第168話
ビャッコくんは結局テンクウちゃんと外で待つことにしたようだ。だいぶふて腐れているけれど。
門の前まで着くと大きい門の横の格子扉からそのまま中へ入ってしまった。
「えっ普通に開いた。鍵とか掛かってないの??」
「ああ、昔は使用人とかいたらしいけんどあるのはデッカイ建物だけ。価値の高いもんもほぼねぇべ。それに勝手知ったるアタシだからね、ここで人を待つより、門を抜けて家の入り口のチャイムならせば問題ないべ」
「なるほど」
門の横にも鈴のチャイムみたいなやつあったけれどそれは完全にスルーらしい。ポストも設置されてたし、本当に勝手知ったる知人なら、この方法でいいのだろう。そういえば日本も田舎ってそんな感じでこんにちわ~って敷地上がっちゃったりするの聞く話だよね。
「・・・って結構遠い」
門を抜けて家までの距離がそこそこある。テンクウちゃん達もう少し一緒に歩いても問題なかったのでは?と、思ったけれどもうそこから頑として動く気ないよ!とアピールしている。番犬と番猫。はははは。癒される。もういいか。そのまま番犬番猫お願いいたします。
・・・アンドレの館の庭よりは小さいけれど、目の前に見える建物はアンドレの館より断然大きい。敷地面積を全体で見積もったら、絶対アンドレの館より大きい。どんだけ~(IKK●風)
ただ大きいけれど端の方は結構木々がボサボサ。木々の手入れは広すぎて使用人も居ないとなるとかなり難しいのだろう。
少し歩くと大きな入り口に到着。玄関と言うか入り口。デカイドア、デカイ柱、デカイ壁。デカデカ祭りである。多分三階建てかな?四階建てにも見えるな。デッケェな~~。
「「「はわーーー」」」
「ぶふっ」
私とフテゥーロちゃんとスズちゃんで同じ顔して上を見上げてしまっていた。だってだってだってだって!5歳だから大きく見える訳じゃないってばよ!ミギィさんが子供に見えそうな気がしてきた(気のせい)
そのくらいの圧巻。スドーン!ドデーン!ドゥバーン!そのくらいの効果音で表して欲しい。意味わからない?気持ちの問題だよ!
ミギィさんがボタンみたいな物を押すと“キンコーン”と鉄琴でも鳴らしたかのような軽い音が聞こえた。
「はいはーい」
どこからか声がした。と思ったら、近くの2階の窓からスミコットさんがヤッホーと顔を出した。
「今玄関開けるからもうちょっと待っててねぇ~あらあらモナちゃんも来たのねぇ~今いくわぁ」
「急がんでええべ」
「はぁ~い」
ひょっこり顔を出していたのを引っ込めスミコットさんは居なくなった。数分の後、大きなドアを開いて家に招いてくれた。
「スミコットさん!こんにちは!」
「遅くなってごめんなさいねぇ、まあ、入って入って~」
中に入ると少し寂れてはいるけれど素敵な邸宅だった。横浜にある西洋館みたいな邸宅。なんだっけ、山手西洋館だっけ?ああいうやつ。えええ、すごいんだけど、なんだこりゃ。すごい。昔はもっと綺麗だったんだろうな。
アンドレの館がいわゆるハリー・●ッターに出てきそうな、白い部屋、茶色い部屋、厳かな部屋がある館に対して、ハジーさんとスミコットさんのこのお宅は、黄色い部屋、赤い部屋、神々しい(!?)部屋、で構成されてる??なんというか、えっもう声が出せないよ。っていうくらい、息をのむ感じの邸宅。
ただし、今は使用人がいないためホコリまみれにならないように白いシーツを被せてあるところが多々あると言うのが残念ポイント。うん。持ったいなさすぎる~~~~
「ウス。いらっしゃい」
「あがっとるべ」
「お茶いれてくるわね~~」
家のスゴさを忘れるみんなのホッコリ感。う~~~ん、好き!
かなり遅くなりました。
明日も更新予定です