ブックマーク400人越えたよ!ありがとう記念短編SS!
「ナァ」
「ままー、ねこさーん」
「そうねーほら、あっち行くわよ」
「うーん!」
「ナーァ」
今日も今日とて平和である。俺はトロキ。一匹のネコだ、名前はまだないとか言って欲しかったとか小説に被れてるやつがこないだ居たがなんなんだかナァ。
名前はトロキ。蜘蛛猫だ。毛が他の仲間達よりいくぶんか長くてナァ、この毛が蜘蛛のようになるんで蜘蛛猫って言われてんだナァ。
「しっかし、平和過ぎてタルい。」
昔は良かった。やる気というか殺る気満々だったから毎日血が滾るように燃えていた。仲間達からはほとんどから頭を下げられてたっけナァ。
思い出すナァ。
毛は今よりもっと長かったし、殺った敵の血が毛に固まって引きずって歩くもんだから毛先は真っ黒な上小石がゴツゴツくっついてそれだけで凶器だった。
でもナァ。アレかなり重くて今はもうあんなんやったら歩く度に毛がブチブチ抜けて俺の体から毛がなくなっちまいそうだナァ。
『トロキの兄貴!』って頭下げられたのって何年前が最後だ?最後はやっぱり“白のダンナァ”に出会ったのが最後だろうナァ。10年?20年?忘れた。結構前。ナァ。それでいいじゃねぇか。ナァ。
白のダンナの名前はビャッコ。ビャッコさんと呼んでも構わねぇけど、俺は“白のダンナァ”って呼ぶのが好きだ。だから止めない。ビャッコって名前は元から付いてたらしい。氷猫というモンスター名の別名が氷猫と読むらしい。モンスター名が自身の名前とか俗に聞く“怪物根源の始祖”ぽくてカッケェよな。白のダンナァはかっこいいんだぜ。ハハッ。
ビャッコって冷たいイメージがあるからか冷たいもの触るときに人間が『ひゃっこいわぁ』って使うその言葉は元々“氷猫触ると冷たいよね”を意味してたんだぜぇ。さすが白のダンナァ。人間の言葉にまで浸透してる素晴らしさ。凄すぎるぜ。
俺の名前は屠露鬼・・・らしい。勝手に付いただけだけどナァ。これもこれでかっこいいかナァと思ってるんだぜ。
“血濡れ屠る蜘蛛猫”だとかが最初に言われた名前だったような気がするナァ。知らない内に気づけばトロキって呼ばれてた。不思議だナァ。・・・まあ、長ったらしいよりいいよナァ。
トロキって名前になってから何年後かに白のダンナァに出会った。俺は結構売られた喧嘩は買いまくっていたから、強いのがいるって聞いて来たって言ってたんだよナァ。そん時も俺はビンビンにイキってた。
負けたことがほぼ無かったからまぁそうなるよナァ。でも俺は負けた。ウソだろ!?って思って白のダンナァが俺に興味無くなっても俺の方から喧嘩吹っ掛けた。でも何度も何度も何度も何度も、やったところで負けたんだ。
俺は結局狭い世界でしか生きていなかったのさ。
『この程度の奴なら他にもいっぱい見た』
って言われちまったのさぁ。そんときゃ絶望したナァ。でも今思えばあの時に知っておいて本当に良かったと思ってる。白のダンナァについて回るようになってから、本当に俺クラスの強さの奴はいたからだ。目の当たりにした。そしてそいつらも白のダンナァには全く勝てなかった。
懐かしいナァ。
『白のダンナァって呼ばせてもらってもいいですか』
『ヤダよ。なんだよそれ』
最初は拒否された。
『じゃあ・・・白の王子、白の帝王、白の覇者、白の神、白の・・・』
ちなみに“白の”は譲らない。
『やめろーーー!そっ!?はっ!?恥ずかしいだろーがにゃ!?もうダンナがマトモに聞こえるだろが!』
『じゃあ!』
『だがダメだ!』
『えええ、そんナァ。』
うん。最初は拒否された。でも諦めずに白のダンナァ、白のダンナァって言っていたらほとんど何も言ってこなくなった。たまに言うのは『呼び名統一してくれ』なのだ。もうこの呼び名は俺だけのものなのだ。
俺もそこそこ白のダンナァに傾倒してるけれども他の仲間もみぃんな俺と変わんねぇぐらい傾倒してる。
一番は、アイツだな。俺と名前の似てる、トカキ。アイツは恋人かってぐらい白のダンナァについて回るタイプのネコだ。アイツはナァ・・・ほんっとめんどくさいやつ。
「今日もヒマだナァ」
ごろっと転がると砂が体に付くが気にしない。俺の毛は自由自在だからナァ。払い落とすのなんて簡単すぎて欠伸が出る。
さてと白のダンナァにどやされないようにその辺の見廻りでも行くかナァ。
久しぶりに20時更新です。ハハハhahaha。
皆様のおかげで明日も更新します!ありがたや!ありがたや!