第162話
なぜか私の「一番」決定戦が横で繰り広げられそうになっているけれど、そんなことぁ~放置&放置ですよ。
「ミギィさん、レフティさん。迷惑かけて本当にごめんなさい。私が実は大人とか色々、最初に言うべきだったのに。」
ベッドから降りてペコリとお辞儀した。
「「・・・・・」」
2人ともキョトンとしている。・・・?
「モナちゃん、こっちおいで」
「はい?」
ミギィさんに言われるがままおずおずと近づいた。ミギィさんに手を引かれ気づけばミギィさんの胸に私が収まっていた。
「大人とか子供とか関係ねぇべ。困った時はお互い様。」
「人攫いにあった迷子じゃなくて良かったような気ィもすっけども、結局はこん世界の住人じゃないんだべ?つまり、世界的な迷子にゃ違いねぇべ。」
「んだんだ。それにアタシらだって秘密のひとつやふたつや3つや4つぐらいあんのよぉ。モナちゃんばっか、秘密ぜーんぶ打ち明けろってのは酷ってもんさなぁ」
「秘密多い多い。んだけっど、ミギィの言う通りだべ。」
レフティさんがミギィさんに包まれた私の頭をわしわしと優しいけど少し荒く撫でた。レフティさんはムキムキオバちゃんだから手加減がいつも難しそうに私に触れる。
最初からそうだったけど、2人とも日だまりみたいにぽかぽかしてるし、太陽みたいな匂いがする。干したての布団みたいに私を包んでくれるから、その胸に包まれているのがとても自然に受け入れられる。
だからかなぁ。目に涙がにじんだ。
「そったらご両親も無事だろうなぁ。いやぁ、心配したんに、心配1個減って良かったわ。」
そうだった。2人の中では孤児的な立ち位置だったよね。ははは。
「んだっけ、こんなにモンスターに懐かれとるのは心配だで?やっぱしテイマーん、素質あるべ?困ったなぁ。」
「・・・?困るの?私テイマーの素質あるって言われようともテイマーになるき全然ないんだけど」
「「あれっそうだっけか」」
前に話したことがあった気がするけど、素質判定って確か8歳にならないと受けられないとか言ってたよね?子供の言うことだし気が変わるかも程度で聞き流してしまっていたのかも知れない。
「モナちゃん、あんなぁ・・・」
ミギィさんが包む手に少しだけ力が入ったかと思うと包まれていた体がミギィさん自身から離された。両肩を軽く捕まれ、私に真剣な眼差しを向ける。
「じつはこの街に昔テイマーにこき使われたモンスターが再集結しとるらしい。」
「へ?」
「テイマーだったこの街をモンスターの溢れる街にしようと集まってる。」
「「んだっけ、テイマーにだけは今は絶対成ったらいかん」」
「だ、大丈夫。ならないよ!?なるつもりないもん!」
「・・・・だがなぁ、稀に職業覚醒しちまう人がいるからなぁ」
なんぞそれ!?
「モナちゃんがなりたくなくてもなっちまう可能性があるかもしれない。んだから、気をつけて欲しい」
あっそっか!ステータスの職業欄、個人個人で3つまで出来るってなってたもんね。なるほど?そこが埋まってない人が何かのキッカケで埋まって才能開花ってなるのかも?
「それなら安心して!私それには絶対起きない方法知っててもうそれが実行されてるから!」
「「えっ?」」
って・・・・自分で言っといてなんだけど、もしかして埋まってるのって過去(未来)の私がわざと埋めた・・・?
子供に戻ったのも過去(未来)の私がわざとやったの・・・?まさか死ぬのも・・・?一体私は何をどうしてこうなったの??
知ってそうなスズちゃんとフテゥーロちゃんは未だにテンクウちゃんとビャッコくんと共に一番決定戦、口上編を繰り広げていてこっちには気づかない。おのれ。
「・・・あれ?ミギィさんもレフティさんもどうしてモンスターが再集結してるって知ったの?お祭りの準備で忙しかったんじゃ・・・?まさか、お祭りモンスターに荒らされたり・・・!?」
「それがな、一匹のネズミがな」
レフティさんが語ってくれた。
またもや遅くなってしまいました・・・。明後日更新予定です