ブックマーク400人越えたよ!ありがとう記念短編SS*パート2!
せっかくなので、ありがたや!パートツー。
今回の短編はヒツジのタイモちゃんです。
アタチはタイモって言うのよ。今はねモナっていうこの所にお世話になってるのよ。でもね、元々来たかった訳じゃないのよ。だってね、アタチ、家族がいなくなったから、ひとりになったから、ここにいるのよ。
アタチは元々もっと寒くて風がよく吹く所にいたのよ。アタチがまだ小さかったから仲間がいっぱいいたのよ。他にも人間がいたのよ。流浪の民とか言ってた気がするのよ。
白くて大きい布みたいなおうちに人間は住んでて、アタチ達は外で暮らしてた。人間が作った囲いがアタチ達のおうちだったのよ。
アタチスッゴク小さかったけどアタチのお母さんが下から逃げないようにしてくれてたから、囲いの下から抜け出せた大きさだったのに、アタチは人間の住んでる所からあんまり離れて生活することはなかったのよ。
流浪の民達は時々おうちを畳んで別の場所に移動したのよ。アタチ達も絶対ついて行ってたのよ。でもある時、とどまった場所に同じような流浪の民が大きな真っ黒いすんごいデッカイ馬に乗って現れたのよ。
何で同じような、違う流浪の民だとわかったかって?着てるものがちょっと違ったのよ。アタチの居た人間の流浪の民達はアタチ達ヒツジモンスターから取った毛を加工して服とかお守りとか布団とかにしていたけれど、来た奴は馬の革やオオカミの毛皮を纏っていたから、全身茶色かったのよ。
流浪の民の子供達はかっこいい!すげェと喜んでいたけれど流浪の民の大人達は変な目で見ていた。アタチ達の流浪の民とあっちの流浪の民は、友達になったようだったのよ。色々な物を交換したり、一緒にお祭りをしたり、でも、楽しそうにしてない人達もいたのよ。
なんでわかるかって?アタチ達、ヒツジモンスターは期待ヒツジって言って不安な気持ちとかに敏感なのよ。あんまりなことになっていくと、年老いた期待ヒツジから体の変化が起き始めたのよ。そう、体が腐っていくのよ。
最初はまだ良かったのよ。すぐに人間が気づいてアタチ達に気をつけてくれたのよ。だから腐っても固まりになってぼろっとこぼれて炭砂?だったかしら、それを回収してたのよ。流浪の民達は馬の革の流浪の民と付き合うようになってから数ヶ月過ぎたのよ。
ところでそのぼろっと落ちる炭砂、基本的に人体にあんまりよくないらしいのよ。いつも回収してたから何かに使っていたのは確かなんだけれど、その時は全くわからなかったのよ。そして馬の革の流浪の民は数ヶ月付き合ったその生活中にそれに目をつけたらしいのよ。
馬の革の流浪の民はそれを毒の代わりに使いたいから買わせて欲しいって言ってきたらしいのよ。意味がわからない。そしてそれを生まれさせることが出来るアタチ達ヒツジを買いたい、欲しいって。なんなのよって思ったのよ。それってアタチ達を毒の精製気にするって言ってるのよ。
でもこっちの流浪の民達はみんな知っていたのよ。アタチ達のこの腐る現象が続くとすぐに死んでしまうのよ。だから、こっちの流浪の民達はそんなことのために渡すことは出来ないと突っぱねてくれたのよ。嬉しかったのよ。
でもお母さんが言ったのよ。突っぱねてしまったせいでアタチ達は馬の革の流浪の民達に毒の精製をすることより惨いことになるかもしれないって。だから人間が突っぱねたその日からアタチは仲間達から色々な知識を無理やり詰め込まれたのよ。
無理やり詰め込まれたから、体が腐り安くなってしまったけど仲間の大人達の毛に比べたらマシだったから苦しくても苦しくなかったのよ。もっと時間があったらみんなも助かってたかも知れないけれど、その突っぱねた事件からたった2日であの流浪の民が帰ってきたのよ。
本当にお母さんの言った通り惨たらしいことがおこってしまったのよ。
平地なのに乾燥している風がむわっと立ち込めて山のようにぼうぼうと昇る炎が辺りを死の山にしていたのよ。貰えないなら要らない。だから殺す。そんなことが起きたのよ。アタチ以外みーんな死んだのよ。ああ、もちろんアタチを殺しに来た馬の革の流浪の民達はアタチ達を蹂躙しきったと思い込んだらどこかに帰って生き生きとしてたのよ。
アタチはみんなが守ってくれたのよ。
流浪の民のスゲェスゲェが口癖だった男の子がアタチの小さい体をぎゅっとして、その上からその子の髭が大きいお父さんがぎゅっとして、その周りにアタチのお母さんとお父さんとおじいちゃんと叔父さんとお姉ちゃんとお兄ちゃんがその人間のお父さんの上から火から守ろうと被さるみたいに、頑張ってくれてたのよ。
でも火だけじゃなくて弓矢とか剣とかも馬の革の流浪の民は使っていたからほとんど防げなかったのよ。アタチだけはなぜだか助かったのよ。多分体が真っ黒くなってしまっていたから、アタチも死んだように見えたのかも知れなかったのよ。
アタチは灰だらけになったその場所で、馬の革の流浪の民達がいなくなるのをじっと待って朝が来るのを待って、冷たくなったみんなと一夜を過ごしたのよ。
一夜が過ぎて朝がきても辺りはもやがかかっていて全貌はいまいち見えなかったのよ。でも何かあったらひとりででも逃げなさいってお母さんが言っていたから、お母さんが言っていたうちの1つに向かったのよ。
その間も時々人間に少しだけお世話になりながら、だってあんまりお世話されないと体が腐るからしかたないよの。人間に触れられる度にもしかしたら今日が最後の日かもしれないと思いながらその場所に向かっていったのよ。そこについたのはだいたい30回とか、日が変わった時だったと思うのよ。
タヌキの村についたのよ。里だったかしら?どっちでもいいのよ。キジンさんに相談したのよ。悲しんでくれたのよ。アタチのお母さんとキジンさんは友達だったらしいのよ。
移動してる間にアタチの体は結構大きくなっていたから、またあんなことがあってももう隠れられなくなってしまっていたのよ。だからキジンさんは提案してくれたのよ。“信用出来る人間を紹介してあげますん”って。それがモナ・・・モナちゃんだったのよ。
でもモナちゃんも変な子なのよ。寝てる時が一番アタチの毛を腐らせる。こんな人間見たことなかったのよ。小さい体のアタチを思い出しちゃうのよ。
この子もアタチに心を傾けてくれるけど、まだわからないのよ。あの馬の革の流浪の民みたいなことをしないとも限らないのよ。
まだアタチは期待ヒツジの大人じゃないのよ。体は大きくなったけど、まだ子供に違いないのよ。だから見極めたいのよ。
モナちゃんの周りにいると何でこんなに心地いいのか不思議だから。
次は明後日更新予定です。
( ・ω・)