん?」
いつもここにいるとスズちゃんと話をしていたのに今晩はなぜかスズちゃんがいない。あるぇ?・・・まさかとは思うけど、精霊になったから入ってこれなくなった、とかはないよね?スズちゃん自身がここで喋る前提の話をさっき寝る前していた。うん。これはきっと精霊になったからではなくまだスズちゃんがここに入ってきていないだけ。たぶん。
しかし、この異世界に来てから一人きりってなかなかなかった。暇だ。なにか想像すればここに出没させることが出来るんだったっけ?あれだよね、ハニワになっちゃったご先祖様がいる空間と同じような所ってことだよねココ。なにか出せるかな。
「危機管理ー!」
それっぽく言ってみた。ってそれって変身の呪文だったっけ。おっと。
「おお、コスプレって感じ。寒くないけど寒そう、やめだやめ。もとにもっどーれー?」
戻った。面白い。わくわく!そういえばステータスに創造だとかなんとか載ってた気がするけど、ここでも魔法とかって使えるのかな。
ステータスを開けて創造魔法・・あ、これこれ。なになに・・・“創造魔法は魔法やスキルを1から作成するスキル”・・・・ん?とりあえず起動出来そうだから
▼創造魔法使用しますか?▼
「おねしゃす!」
ヴィンとステータスボードっぽいものがステータスボードの50倍ぐらい?の大きさになった。たぶん50ぐらい。いつものステータスボードがB4ぐらいの紙のサイズぐらいで今は首を上に向けないと端が見えないぐらい大きい巨大なテレビ画面みたいなボード状のものが広がってる。
「全体図が見えない。うしろに・・・」
下がろうとしたら、その画面自体が下がってくれた。おお、目に優しい。部屋を明るくして離れて見てね!ってやつだな。なになに?
主軸の魔法を決めて、使える範囲・距離、使える人数、使用したときの効果最大値と最小値、マジックポイント消費量、などなど決めていくと新しい魔法orスキルを作成出来る。なになに、今まで私が・・・・・これってつまりステータスに載ってる“愛似移動友”も“大童”も私が未来のロッテリーの街にいた時の私の過去の時に作ったってこと?
なるほど。だから大童は大乱闘スマッシュ●ラザーズだったんだな。というかこの創造魔法の機能って、少し違うけれど任●堂から出てたの“マリオのゲームを自作出来るゲーム”と同じなのでは?
「すごい・・・過去の私色々やってるんだ。」
スズちゃんも神様も呼んでも来なくて寂しかったことなど忘れて、ゲームでもするかのように創造魔法にのめり込んだ。この世界に来てからスマホもパソコンもゲーム機も無いしこういうのがとっても久しぶりだったこともあり、のめり込んだのは致し方ないことだと言い訳しておく。
「いいか?お前のベッドはそっちだ。俺は明日早いんだ。さっさと寝てくれ。本当ならバァさん達の知り合いなんて俺は泊めたく無かったんだからな」
ユーグリッドはもっさりした男、ナエにそう言った。別にユーグリッドはナエの風貌には嫌悪感などは抱いていなかった。騎士団としてこういう輩は嫌と言うほど見てきていたし、話したこともあるし、捕まえたことだってある。
ユーグリッドが嫌だったのはミギィとレフティにはいつもからかわれていて頭が上がらなかったので、意図はないにしろ私生活の細かいところまでからかわれる対象にされそうだと、おもってしまったからである。
ユーグリッドもナエの存在は知っていたのだ。昔ミギィやレフティと一緒にいたのを知っていた。だからこそ、告げ口ではないにしろ世間話でも己のことをナエの口からミギィやレフティに言いふらされたく無かったため、通常より口厳しい感じになってしまっていた。
「いえいえ、本当に泊めていただいてありがとうございます。すぐに寝るので気にせずどうぞ」
「そ、そうか。うん。さっさと寝ろよ。じゃあな」
(しまったな言い過ぎたか?)
そんなやり取りをして1時間ほど過ぎた頃には家の中はシンと静まり返り、寝息だけが空気に溶けていた。大人の就寝時間にしてはいささか早いが辺りの民家自体もそれなりに離れていて少し騒いだ程度ではこの家に音は辿りつかない。それと普段から寝つきが良かったのもありこの辺り一帯は本当に静かだった。
しかしそこに伸びていた寝息の1つは偽物だった。うーんと言いつつ寝返りをうったふりをしてナエは上半身を起こした。その小さな声に反応するものがないか上半身を起こしたまま伺った。聞き耳を立てて物音が近くから立っていないことを確認するとゆっくりと地面に足をおろした。
足音が少しなってしまったが、同じ頃に風が吹き窓が風でカタカタと軽く音を立てた為、ナエの足音はその音に紛れて消えた。ベッドから完全に抜け出し、音を出さないように慎重にドアノブを回して外に出た。
ナエは辺りに誰もいないことを確認してその場で待った。寒くも無いのに両腕を組んで手を脇に挟むような仕草をしてソワソワと待った。
すると足元にチュゥチュウと動物が1匹やってきた。灰色で脂ぎった毛先が黒ずんで剛毛になってしまっている1匹のネズミだった。
「よぉ。予定は少し狂ったけど、大丈夫そうだ。明日はどうにかなりそうか?」
足元にチロチロと動き回るネズミにそのまま話しかけた。するとビタッと止まりネズミはナエに話しかけた。
「ビョウビ様、明日、あなたの事、信じる。裏切り、許さない。仲間、少なくなって大変、明日、楽しみ。」
「ああ、熊の子供も手に入らなかったし、俺がどうにか明日頑張ってみるさ。安心してくれ。ビョウビ様にもそうだがサイセツ殿にもよろしく頼むよ。俺は人生は楽して生きたいんだ~」
ナエはだらりとしながら少しあくびをし、どうでもいいような会話のようにしている。黒ずんだ灰色のネズミは足元をくるくるをやけを起こしたように回っては靴を少し噛んでまた立ち止まった。
「しっかりやれ。」
「はいはい。わかってる。ほら、そこの。俺は起こしてないからな。やっぱり騎士団ってのは有能のやつほど馬鹿だと俺は思うね」
ナエはニヤリと家の方に話しかけた。
「しっかりやれ。」
ネズミはもう一度同じ言葉を吐いて捨ててその場を去っていった。
「今のはなんだ?」
出てきたのはユーグリッドだった。
「さぁてね。」
「お前本当に人間か?」
「人間だよ。人間の臭いするだろ~う?へへへへぇ」
「さっきからお前の体から、人間と思えない臭いが・・・」
ナエはニヤリと笑う。
その日のその時刻以降、ユーグリッドは姿を消してしまった。
次回更新は7日予定です
ゲンブ(ゴールデンハムスター)「私じゃないぞ!?そのネズミは私とは関係なーーーーーーーいっ!」
モナ「ちなみにマリオのゲームはスーパーマリオメーカーです」
( ・ω・)