第170話
「精霊様はスズちゃん様って言うの?」
「様は要らないよ。スズちゃんはスズちゃんって呼んであげて欲しいな。ね、スズちゃん」
大人しくしていたスズちゃんに話しかけたら耳元でコッショリ私に話しかけてくれた。
「モナ、あのね、スズってこの人達とお喋り普通にしてもほんとのほんとの本当に大丈夫なのよね?」
「うん、未来とか過去とか、変わった事話さなければ普通にお喋りしていいよ?」
昼間ミギィさんやレフティさん達が居たときはそんなの関係ないくらい普通に喋ってたのに、なぜか今は人を警戒している。
あれ?私ももう少し警戒というか、石橋を叩いて渡るくらいの気概で説明とかすべきだった・・・しまったなぁ。なんかこう、スミコットさんとハジーさんは仲間というか家族というか、私的にはもうその立ち位置で接してしまっていたので、普通にスズちゃんのこと喋ってしまっていた。次からは気をつけよう。うん。今はもう過ぎてしまったから、今更遅い。
そういえばフテゥーロちゃんも今静かにしてるな。フテゥーロちゃんはもう商店街も一緒に歩き回ったりしたから今更だんまりする意味は無いけれど、どうしたんだろう。
「なら、喋る。スズはね、スズって言うのよ!」
コッショリ喋りは終了。スズちゃんの自己紹介となった。
「精霊様って可愛いわねぇ、スズちゃん?スズちゃん様だと変ですかぁ?」
「スズはスズだから、スズちゃんでもスズちゃん様でもいいけど、やっぱりなんだかむずむずするから、スズはスズちゃんがいいなと思うの」
「そうなんですねぇ~。・・・スズちゃんはすごい精霊様なんですかぁ?」
「スズはモナ専用の専属精霊なのよ。他の事は知らない。フテはスズと違うの?同じなの?ねえフテ?」
急にスズちゃんがフテゥーロちゃんに疑問を飛ばし始めた。全く性質の同じ精霊なのかという事を聞いているようだった。フテゥーロちゃんの方を見れば威厳のある顔?のような感じでキリッとしたまま答え始めた。
「ぼく、わたし、スズちゃんとは少し違う精霊。生まれ方が違うから違うんだよ。」
「アナタも精霊様!?すごいわぁ」
スミコットさんは目をさらにキラキラさせて私の両肩を見比べては私の顔を見た。ハジーさんの目がカッと見開いてこちらを凝視していた。まあ、精霊がいるとかすごい状況(×2)だものね。私もそういう人が目の前にいたら凝視したと思うよ。うんうん。トクとご覧あれ。見ても減らないからね。増えもしないけど。
「モナちゃんは本当に愛され上手さんですねぇ」
愛され・・・・それはどうかな?こんな状況単なる偶然の積み重ねだからなぁ。と、思っていたらミギィさんが急に肩を寄せてきて、
「うちの子はあげんべ」
って言った。ミギィさんの子供ではないのだけれど悪い気はしない。むしろうちの親戚にいたら大歓迎だよ。せっかくなのでミギィさんの手を両手で握ってみた。手は少し荒れ気味だったし少し冷たく感じたけれど、ミギィさんの手は料理人の手って感じがした。
「えへっ」
「にゃはは」
「あらあら」
「うす。」
「ええと、フテ、ちゃん?は、どう言った精霊さんなの?」
「ぼく、わたしはね!モナママのこと守るの!」
「そうなの~?(モナ・・ママ・・?ママ・・・?まぁいいか。)・・・2人ともモナちゃんのこと大好きなのねぇ」
「「そう!」なの!」
「ふふふっ」
そこからフテゥーロちゃんとスズちゃんも交えてお喋りをしていたら時間はあっという間に過ぎた。最初の警戒は一体なんだったのかと思うくらい普通にお喋りしていた。いや、本当になんだったんだ??
「もう帰るんですかぁ~モナちゃんともっとお喋りしたかったわぁ~」
スミコットさんにおねだりされた。スミコットさんみたいな口調の柔らかい京都にいそうな雰囲気を醸し出す、ステキなおばちゃんに言われちゃうともっと長居したくなってしまう。
「ミギィさん・・・」
こういう時はミギィさんに聞くに限る。
「いやもう夕方だべ、こんままズルズル居座らせて、泊まらせようって顔に出とる。ダメだダメだ。」
「んもぅ~!そんなに子供に飢えてるように見えますぅ?なんでバレたのかしらぁ~?」
バレ・・・って泊まらせる気だったんかーい!
「ぼく、わたしはおうち帰るんだ~」
「スズはお泊まりをモナにさせないの!」
「スミコットは明日、孫にも会えるんだから今日くらい我慢してくれな」
「そうだぞ。モナちゃん困ってる。」
「もう、アナタまで。わかっているわぁ~」
「明日、お祭りのお店行きますね!」
「そうね、待ってるわ~」
そうしてスミコットさんとハジーさんの邸宅から帰路についたのだった。お土産は雑巾(神由来)である。さて持ち帰るのはいいんだけどこのあとこの雑巾(神由来)をどうすればいいんだろうかスズちゃん先生。
次回は明後日予定です
スズ「フテ!」
フテゥーロ「スズちゃん!」
スズ「フテ!」
フテゥーロ「スズちゃん!」
モナ「何してるの?」
スズ「名前呼んでるの」
フテゥーロ「ねー!」
スズ「ねー!」
なにやら名前を呼ぶだけで凄く楽しそうだ。何でだ。
モナ「楽しそうだね」
スズ「息を得た魚なんだよ!」
水を得た魚、では?
フテゥーロ「違うよ、馬がオウ!なんだよ」
馬が合う、では?
何はともあれ仲良きことは美しきかな。
(*ノ゜Д゜)八(*゜Д゜*)八(゜Д゜*)ノィェーィ!